アールグレイのマドレーヌをバクリと一口でいった稚空。 さっきから気になっていたことを明人に尋ねる。
「で、兄ちゃん。なんで今、兄ちゃんしかいないの?」
今は部活動勧誘会の時間帯。 他の部は賑やかなのに、家庭科室にいたのは明人一人のみ。他の部員はどうしたのだろう?
「別に大した理由じゃないよ。家庭科部は僕一人しかいないから。」
「は?」
「正確に言えば僕一人しかいなくなったって言った方が正しいかな。」
「え?は?ちょっと待って!それって結構、深刻だよね?大した理由になってるよね?」
「そんなことないよ。」
明人は一緒に用意した紅茶をコポポポポ・・・とティーカップに注ぎ、自分と三人の前に置いて訳を話す。 だが、その訳はこの部活の存在意義にも十二分に関わっていた。 家庭科部の部員が明人一人しかいないって、それって大丈夫?
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