≪ top ≪ main


青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#55 BlackWhiteの憂鬱(2/3)
]  [目次へ]  [

少しでも可能性あれば皆無じゃない

梅ちゃんに送られた手紙は、正真正銘のラブレター。
けど厄介なことに差出人が不明。
ただ自分の想いを伝えただけの文章で、『どこかで待ってます』とか『日時の待ち合わせ』とかは何も書かれていない。

「あー、でもこうなった以上は梅ちゃん、ちょっと危険だね。」

「え?ボク危ないんですか!?」

「うん。特に1人でいるべきではないね。襲われてあんなことやそんなことが梅ちゃんにー・・・。」

「稚空。」

「・・・ごめんなさい。でも可能性として無くない話でしょ?」

「どうしてそっち方向に考える人が必ずいるかな。」

梅ちゃんに対して、稚空が言った危険を犯そうとする奴は恐らくいないだろう。
でも100%皆無という訳でもないから何か対策を考える。

「暫くは誰かが梅ちゃんの傍にいるべきだよ。梅ちゃんの恋人役として徹してくれれば差出人も諦めるだろうし。」



お断りは前提?

「稚空のその案だと、梅谷くんが断る前提としてってなるけどいいの?」

「大丈夫です。ボクお断りするつもりでいましたから。」

だから『梅ちゃんの恋人(仮)』と題して、誰かが恋人役を演じて、差し出した人には申し訳ないが自主的に諦めてもらおうとする。

「けどアッキー。それ誰が演るの?」

「うーん、誰がいいかな。」

しかしそんな重役なラッキーを務めるのは誰が1番適してる?
自分らの中で誰かいないか、とりあえずで募ると、真っ先に手を上げたのが、

「僕やろうか?」

「比路くんが、ですか?」

まさかのまさかで比路だった。



候補者

「要するに梅ちゃんにちょっかいかける奴を、片っ端からぶん殴っていけばいいんでしょ?」

ここのいるメンバーの中なら、比路が1番の腕力者。
背はちっこいけど誰よりも力があるので、物理的な方法で野蛮に解決させるには持って来いの候補。

「わ〜っ。比路くんならボクも心強いです。」

梅ちゃんも歓迎していたので、この話はこれで終了。これで決定。かと、思いきや・・・。

「ひろピー。」

「ん?」

「なんでもかんでも力で解決してたら、戦争っていつまでも終わらないと思わない?」

「え。ひょっとして僕じゃダメ?あと、ひろピーやめて。」

稚空から真っ先にNGが入って、比路が恋人役を徹する話はなかったことに。
比路以外で候補者を再び募った。



推薦者

「朋也をお守りにするのはあり?」

「効力はありそうだけど、どうだろうね。ともぴょん、どう?」

「・・・俺はそれ、どう答えていいんだ?あとともぴょんはやめてくれ。」

比路の次に推薦として上がったのは朋也。
強面の顔で相手をビビらせれば一網打尽?

「それに梅谷を俺が巻き込んで、逆に危なくならないか?」

「言われてみれば確かに。梅ちゃんが朋也に巻き込まれた方がよっぽど危ない。」

けどそれはそれで、それが引き金となって別の悶着騒動が生まれる可能性もあるので朋也もなし。
あとギャー!とビビられる度に朋也の心がズキズキ構うので、彼の繊細な精神の為にも候補から除外される。



恋人じゃなくても

「あの、あの稚空くん。恋人じゃなくて全然いいです。よく考えたらボクもそれは、ちょっと荷が重いです。」

っというか、そもそも恋人役を作ろうとしていたことが間違い?
重役すぎて梅ちゃん本人からも、その案にNGが。恋人という関係性は仮でも申し訳なくて出来ないという。
それに誰かが傍にいるだけでも十分、効力はある。

「じゃあ梅ちゃん。なるべく俺らと一緒にいて離れないでいて。なるべく梅ちゃんの近くにいるから。」

「わ、わかりました。そのようなことが起きないことを祈ってますが、よろしくお願いします。」

だから梅ちゃんをなるべく1人にさせないよう。
部活中は稚空が。
クラスでは暇な司が中心に比路と朋也が。
みんなで近く傍にいるように、梅ちゃん防衛の陣が作られた。
けど明人は、

(差出人がここまで悪者扱いされるのも可哀想だな。ちょっと同情するかも・・・。)

っと。1歩引いて、その陣にはとりあえず入らなかった。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む




BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×