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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#50 比路episodeEX(3/4)
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カツ丼屋にしようか迷った

こうして少年には、迷子の男の子を無事に(?)親のもとへ返したことにより、お望み通り礼と詫びが込められた報酬を。
もうじきご飯時に近かったためか、ここから近かった蕎麦屋でお蕎麦をご馳走された。が、

「連れてきておいてなんだけど。キミも迷子ー・・・というわけじゃなさそうだね。」

「・・・・・・!」

今度はそこで尋問が始まり、誘拐犯にされそうになった時よりも、絶体絶命な目に合わされる。

「名前は?」

「・・・・・・。」

「年齢は?」

「・・・・・・。」

問われることに何一つ答えれない少年。
このままではこの蕎麦が最後の晩餐になってしまう。



許せる限りの証言

「見た限りでは学生。高校生、だよね?学校はどこかな?」

だからこのピンチを乗り切るために、少年は自分が許せる限りの身分を証言。

「青ノ葉・・・学園。」

「青ノ葉?って、どこ高校だろう。何都道府県?ねえ、知ってる?」

「ネット検索で引っ掛かった。どうやら全寮制の男子校みたいだな。」

しかし明かせれたのは、その部分だけだった。

「え、こんな場所から来たの!?寮から黙って抜け出してるとかあるかな?」

「今は大型連休の帰省期間中です。なので学校に連絡入れられると、無関係な先生たちに迷惑かかるから、その・・・っ。」



少年の様子見て少年の様子見て

答えることが苦しそうな少年を見て、大人たちは深く追求しなかった。
彼の学校がどこであれ、こんな場所で子供が1人でいれば、だいたい予想がつく。

「家出も良くないよ?」

「!」

だから全部を語られなくても、少年の身ぶり素振りから把握した。

「何より家族が、キミのことを誰よりも心配しているよ。」

「大丈夫です。常にされてる身ですけど、そんな家族はいませんので。」

なのでもう長居は出来ない。
そう悟った少年はペコリと深々く頭を下げて去ろうとした。

「お蕎麦ご馳走様でした。とても美味しかったです。ありがとうございました。」



野宿続くと有り難みが増すふかふか

「待って。」

そのとき一緒に立ち上がった大人たちが、少年を止めに入る。
理由を語る彼の瞳を見て、4人の意見は一致。

「よかったらもう少しだけ。キミさえよければ僕たちと一緒に来ない?」

「え。」

「僕たちも今、旅行中でね。これからホテルに戻るとこだったんだ。こっちは一人分費が増えても問題ないし、どうかな?」

「昼は暑くても夜はまだ寒い。公園で冷たい夜風を浴びて過ごすより、どうせならホテルのふかふかベッドで朝を迎えた方がいいと思わないか?」

「うぅ。」

少年が高校生。未成年と分かった以上、このまま放置するわけにもいかなかったようだ。
だから男2人が誘惑で釣ってまで彼を保護することに。

「誘拐じゃないから安心してね。もしアレだったら僕が責任もってキミの家まで送るよ?」

「それは平気です。ちゃんと自分で手段使って帰りますし帰れます。」



一緒に過ごした一夜

保護された少年はもう少しだけ、出会った家族たちと一緒の時間を過ごす。
おかげでこの人たちは不思議な大家族ではなく、二家族が一緒にいただけだと分かり、シンプルに謎が解けた。
けどどちらもとてもあったかい家族。
自分のと温度差を改めて知って羨ましく思えた。

「・・・ありがとうございました。」

こうしてたった一夜という、とても短い時間はあっという間に過ぎていく。
このホテルがオートロック式と分かった少年は、皆が起きてない内に、コッソリと外へ出ていったのでした。
たくさんの思い出を胸に抱えて。



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