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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#55 BlackWhiteの憂鬱(3/3)
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油断はいつでも大敵

梅ちゃんにラブレターを出した差出人は、それからも動きがなかった。
彼が1人になる機会がないからだろうか。
何事もない日々が平和に過ぎていく。
けど油断は忘れた頃にやってくることを、忘れてはいけない。

「梅ちゃんの班も今日、掃除当番だっけ?」

「ヤバイ!しかも外だ!あああ俺らの班、教室なのに!ごみ捨て行った朋也気付いてるかな?」

司と比路と朋也は席が近くて同じ班だけど、梅ちゃんだけが違う班。
だから放課後に当たった当番の掃除場所が違い、大敵な油断は梅ちゃんを1人にさせた。
そのせいで、

「梅谷くん、だよね?」

「え?」

裏庭を竹箒で掃除していた梅ちゃんと梅ちゃんにラブレターを出した差出人が対面を果たしてしまう。



遭遇した差出人

その人は青ノ葉の制服姿だった。
が、青ノ葉の制服には各学年を示すカラーはない。
そのせいでこの人が何年生なのか分からない。

「えっと、どちら様ですか?」

でも1年生じゃないのは確か。
寮でも校舎でも同じ階で見たことがない。
だとしたら2年生か3年生か。
どちらにしろ上級生であることには変わりないだろう。

「あぁ、やっぱり可愛いな梅谷くん。この間、手紙読んでくれた?」

「手紙って・・・、あ!この間、下駄箱に入ってた。」

「うん、それ。その手紙、オレが出したんだ。」

「え・・・?」



語られる想い

間接的に告られるのと、直接的に告られるのとでは、また違った印象が梅ちゃんに与えられる。

「オレ。梅谷くんのこと好きになっちゃったみたいなんだ。」

「えっと・・・。」

「何て言うか、守ってあげたくなるっていうか。ひどいことなんて、か弱い梅谷くんに絶対にしないからさ。」

「・・・・・・・・・・・。」

語られる想いを、どう感じたのだろう。
持っていた竹箒をギュッと強く握り、彼が囁く度に、表情を暗くさせていく。
そして彼が関係を迫る言葉を発す前に、

「だからオレとー・・・「お断りします。」

彼の告白を無惨に断ったのだった。



ごめんなさい

「こんなボクを好きになって頂けて嬉しいです。でもごめんなさい。貴方の希望にボクは添うこと出来ません。」

丁寧にぺこりと頭を下げて、ごめんなさい。
改めて告白してきた彼の想いを想いごとお断り。

「確かにボクはこんな体質なので、時には誰かに守ってもらわなければならない日が訪れます。けど誰かに守ってほしいと思ったことは、生まれてから一度たりともありません。」

自分の言葉は自分の口で。
梅ちゃんは自分の言葉を曲げないで真っ直ぐ、彼の目を見て伝えた。

「だから貴方にとってのボクがそうである限り、ボクは貴方と合うことが出来ません。なのでお断りします。・・・ごめんなさい。」

彼の気持ちを終わらせる言葉の中でも、自分という人間を知って分かってほしかったから。



久しぶりの反応

その時、だった。

「梅谷?」

梅ちゃんに気付いた朋也が、2人の元へやって来る。が、

「そこで何しー・・・「ギャーーーーッ!!!」

「「・・・・・・。」」

梅ちゃんに告った男子生徒は朋也を見た途端、なんというか。
やっぱりというオチで朋也に怯えて、脱兎の如くここからダッシュで去っていった。
ので朋也も案の定といいますか。

「・・・この反応されたの久しぶり。」

構った心がズキズキ痛んで、ズーーンと深く落ち込んでしまう。

「ご、ごめんなさい朋也くん。」

「いや、うん、大丈夫。森らといるせいで俺も鈍ってただけだから。気にするな梅谷。」



男の子として

そんな朋也の後にやって来たのが司。

「梅ちゃん大丈夫!?」

「司くん!」

「ごめんね。あれだけ1人にしないよう気を付けていたのに、結局1人にさせちゃって。大丈夫だった?」

彼も心配で掃除を比路に任せて、ここまで慌てて走って来たようだ。
ゼエゼエと切れる息はちょっと苦しそう。
でもそれは自分を探してくれていた証。

「はい、大丈夫でしたよ。これで終わったと思います。」

「終わったって、え?」

「ちゃんとお断りしましたから、もう大丈夫です。司くんも朋也くんも、そしてみなさんにもご心配お掛けしてごめんなさいでした。」

ちょっと嬉しかったけど、それはもう不要。
だから事が終わったことを、きちんと報告。
もうその心配は要らないとを伝えた。
いつまでも誰かに守ってもらうのは、男の子として不甲斐ないと感じていたから。



好戦的な梅ちゃん

その日の夜。
自由時間が訪れた遊戯室にて集まれたブルーリーフのメンバーでチーム戦を行っていたのだが。

「ねえ、つかポン。今日、梅ちゃんに何かあった?」

「えっとー・・・ごめん。俺もちゃんとはよく分かってない。あとつかポンおやめ。」

「いつにも増して好戦的だね。梅谷くん。」

一際目立つほど、梅ちゃんがゲーム内で大暴れ。
大砲を武器として扱うプレイテクニックが大幅にアップしていて、常態異常から範囲攻撃までの弾を次々落とし、相手チームを敗北へと導いていったのでした。

「強くなったね梅ちゃん。」

「はい。いつまでも弱いは嫌ですから。ボクもみなさんと共に戦います、ボクにもみなさんを守らせて下さい。」



青ノ葉 第55話をお読みいただきありがとうございます!

今回は真面目に梅ちゃんの話を書きました
好戦的な彼に「か弱い」とか「守りたい」はNGワード
いくら病弱でも梅ちゃんだって、男ですオスです
そんなこと言われて喜ぶ野郎じゃないです


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