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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#58 いつもと異なる月曜日の朝(2/2)
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突撃モーニング

それから1時間後。
朝の7時を迎えようとしたとき、コンコンのノックがないまま、ガチャッと部屋のドアが勢いよく開く。

「おっはよー!つかポン起きてる?」

そして元気よく姿を見せたのは稚空。
ノックのない訪問者ではなく、ノックをしない訪問者は彼しかいないから直ぐに誰か分かった。

「ひろピーから叩き起こすよう言われて来たよー!」

しかし司は、

「あ、あれ?つかポン?」

「おはよう、アッキー。あと、つかポンやめれ。」

稚空が来る前から、既に身仕度まで済ませていたのだった。

「なんだ、つかポンもう起きてたのか。せっかく飛び起きる様を写メって、ひろピーに見せようと思ってたのに。」

「なんだってなんだよ。起こすついでで変なこと企むのやめい。あと、つかポンも。」



余計なお世話になってる元凶の素

稚空は比路に頼まれていたから、いつもよりわざと大袈裟に入ってきた模様。

「なんだー、全然大丈夫じゃん。オレまで心配して損したー。てか、起こしに来て損したー。」

「なんだよ、それ?火曜でも水曜でも俺、普通に1人で起きてただろ?何も心配ないって言ったのに。ヒロの節介、アッキーにまでいってたんだ。」

昨夜、口をすっぱくするほど煩く言われてた中でも、あれだけ大丈夫だと言ったのに。
それでも第三者(稚空)に頼むとは、いくら司でもちょっと不服。

「昨日の夜。寝る前に、ひろピーがメッセージ送ってきてて凄い心配してたからさ。」

「ホント、節介も過ぎると余計なお世話だよな。」

「コラコラ、そういうこと言わないの。つかポンの普段の行動がひろピーを心配させてる素にもなってるんだから。」

だからついつい愚痴だって、ブーブー言ってしまうのも無理がない?

「あー!アッキー、ヒロの味方した!こういうときこそ俺の味方になってくれると思ったのに!」

「オレは事実を述べただけだから。嫌なら少しは改めなって。」

稚空も稚空でそんな司を程よく相手して宥めて、それぞれ当番先の朝の清掃場へ向かっていった。



いつもと異なる月曜日の朝食堂

朝の清掃後。
司と稚空は梅ちゃんと共に再び合流して、朝ごはんを食べに食堂へと向かっていった。

「朋也くんも今日はいらっしゃらないんですね?」

「うん。もう花壇の水やり行っちゃってるみたい。朝、メッセージ入ってたから。」

「同じ園芸部であるつかポンは一緒に行かなくていいの?」

「俺はいいの。ミニトマトだって朝はコタ先輩が水やっちゃうし。あとつかポンやめい。」

朝の食堂風景は朝練のある生徒が既にいないため、月曜日なのに静か。
席だって3人分余裕で確保出来たので、月曜日なのに月曜日じゃない感じ。

「・・・それってつかポンも育ててるうちに入ってる?」

「入ってるよ、じゅうぶん入ってる。夕方、たまに見に行ってるから入ってるってば。・・・ほとんどコタ先輩が見ちゃってて、あんまりやること残ってないけど。あとつかポンやめれって。」

ちなみに今朝の献立は、厚焼き玉子にイカの塩だれ焼きに胡麻和え。ご飯、みそ汁、漬け物に牛乳・・・、といった和食の日。
後の人のことを考えて急ぐ必要もないので、しっかり噛んでゆっくりと食す。



びーえるって、なに?

「そういえば司くんと稚空くんに、お尋ねしたいことがありまして。」

そんな中、梅ちゃんから司・稚空に。
何か訊きたいことがあったようで、この場で改めて質問をしてきた。しかし、

「『びーえる』って、なんですか?」

その内容は、何て言っていいのやら。
梅ちゃんの口から、そんな単語が出てくる日がやってくるとは思わなかった・・・。

「「・・・・・・。」」

あまりなことに時が止まった回答者2人。
でもそれはホンの一瞬。
1秒も経てば再び時が動き出したが、

「痛ッ!?何でオレが叩かれるの!?」

「だって梅ちゃんがこんなこと言うなんて、コレ完全にアッキーのせいでしょ!?絶対に!」

「オレだけのせいにしないでよ!お互い様でしょ!?そこは!」

司が稚空をペチーンッと叩いて、元凶?に制裁を下した。



ぼーいずらぶって、なに?

司は二次元BLまでならOKな腐男子。
稚空は二次元でも三次元でも美味しく恐れずBLを好む腐男子。
そして梅ちゃんはそんな2人と一緒にいながら、腐る気配を一向に見せない純粋無垢な男の子。

「ご、ごめんなさい。司くんと稚空くんが時々、楽しそうに『びーえる?』のお話していらっしゃるから、ずっと気になってて。」

「んーんー、大丈夫大丈夫。むしろナイスな質問だよ梅ちゃん。」

そんな彼の純粋を汚す恐れを恐れず。
知りたいのなら、お答えしよう。
2人は拒まばいウェルカム精神で、特に稚空が喜んで答えた。

「『びーえる』っていうのはアルファベットのBとLでBL。『Boy's Love』を略して『BL』だよ。」

「なるほど。って、その『ボーイズ・ラブ』って、なんなんですか?」

「ホント、梅ちゃん。ナイスな質問しまくるね〜♪」



純粋無垢の真っ白さは眩しい

この3人は寮の食堂で朝ごはんを食している中、朝っぱらから何て会話をしてるのだろう。
周りだって自分ら以外の生徒もいるっていうのに、何も恐れることなくオープンに語りまくる。

「すごく簡単に言うと、男同士のいきすぎた友情ってとこかな。男女の恋人同士みたいにイチャイチャしちゃう的な感じ?」

『梅ちゃんもおいで〜。一緒に腐ろうよ〜。』っと。
腐男子2人は良からぬオーラを醸し出し巻き込もうとする。が、

「つまり凄く仲良しな関係ってことなんですね。いいなぁ、羨ましいです。」

梅ちゃんの純粋パワーのシールドが、腐った邪悪なオーラをパンパンッと弾き飛ばす。
やられた二人は、そんな彼の純粋さがペカペカ光って眩しくて、自分らの淀んだ趣味を大反省するのでした。

「なんで俺らこんなに腐っちゃったんだろう?」

「自分の趣味に正直になりすぎたのが原因でしょ。」

「梅ちゃん眩しいよ。眩しいよ梅ちゃん。」



青ノ葉 第58話をお読みいただきありがとうございます!

いつか本編に入れたいと思って
とりあえずで倉庫に置いた小ネタ
稚空の特技ネタもそうですが、梅ちゃんネタも
ようやく本編に入れられてほっこり


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