「黒崎・・・真央・・・?って、あの?」
黒縁眼鏡の男子生徒=黒崎だと知った矢口。 同級生の生徒ですらほとんど知らないくせに、その名前だけは聞き覚えがあった模様。 何せ黒崎も『図書室の本を全て読みきった文芸部の生徒』と、名が渡り歩いていた生徒。
「あのって、どの?」
「図書室の本を全て読みきった変態。」
「えぇー・・・、変態はヤダな。もうちょっとカッコいい言い方がいいよ。」
あっちは善でこっちは悪。 同じように人から人へ名が渡り歩いていても、中身は全くもって正反対。
「そうか。黒崎って、あんただったんだな。」
「うん。でも僕のが年上だから『あんた』じゃなくて、ちゃんと先輩付けて呼んでほしいかも。」
「・・・そういうとこ気にするんだな、あんた。」
どうりで会った時から、コイツとは合わない気がしていたわけだ。
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