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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#59 それぞれの部活動風景
(園芸.家庭科.陸上部編)
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園芸部と陸上部

一方、その頃。
花壇に戻った朋也は、その後も黙々と。シャワー口になってるホースで水やりを続けていた。

「後藤!」

「!」

するとそこへやってきたのは瑛。
グラウンド付近の花壇にいた朋也に気づいて、声を掛けてきたようだ。

「何してるんだ?こんなところで。」

「・・・花壇に、水やり。」

「は?あれ。後藤って、何部だっけ。」

「園芸部。」

「マジか。へぇ〜。今までずっとどっかの運動部に所属してるって思ってたんだが違ったんだな。」

そこで改めて朋也が入部してる部活動先を知り、瑛にとって意外だったのか。少し驚く素振りを見せる。



興味示した目線の先

陸上部は全員、ユニフォームを着ており、種目ごとに分かれてトレーニングを積んでいるようだ。
でも今、休憩中?にしては、他の部員は練習に励んでるのが、ここからでもよく見える。
なのに瑛はまだグラウンドに戻らず、まだまだ朋也と一緒にいた。

「戻らなくていいのか?」

「水飲み休憩で少し抜け出してるだけ。炎天下の中でやってるから、ちゃんと水分補給しとかんと熱中症になりかねないからな。」

「なるほど。」

「ところで後藤。それ、いいな。」

「・・・それ?って、どれ?」

「それだって、それ。今、後藤が手に持ってるやつ。」

そして朋也が持つホースに興味を示した瑛。

「花壇に向けずに、ここら辺で出し続けてくれないか?」

「ここら辺で?・・・こうでいいのか。」

「そうそうそう。ちょっと失礼。」

「!?」

自分が持ってたタオルを朋也に持たせて、そのままサババババーッと。シャワー口のホースから出る水で頭をまるごと浴び始めた。



花壇の次は瑛

花壇の次は瑛に水やりを!?
そんな彼の行動に驚いた朋也は、思わずホースを退けてしまう。

「コラ。何、遠ざけてんだ?」

「いやいやいや。古河こそ何して?」

「仕方ないだろ、暑いんだから。頼むから出し続けててくれって。」

しかし瑛から逆に少し怒られて、彼にも水やり状態は続行。
彼の気が済むまでホースから水を出し続けたのだった。

「・・・ふう。助かった。ありがとな後藤。おかげさまで生き返ったわ。」

「どういたしましてって、言っていいのか?これ。」

でもそれは瑛にとっては、砂漠にオアシス。
返してもらったタオルで頭を拭いてひと息ついた頃には、表情もスッキリとしていた。



訪れる陸上部員2人目

「随分と涼しそうだね、古河くん。」

そんな2人のやり取りを見ていたのか。
朋也と瑛の元に、また別の陸上部の男子生徒がゆっくりとやってきた。

「お疲れっす、空先輩。先輩も水飲みですか?」

「うん。でもそっちはついで。古河くん見つけたら、そろそろ練習に戻らないと冥がお冠になっちゃうよって伝えに来たの。って、あぁごめん。友だちと一緒だったんだー・・・!?ね。」

が、案の定の流れと言いますか。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

その生徒は朋也を見た途端、ビクッとなってピタリと停止。
無言のまま瞬きだけを繰り返し、完全に止まってしまう。

「ん?ああ、大丈夫ですよ空先輩。先輩よりもコイツの方が空先輩以上に怯えてますから。」

「えぇ!?あああ、ごめんね。そ、そうなんだ・・・。」

なので瑛から自己紹介ならぬ他人紹介でフォロー。
してくれるのはいいが、なんだ?その紹介。と、隣で聞いてた朋也は、ちょっと不服でちょっと複雑な気持ちになった。



羽崎 空

「後藤にも紹介するよ。」

そしてそのままの流れで、やってきた陸上部の男子生徒のことを、瑛がまた他人紹介で教えてくれた。

「この人は同じ陸上部の部員、2年の羽崎 空(はさき そら)で空先輩。」

彼の名は、羽崎 空。
身長は173cm。2年C組、陸上部に所属しており、種目は走り高跳び。
彼が跳ぶ姿は部一を誇るほど美しく、春の大会で自己ベストを更新させたほどの実力者。

「今度、時間あるとき。空先輩が跳ぶとこ見に来いよ。この人、マジで綺麗に跳ぶから。」

「ごめん、古河くん。そうハードルを上げられると跳べなくなっちゃうからやめて。」

穏やかな性格で面倒見もよく、その優しさは後輩にしっかり届いており、2年の部員の中で1番好かれやすい先輩なのだ。

「大丈夫ですよ。バーを落とすときも空先輩、綺麗に落としますから。」

「それ誉めてないから。誉めるなら、ちゃんと最後まで誉めてほしいな。」



空は名字表記(羽崎)だと
違和感バリバリで誰か分からなく
なったので名前表記にしました

「後藤くんっていうんだ?さっきはジッと見ちゃっててごめん。改めてよろしくね。」

「・・・こちらこそ。なんかごめんなさい。」

「ううん。ごめんなさいは、こっちのセリフだから後藤くんはいいのいいの。」

瑛の他人紹介のおかげで、朋也に対しての緊張が解れた空。
でもあれ?おかしいな。彼は瑛を迎えにやって来たはず。

「あ、先輩も一緒にどうです?なかなか涼しくて気持ちいですよ、これ。」

「え。」

だけど瑛の誘いに、心惹かれて。

「・・・・・・。」

「あの、部に戻った方が。」

その様子を見て、朋也も彼や彼らに本題を思い出させようとしたが、

「・・・やってみようかな。」

「!?」

悩んで葛藤した結果。心の天秤が誘惑に負けて、空は朋也にペコリと頭を下げてお願いしてきたのだった。



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