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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#50 比路episodeEX(2/4)
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男が泣いていいとき

しゃっくりを繰り返すほど泣きっぱなしだった男の子。
だがいつまでもそれでは話が進ませれない。
だから頬っぺたに触れていた手は、そのまま男の子の涙を拭う。

「いいか?男はそんな簡単に泣いていいもんじゃねえぞ。泣いていいのは、そうだな。」

「ひっく・・・。」

「産まれたとき、親が死んだとき、愛する人を失ったとき。あ、あとチャックで挟んだときも泣いていいか。アレすげえ痛ぇし。」

「・・・えぐえぐっ。」

「とにかく。男なら簡単に泣くな。泣き虫さんとバイバイしたけば泣き止んでくれ。」

彼なりにあやしているつもりなのか。
トン、トン、トンと。
背中まで優しく優しくリズムよく叩いて、泣きっぱなしの男の子を落ち着かせた。

「・・・っ・・・うん。」

「よし、いい子だ。」



最良作戦

さて、と。ここからどうしよう。

「つかさ・・・。」

「うん?それがお前の名前か?」

このまま交番に行くのが一番の手だが、家出してる身の人間が行ったら一緒に捕まってアウトだ。

「ちっちゃいのに偉いな。自分から自分の名前言えて。」

「・・・ちっちゃくないもん。」

「おう。好き嫌いなくして何でもいっぱい食え。そしたらもっと大きくなれるぞ。」

「ぎゅーにゅーや。」

「牛乳嫌いか。勿体ないな。風呂上がりに腰に手を当てて飲む牛乳ほど美味いもんねえのに。まあフルーツ牛乳には敵わねえけどさ。」

だとしたら人通りが多い場所へ連れて行き、今もどこかで探してるはずの親に、この子を見つけてもらった方が最良の手といったところか。



探してもらおう

「そのロボット、カッコいいな。」

「パパが買ってくれたの。」

「ふーん・・・。」

「おにーちゃんの首もとで光ってるソレなあに?」

「うん?あぁ、これのことか。これは何処にでもあるのに世界で1つしかない首飾りってとこかな。」

少年は自分会議で組み立てた最良作戦通りに。
男の子と手を繋いで、一緒に場所を移す。

「ところでおにーちゃん、どこいくの?」

「心配しなくても大丈夫。いい子にしてたらお兄ちゃんが、お父さんとお母さんの元へちゃーんと返してあげるから。」

するとそのとき。



容赦ない蹴り

また背後から何かの気配が。

「あ。」

「ん?」

しかし今度は振り向けるほど時間の余裕はなく、

「ヒロを返せ!この誘拐犯っ!!」

「ひぐッ!?!?!?」

足と足の間を、そこから容赦なく蹴り上げられてしまった。



再会できた2人

ズバーンッと股間に入った強烈な蹴り。
喰らった少年は尋常じゃない痛みに耐えれず、その場に崩れて腰をビクつかす。

「・・・っ・・・!」

けどどうやら迷子の男の子に、ようやくお迎えが来たようだ。

「つかさー。」

繋いだ手から離れた男の子は、やってきたもう1人の男の子の元へ。

「大丈夫?ヒロ。怪我ない?」

「うん。」

「もー!勝手にいなくなっちゃダメだろ。」

「ごめんなさい・・・。」

離れた時間は数分だったけど、2人にとってはあまりにも長すぎて、やっと再会出来たことにお互いホッとした笑顔を浮かべる。
股間抑えて踞る少年をほっぽって。

「比路いた!」

「って司!あぁ、何やって!?」



全男共通の激痛

やってきた男の子のあとを追って、ぞろぞろと男2の女2の大人たちが集まってくる。
パッと見、大人たちは全員歳が近そうな風貌。
そのせいか少年の目には、大家族にしては不思議な組み合わせに見えた。

「お父さん!コイツゆーかい犯!ヒロ連れてこうとしてた!つーほーして、つーほー!」

「つかさ。おにーちゃん、ゆーかいちがうぅ。」

蹴ってきた男の子は、少年に敵意剥き出し。
そのせいで危ない空気感が生まれたが、迷子だった男の子の証言により、それは勘違いだと大人たちに分かってもらえたようだ。

「比路をつかまえててくれてありがとう。ちょっと目を離した隙にいなくなっちゃってね。ハハッ、面目ない。ぜひお礼をさせてほしいんだけど。」

「い、いえ・・・っ・・・お構いなく。」

「いや、遠慮せず是非ともさせてほしい。息子が大事なとこ蹴ってしまったお詫びも兼ねて。」

「大丈夫かい?キミ、立てる?」

「・・・・・・っ。」

そしてこの痛みまで、男2人に分かち合われるのでした。



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