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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#48 青ノ葉 学寮戦 (5)(1/3)
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助けを求めた先で

学生寮の窓から抜け出した圭。
人の目につきにくい道から校舎を目指す。
けれどこんなときにまで彼の短所が働いて、校舎とは違う場所に圭をたどり着かせる。

「!?」

そこはなんと職員用の駐車場。
気付いたときには学生寮からも校舎からも離れた位置にいた。

「そんな・・・。」

こんなときにまでやらかした方向音痴の失態に、圭は自分に絶望を覚え立ち尽くしてしまう。
ああ、この瞬間にも1年生の誰かが寮生長(自分)探しの犠牲になっているというのに・・・。

「・・・・・・っ。」



助けてください!

「え。相沢、君?」

その時、幸が味方したのか。
職員会議が終えて帰宅しようとしていた本田先生と藤堂先生が圭を発見。
寮の門限がとっくに過ぎている現在時刻。
今まで圭は誰かと関わってこなかったが、その間も決して寮則は破らず、首席生として相応しいぐらい規則正しく真面目に過ごしていた。
そんな普段からの行いから、彼が脱走とは考えにくい。

「え?え!?どうして相沢くんがここに!?」

「とにかく行って声を掛けましょう。」

だから2人も慌てて駆け寄ると、予想よりも事態は深刻しているのか。

「どうかしましたか?相沢君。」

「柊先生は・・・どちらに?」

「柊先生でしたらまだ、校舎にいらっしゃいますが。」

圭は先生に事情を話す前に、必死な声で叫んだ。

「・・・けて、下さい。」

「え?」

「皆を助けてください!」



とても苦い記憶

ー・・・その一方。
学寮戦が始まる前から早々に引き離されて、数分ぶりに2人がやっと会えた矢先、比路の目の前で撃たれた司。
水鉄砲の水で濡れたその背は冷たく、彼もこれで戦闘不能となる。

「なんてね。」

そんな司を撃った久野は悪い笑顔をしていて、まるでこのときを待っていたかのようだった。

「つか、さ・・・?」

司が戦闘不能になった現実を。
目の前で見ていた出来事に瞬きを繰り返し茫然と止まる比路。
その瞬間、彼の中でフラッシュバックが起き、当時の思い出が。
ボロボロの司が目の前にいるのに、泣き虫な自分は何も出来なかった幼少時のとてもとても苦い記憶の断片が鮮明に甦る。

『約束・・・だからな、少年。』

誰かと交わした約束と一緒に・・・。

「ーーー・・・。」



比路vs久野

そしてやっと動いたかと思えば、司を朋也へ一方的に預けた比路。

「朋也。司お願い。」

「え。」

するとその場で高く跳んで、久野の元へ瞬間移動。狙いを定めて、問答無用で襲いかかる。

「ーーー!!!」

が。そんな彼の様子は、いつもと明らかに違う。
大逆鱗を起こす比路は、とても強い怒りで己を激昂させて、殺気までも奮い立たせていた。

「峰、岸・・・?」

「・・・・・・。」



比路vs久野 2

拳や蹴りの攻撃を仕掛ける一つ一つの動きが、素早さも威力も重さも、いつもより数段に増して鋭くなっている。

「やぁぁああッ!!」

「!?」

挑まれた久野も普段からの組手で呼吸を読め、受け止めたダメージは最小限に抑えれたが油断は禁物。
一歩間違えれば怪我を負う恐れがある。

「・・・なるほど。確かにこれは危ないな。」

目には目を。
歯には歯を。
拳には拳を。
水鉄砲のオモチャなんて要らない。
階段の踊り場にて久野に招かれた比路との争闘は、激しく繰り広がっていく。



司のもとへ

こんな狭いスペースでも構わず暴れ、膝から下に炊かれたドライアイスのスモークまでも舞い乱れまくり。
2人が交戦する一方で、任された通り司の傍へと駆け寄る朋也。

「大丈夫か?森。」

「あ、あぁ・・・。背中が濡れただけだから平気。」

高ぶる己の気が争う2人から強い気を感知して目が離せられずにいた。

「それよりもヒロを・・・、とめないと・・・。」

「やめろ森。今行くのは危ない。」

そこからもいつもの比路ではないことが感じ取れたが、正直これは異常。
司もそれは分かっているようだが、下手に間に入ったら2人の拳に巻き込まれるのが目に見えている。



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