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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#54 久野克也尾行調査(2/4)
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桃地にとっての犬飼

ここまで自分が気付かれないようにコソコソしていた犬飼。
朝の生徒会室での様子も特に変わったことがなく、ふうっと疲れた溜め息吐いて凝った肩と首をコキコキ鳴らす。
するとその時、

「犬飼さん、ここで何してるんすか?」

「ひッ!?」

今まで誰にも気付かれてなかったのに、こんな自分に気付いて声をかけてきた桃地にめっちゃビックリ。
咄嗟に彼の口を手で抑えてはそのまま壁まで押し付けて、強引に黙らせる。

「黙れ小太郎。ここでオレの名は言うな。」

「は、はい・・・。」

「いいか?オレは今、大事なことやってんだ。だから今日1日、オレに話し掛けんじゃねえぞ。分かったな?」

「・・・はい。」

そして邪魔されないようにそう言い付けたが、桃地にとって今はそれどころじゃない。
犬飼から壁ドンくらって、こんな間近で彼を見れて、ついつい頬を赤く染めさせていた。



犬飼にとっての桃地

「わ、分かりましたっす。」

けどそう犬飼に言われた以上、コクンと頷き2つ返事で了承。
今日1日、彼に話し掛けないよう注意して静かに離れていく。

「けどもし何かアレば自分も使って下さい。犬飼さんの為なら、自分何でもするっすから。」

「・・・おう。」

しかし桃地は何でこんなに犬飼を慕っているのだろう?
軍団を解散させた後でも喜んでパシりに来るから、ついつい使っちゃうが原因は謎。
犬飼本人ですらその理由がよく分からなかった。

(オレ、小太郎に何したっけな?便利だからいいけどさ。)



久野のペン回し

そうして予鈴が鳴ると、生徒会の集まりは一旦解散。
それぞれ自分たちのクラスへと向かい、久野は2年B組の教室へ入っていく。
それから本鈴が鳴って、授業が始まった。

(席は真ん中列の後ろから2つ目。前には鬼頭がいんのか。)

犬飼も自分の教室で授業を受ければいいのに、サボって無視!
授業よりも久野をとって逐一逃さずに見ていた。
・・・先生に見つからないよう、どう覗いているのか作者も謎だけど。

「克也、ここってどうしたらいい?」

「そこはここをこうして、こうすればいいよ冥。」

「さんきゅ。」

でもおかげで1つ得た久野情報。

(アイツ、ペン回しウマッ!?)

弱点に使えるかどうか分からないけど、指先だけで器用にシャーペンをクルクル回すから、彼はペン回しが得意と知った。



模範生の生徒会副会長

久野は文武両道に好成績を誇るトップクラス。
物腰落ち着いた性格は既に貫禄あって、1年の3学期に模範生として選ばれ、生徒会副会長の座に就任したのもそれがほぼ理由。
授業と授業の合間の休憩時間に、さっきまでの授業で分からなかったことを問ってくるクラスメイトに分かりやすく教えてあげたりと優等生っぷりを発揮。

「やっぱり久野は違うよな〜。」

「そんなことないと思うけど。」

「いやいや違うって。オレらと全然違う。」

けど他人からそんな久野を見たら、1歩引いた別世界の扱いで、あまり普通じゃないようだ。
久野自身も否定するが、否定を否定されて、その様子は若干だけど浮きこぼれているようにも見えた。



浮きこぼれた生徒

それは先生と話している時も同じ。
犬飼にとって普段からクソむかつくことしか言わない教師も、久野に対する態度が違っていた。

「流石だね久野くんは。」

「いえ、そんな。俺なんて全然・・・。それよりも。」

「謙遜しなくていいのに。みんな久野くんに期待してるんだから。」

「は、はぁ・・・。」

模範生で2年生唯一の生徒会役員の彼だけあって、期待が十分に集まり高まっている。
けど本人はあまりそれに満足してない模様。

「・・・・・・。」

話し終えた直後は、ふうっと溜め息吐いて疲れた色を顔に浮かばせていた。

(優等生様も大変ってか?もっと堂々と偉そうにしてればいいのに。)



久野と鬼頭の仲

久野にとって普通に話せる相手は鬼頭のようだ。

「冥。そういえば比路に何かあるの?朝、一緒に食べてたって聞いて、冥にしては珍しい行動だから。」

「何か言ってたのか?」

「うん。ちょっと冥のこと気にしてた。」

「ふーん・・・。」

だから基本的に鬼頭と一緒にいることが多かった。
休憩時間も、寮弁を食べてる時も。

「こういうこと言うのもアレなんだけど比路も自分の友だちと食べたい時あるからさ。俺とじゃない時はソッとしてあげててほしいかも。それに冥の威圧が下級生を遠退かせてるっぽいし。」

「そんなにヒドイ?俺。」

「そんなにヒドイ。日焼けが増してからより一層。学寮戦のせいでもありそうだけど。」

何気ない会話でも気兼ねなく話していて、さっきまでの様子とは明らかに違っていた。
そんなところから2人が仲良いことを知る。



6月の生徒会会議

昼食食べた後は、再び生徒会室へ移動。
先月や先々月同様。各クラス委員や各部の部長が集まって、昼休み中に生徒会会議を行うようだ。

「わー、峰岸くんだ。こっちで会うのはちょっと新鮮だね。居たのだけは前から知ってたけど。」

「華澄先輩、男装してるってことは、今度は男役の劇ですか?」

「違うよ!今は素だよ!今はただの俺!男装じゃないからね?!普段の俺だからね?!?!」

「え。違ったの!?みんなもそうだと思って何役だろうねって話してたところだったのに。」

「嘘でしょ!?何でみんなして勘違いするかな?」

そして永瀬の合図で会議が始まり、主に久野が進行役を務めて、丹波と紺野が黒板にカッカッとチョークで書いてまとめていく。
来週から夏休みまで、期末テストの期間を除いて、夏の大会に向けて部活動も本格始動。
今まで部活動がなかった曜日にも朝練や午後練が各部活ごと自由に組み込められると伝えて、今までのスケジュールが大会時期の仕様に変わることを報告した。



6月の生徒会会議 2

するとそのとき、

「はーい、質問。」

「豊先輩、どうぞ。」

挙手した小町が柔道部の部長として何か質問あったのか。
さっそく久野に尋ねたが、

「副会長さんのパンツは今日、何色ですか?」

中身はどうでもいいセクハラ。
けどシンとした緊張感の中で言われたせいもあって、

「今日は青ーーー・・・んん!?」

「!?!?!?」

この問いを普通に答えてしまう。
途中で気付いて口を抑えて真っ赤な顔で後悔したが、そこまで言ったらモロ暴露。
丹波が『貴様ァァァアア!!』とキレて持ってたチョークを投げて、悪ふざけ致した小町の額にぶちかましたがもう遅い。
ここにいる全生徒、覗いてる犬飼も含めて『副会長の今日のパンツは青系色』とザワザワ知れ渡ってしまう。

(これは別にメモる必要ねえ、よな?)



昼休みの中庭で

生徒会会議は昼休みが終わる頃に終了。
犬飼は他の人にバレないよう一足先に。B組の午後一発目の授業は移動教室の生物だから生物室へと向かう。
その途中、

(あれはー・・・、純平?)

移動した先の校舎の窓から中庭の様子が見えて、そこで矢口の姿を発見。
彼は基本的には1人でいることが多いから、いつもどこにいるのか犬飼ですら分からない。
だから今日は偶然見つけられたのだが、そこには矢口以外にもう1人。

(誰だ?あの黒縁眼鏡。)

黒崎がいて、もうじき授業が始まるから一緒に校舎へと戻っていた。いや、矢口視点からすると、戻らされていたという表現のが正しかった。

(あの人と仲良いんだな純平。知らなかったな。)



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