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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#52 401と423+αの大浴場清掃(3/4)
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比路と梅ちゃんと圭の3人組

一方、比路、圭の2人組は、助っ人で増えた梅ちゃんが手伝ってくれたおかげもあり順調に掃除が進んでいた。

「司くんたちって本当、遊びの天才ですよね?色んな遊びをすぐ思い付いて凄いです。」

「天才っていうほどでもないよ。今のアレはただただアッキー巻き込んでサボってるだけだし。」

脱衣所が終わり、今度は大浴場の水回りの清掃に。
ギャアギャアうるさい浴槽側を時折気にしてしまうが、動かす手を休ませない。

「圭もごめんね。司がうるさくさせてて。朋也に見張らせた意味もなくさせちゃって。」

「いいよ。こっちも澤村くんが騒がしくさせてたし。」

「こっちはこっちでやって終わったら司たち置いていこう。圭もこのあと部活でしょ?」

「うん、そうだね。」

でもこっちはこっちで。
ほのぼの〜っとお喋りを続けていた。



改めてましてのご挨拶

けど、

「・・・・・・。」

「何?梅谷くん。」

今日はいつものメンバーの中に珍しく圭がいて、ちょっと新鮮。かなり新鮮。

「いえ。相沢くんとこうしてお話するのって初めてなので。学寮戦でもボク直ぐに死んじゃって、あまりお話出来ませんでしたから。」

「・・・・・・。」

なので今さらだけど改めてましてのご挨拶。

「B組の梅谷 瑞希です。部活は文芸部です。仲良くしていただけると嬉しいです。」

「・・・A組の相沢 圭。部活は吹奏楽部。こちらこそよろしく。」

梅ちゃんと圭。
圭と梅ちゃん。
こうして互いに名を交わしあう。



素直な圭

いつもは上目線な発言をする圭だけど、今日はちょっとおとなしい?と言うより素直。

「峰岸くん。こっちお願いしていい?」

「うん?」

「眼鏡が雲って見えにくくて・・・。」

「いいよいいよ。じゃあこっちと交代しよ?」

比路や梅ちゃんに対しても、いつものような発言は圭の口から出ることがなかった。

「相沢くんが眼鏡外した姿、初めて見ます。」

「・・・うん。眼鏡ないと何も見えなくなるから。」

「コンタクトにはしないのですか?」

「コンタクト、無理。目に物入れられない。」

「眼鏡って不思議だよね。圭だと凄く賢く見えるのに、司だと全然賢く見えないんだもん。まあその通りの話なんだけどさ。」

今は機嫌が良いのかな?
これをきっかけに、もうちょっとだけでも心開いてほしいところだ。



不潔防止策

そうして水回りの清掃もほぼ終わり。

「あとはシャンプーとか補充するだけか。持参したシャンプー使ってる人多いのに、なんで大浴場に置かれてるんだろう?」

「それは寮長曰く。青ノ葉高生の全部の男子が清潔とは限らないからだそうです。」

「うわぁ・・・。」

「なにそれ?」

「替えを買いに行けなかった人や、持参してこない人の為みたいです。そのままシャワーだけで済ませられても困るのは周りだからって、寮長が置くようにしたそうです。」

ボディーソープにシャンプー、コンディショナーの順で容器を1ヶ所にまとめて補充を開始。
3人とも屈んで詰め替え用のロートを使い、1つずつ。丁寧に慎重に溢さないように、ゆっくりゆっくり入れていく。

「確かに。シャワーだけで済ませるのは勘弁してほしい話だよね。」



圧勝試合

ところ戻って石鹸ホッケー組は、ヒートアップして白熱な試合を送っていた。
かと思えば、

「朋也パス!」

「任せた。」

「うっしゃあ!いっくぜぇー!!」

「「うわあ!?」」

パワーバカの恭が中心となり、朋也から貰った石鹸を直球ストレートでゴールを決め、試合を一方的に動かしっぱなし。

「ナイスアシスト朋也。ちょうど欲しいとこに持ってきてくれるなんて流石だな!」

「澤村こそナイスシュート。次も頼んだ。」

「おうよ!オレと朋也でガンガン攻めてやろうぜ。」

綺麗にゴールが決まる度にパーンッとハイタッチを交わし、チームの雰囲気はお互いに息が合っていてとってもいい感じ。



言い出しっぺはキャンセルが言えない

そんな一方で打たれっぱなしの司と稚空は、

「ちょっとストップ!お二人さんタンマタンマ!」

「俺らがキョウの体力に敵うわけないだろ!ちょっとは手加減してよ!」

ゼーハーゼーハーと乱れた呼吸は虫の息。
やっぱり恭の体力に追い付けるわけがなく、試合はまだ終わってないのにゲッソリと瀕死状態。
涼しい顔をして汗知らずの朋也・恭とは、えらい違い。

「あ?何言ってんだ。やるからには常に全力で、だろ。な?朋也。」

「そうだな。負けるのだけは嫌だから・・・。」

しかしこのままではマズイ。
何としてでも試合の流れを変えないと、負けが確定して罰ゲームを受ける羽目になる。
こんなことなら罰ゲームありにするんじゃなかったと後悔しても、もう遅い。

「どうしよ?つかポン。もう降参しておとなしく罰ゲーム受けちゃう?」

「まだだアッキー!まだ諦めるのは早いよアッキー!あとつかポンやめろ。」

言い出しっぺは自分たちだから、簡単に諦めるわけにもいかなかった。



ミラクル弾丸ホームラン

だからゲッソリでも瀕死でも這い上がった司と稚空。
余裕に差がある朋也と恭に立ち向かい、既に勝負がついた試合でも最後までやる気だ。

「行くぜキョウ!って、おわ!?」

そんなとき司のラッキーが、ついにミラクルを起こす。
体力尽きた腕でがむしゃらに振ったブラシが石鹸を浮かせて、恭のもとに真っ向から放たれた。

「よっしゃ!来い!」

それでも動じない恭。
むしろこれで完全に勝負を決めて勝利を我が手に掴もうと、バットに似たてて構えたブラシで向かい打つ。

「バッターホームラン!」

そして恭がカキーンではなく、バコーンと決めた石鹸は浴槽外の場外。なんと比路たちの元に。

「うわぁぁ!?」

決まった弾丸ホームランは、詰め替え真っ最中だったコンディショナーを全部ぶちまけさせたのだった。



コンディショナーだから問題ありません

「3人とも大丈・・・、ぅわ!?」

4人のせいで詰め替えたばかりのが全部ひっくり返り、コンディショナーまみれになった比路、梅ちゃん、圭の3人。
頭から被ったせいで顔やら全身が、白濁とした液体でドロドロに。

「大丈夫なわけ、ないでしょ?」

「びっくり・・・です。」

「・・・・・・。」

もしここに挿し絵があるとしたら艶かしく、ならぬ方向へ勘違いされそうな描写が入るだろう。
でも安心してください。
3人にぶっかかってるのはコンディショナーです。
コンディショナーだから問題ありません。
とっても大事なことなので二度言います。
コンディショナーだから問題ありません。



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