その一方で。 犬飼と桃地は生徒会の読み通り、正門を避けていた。
「げ。やっぱり裏まで張ってやがった。」
「ここは自分が囮になるので犬飼さんは別ルートから行って下さい。あの塀の柵が抜け道なるよう昨日のうちに作っておいたっす。」
「あそこか。」
けど裏門には永瀬を始めとした先輩たちがいたけど、永瀬以外はどうでもいい。 永瀬がいるから恐れをなし、『永瀬には逆らうな』という自分たちが決めたルールは、軍団が解散された後も心のノートに刻み、あの日ひどい目にあったことを今でも忘れない。
「コタくんおはよ〜。」
「おはようございますっす、めぐ先輩。」
「サエくんとは、いっしょじゃないの?」
「一緒じゃないっすよ。」
・・・忘れてない。
「おう。じゃあなんで犬飼と一緒じゃない桃地が、裏から来やがった。」
「嘘ついたら、めぐの泣き入れっぞ。覚悟出来てんだろうな!?あぁ!」
「畑に水を遣りに来ただけっす・・・。正門より裏門からのが近いっすから。」
忘れてないけど、桃地はそれでも犬飼を意地でも守り抜くつもりだ。
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