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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#50 比路episodeEX(4/4)
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ピーピー覚えた泣き声

しかし事件はここから起きた。
ホテルをあとにしてからも、まだこの近辺にいた少年。
すると近くの公園から、ピーピー泣くあの男の子の泣き声が。
異常な声を上げてるから急いで向かうと、やっぱりあの大人たちの子供が2人ともいた。

「いた!ん?」

けど自分より年下、その子らよりは年上の中学生が3人もいて状況は最悪。
駆け付けた時には既に遅かった。

「ーーー・・・!?」

少年に敵意を抱いてきた男の子が、その中学生らの袋にされて、ボロボロに叩きのめされるシーンを少年は見てしまう。



年上としてやっちゃいけないタブー

辺りに散乱してるのは、あの男の子が持っていたロボットのオモチャ。
それがぐちゃぐちゃの欠片となっていて、本来の姿は跡形もなかった。
また周りに大人がいない状況で、いったい何があったのか。

「おい。どこ中のクソガキだ。自分より小さい子を泣かすとか、上としてやっちゃいけないタブーだろう?」

その全部なんて知りたくない。
把握しただけでも怒りが抑えれなかった少年は、

「それを目の前でやられちゃ、己の体に分からすしかねえよな?覚悟しな!」

高校生なのに大人げない圧倒的な強さで中学生3人に処罰を。
ぶつけた正義の拳で弱いものいじめを退治する。



心に負う傷口

そしてようやく男の子たちのもとへ。

「大丈夫か!?」

しかし1人は意識がなくて、もう1人はその子を見たまま動かない。
涙を流しっぱなしの目が遠くを見つめてしまっている。

「しっかりしろ!おい!しっかりしろって!」

「・・・ぁ・・・ぅ。」

必死に呼んで我に返させたけど、男の子は瞳に光を戻すことはなかった。
この現状が。この絶望が。
男の子にとって、ショックがとても大きすぎたようだ。



特別な力の強さ

すかさず少年は自分が帰ることが出来る手段を使う。

「少年、オレと次に会うまで約束しよう。」

今まで切ってた携帯電話の電源を入れて、仕込まれていた機能を復旧させたことにより、自分を心配してた方々に自分の居場所を特定させた。
もちろん緊急時に使える公共手段もお助けとして、つかまえて。

「約・・・束・・・?」

「そ。次に会えるまでの、男と男の約束。これで暫く会えなくなるから。」

すると彼が持つ特別な力が動いたのか。
ものの数分で1台の救急車と数台の黒い車がやってきた。
前者はのめされた男の子を救う為。
後者は家出少年を連れ戻す為。



交わした約束

泣き虫の男の子とは、これがお別れ。
これでお別れしてしまう前に、やり残したことがないように。

「やり方分かるか?こう拳をつくって、オレの拳にぶつけろ。」

「・・・こう?」

「そう。次、オレと会うまでに。強くなれよ、少年。」

拳と拳をぶつけて男と男の約束を。
自分と約束を交わさせる。

「そしてこれは念のため。絶対忘れないおまじないかけてやる。」

「え?」

けれどそれだけでは不安だったのか。



原点となる昔話

少年は自分の唇を男の子の唇にくっ付けて、おまじないをかけた。

「・・・!」

男の子が忘れてしまうことがないように。

「へへ・・・っ。流石にしょっぱいな。」

このおまじないは涙の味がした。
けど宿された効力は、男の子にとってとても強く残るだろう。

「じゃあな。約束・・・だからな、少年。」

そう。今回は泣き虫だった男の子、比路の昔話。
これが交わした約束。
これが古傷の苦い思い出。
そして今の比路にとって、原点となった物語だったのでした。



青ノ葉 第50話をお読みいただきありがとうございます!

なんとか50話いけた記念と
比路エピソードの区切りとして
彼の過去話を書かせていただきました


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