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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#54 久野克也尾行調査(1/4)
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いつもと異なる朝風景

午前6時が過ぎた、朝練のある日の朝。
いつものように久野が、どの生徒よりもいの一番に食堂へ来て、朝御飯を食べにくる時間帯。
だけどそこにもう1人珍しい人物が。

「・・・・・・。」

目立つオレンジ頭の犬飼の姿が、こんな時間から食堂に入っては影でコソコソと。
標的は久野1人。
距離を離しているが、視界からなるべく逸らさないように。彼が何かの動きを見せる度に、それを心のノートにメモって書き足していく。

(漬け物は最初に食べるっと。)

いったい何をしているのだろう???



禁煙禁酒中

犬飼が久野に夢中になっていたその時、

「おい。」

「!」

誰かに背中を、片足でど突かれたのだ。
いきなり何かと思い、振り向くとそこには、

「何やってんだ?犬飼。」

「げ!?クソ寮長・・・!」

やっぱり日暮寮長がいて、短いパイプのようなものを口に咥えながら、そんな犬飼を呆れた表情で見ていた。

「うるせーな。アンタには関係ねえだろ。」

「ほう。」

日暮寮長は現在、チロ先生のお仕置きにより、絶賛禁煙禁酒中。
禁煙グッズを使って気分を多少は間際らしているようだが、いつもよりご機嫌ナナメ。

「いいから言えよ。じゃねえと禁煙で溜まってる鬱憤を、お前で晴らすぞオラ。」

「痛!やめ・・・っ・・・やめろ!オレ(生徒)に当んな!アンタそれでもここの職員かよ!?しかもそれは自業自得だろうが!!」

そのせいで生意気な返答した犬飼に、そのままの足でオラオラとゲシゲシ蹴って、大人げない八つ当りが下った。



許可した理由は最後の一言

犬飼は久野の弱点を1つでも多く知って材料にし、いつぞやから企み続けた仕返しの為に、行動へ移していた。
が、こんな騒いでいるところをあっちにいる当人に見つかったら、それこそ計画が丸潰れ。
だから食堂からいったん離れ、仕方がないので事情の一部を日暮寮長に話す。

「克也の弱点、ねえ。」

「アンタ結構、アイツと色々話してるよな?なんか知んねーの?」

「いや?そういや俺も知らねえな。」

ついでに彼からも得ようとしたが、強力な情報は何もなかった。
ので寮長自身も、その話に興味を持った模様。

「・・・よし、俺が許可する。」

楽しそうなことには逆らわない主義が働いたようで、まさかのまさかで犬飼の肩を持ち、この計画に加担する。

「その代わり何かそれっぽいこと見つけたら、俺にも報告しろよ。ほら。克也つけるなら、どうせ門限過ぎるんだから届け出ぐらい書いてけ。」

「言っておいてアレだけど、止めないのなアンタ。」

「面白そうだからな。」



久野の1人朝稽古

そういうわけで許可を貰ったので、そこで寮長と別れた犬飼は再び続行。
今日という1日の時間を使って、久野を尾行して、計画通りに1つでも多くの弱点を掴もうとした。
そして朝御飯を済まし食器類を片した久野は、帰りが遅くなってもいいように届け出を寮長に提出。

「蓮さん。コレ、今日もよろしくお願いします。」

「届け出を出された以上、文句ねえけどさ。たまには早く帰ってこいよ?ここ最近ずっと克也が最後だからな。」

「ははは・・・。そうしたいのは山々ですけど、まだ生徒会の仕事残ってますし、夏の大会も近づいてきているので。それでは行ってきます。」

「おう。行って今日もかましてこい。」

次に向かったのは青ノ葉道場。
場内の更衣室で胴着に着替えて、柔道部の朝練という朝稽古に1人で先に取り組む。

「・・・・・・。」

その姿は、正に真剣そのもの。
覗いてる側もその空気につられて、思わず生唾をゴクンと飲み込んだ。



柔道部朝風景

数分後。
ようやく他の部員がやって来て、ぞろぞろと集まり始めた。

「おはよう比路。今日は朝、どうしたの?起きられなかった?」

「うん・・・。司が寝惚けて人のアラーム切っちゃって。気づいた時には30分過ぎててビックリして飛び起きたよ。」

「司がってアレ?それ、どんな状況?ひょっとして2人で一緒に寝てるの?」

おかげでさっきの静けさがどっかに行ってしまい、あっという間にガヤガヤと賑やかに。

「そうだ。ねえ、克也。冥先輩ってどんな人?」

「どんなって、え?何、その質問。」

「みねぎっちゃん、今日メイちゃんと向かい合って御飯食べてたからね。朝なのにそこだけお通夜だったから仕方なく和ませようとしたら、メイちゃんにお茶ぶっかけられて大変だった。」

「豊先輩また冥に余計なこと言ったんですね。悪ふざけも大概にしましょうよ。」

犬飼も誰かに見つからないようコソコソと。
身を潜めながら耳を澄ませ、彼らの会話からも情報を得ようとする。



垣根のない上下関係

それから朝練開始の時間を迎え、部長の小町の合図で朝稽古が本格的に開始。

「よし。さわむーは今日、オレと組み手な。」

「いいけどたまには比路と組ませてくれよ。たまにはでいいから。峰岸 比路に勝ったこと師匠に報告したい・・・。」

「かっつぁんがみねぎっちゃんの中途半端を直してる最中だから、それ含めてお待ちんしゃい。」

部員同士で2人1組のペアを作って組み手を行い、柔道部らしく野太い声が飛び交う。

「・・・なあ比路。どうでもいいけど豊部長って、オレのこと『さわむー』呼んでんの?」

「うん、呼んでたね。」

「名字(そっち)であだ名付けられるのって初めてだから、つい戸惑っちまったが。『キョン』よりはマシだな。」

「うん、分かる。『ひろピー』よりはマシだよね。」

ここの部は先輩後輩の上下関係に、あまり垣根がないのだろうか。
犬飼は自分が所属していた部とは全然違った風景に、ちょっと胸糞が悪くなった。



途中で抜けた後は

けどここで朝稽古中だったのに途中で切り上げた久野。
出てくるのに少し時間あったが更衣室で制服に再び着替えて、部員の邪魔をしないよう静かに道場を後にする。
そして次に向かったのは生徒会室。
今度は生徒会副会長としての仕事を進め始めた。

「これでよしっと。」

生徒会は全部で6人。
他5人より早く来てお茶も用意して、先輩たちが少しでも早く仕事に取り掛かれるよう支度する。

(そこまで準備するか?)

するとその最中で、また続々と生徒会のメンバーが生徒会室に集まってきた。
会長の永瀬に書記の丹波、会計の鳥越。
そうしてもう1人の書記ともう1人の会計もやって来て、これにて青ノ葉生徒会役員がここに全員勢揃い。
なので改めまして。前回言ってた残りの2人の生徒会メンバーをご紹介。



紺野 斗真

先ずはもう1人目の書記。

「お。さすが副会長と書いて、雑用係。ここまで準備するとはやるじゃん。」

彼の名前は、紺野 斗真(こんの とうま)。
身長179cm。3年C組、野球部に所属しているノースポー投手。

「よし、じゃあこの仕事も雑用係に。あとは任そう。」

基本的には悪戯好きな彼。
『働き蟻ですら働かない奴がいるから俺そっち側〜♪』とか何とか言い訳し、生真面目な丹波と比べたら若干サボり魔。というかサボり魔だ。



柘植 紬

お次はもう1人目の会計。

「ふふふ。そんなことしたら駄目だよ斗真くん。」

彼の名前は、柘植 紬(つげ つむぎ)。
身長175cm。3年B組、テニス部に所属している。

「それにタヌくんのおにぎりを奪うのもよくないんじゃない?落ち込んでたよ彼。」

細目でいつもニコニコと笑っているが、計算高い性格だから、『紬様』は何でもお見通し。1つでも弱みを握られたらアウトです。



前期の生徒会メンバー

そういうわけで以上をまとめると・・・。
会長は永瀬 めぐる。
副会長は久野 克也。
書記は丹波 和泉と紺野 斗真。
会計は鳥越 遼と柘植 紬。
この6名が前期の生徒会役員である。

「わー!?ダメだよとーま。たぬくんかわいそうだよ。」

「奪ったん違いますー。ダイエットに協力したんですー。っていうか紬、どこから見てた?グラウンドから見えないはずだろ?」

「さあ、どこからだろうね。ふふふ。」

「紬。昨日は交替してくれてありがとな。紬の読み通り、やっぱり輝夜がやりやがったからさぁ。」

「っと言うより斗真。克也くんは雑用係じゃないから。キミもれっきとした役員なんだから、ちゃんと自分でやってくれ。」

「それじゃあ先輩たち。今日の昼休みは会議あるので、それまでにコレを終わらせましょう。」

登場したてでキャラがあまり整ってないところもありますが、それは追々と。

(3年はやっぱり曲者だらけだな。)

この軸だけはズラさないようにしてますので、何とぞ今後ともよろしくお願いいたします。



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