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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#48 青ノ葉 学寮戦 (5)(2/3)
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やって来たもう1人

「なんだ!?この気は!?」

もちろん争う2人の気を感知したのは朋也だけではなかった。

「キョウ!」

餌に釣られた魚のように、漂うこの気の元を追って恭がやって来る。

「生きてたのか。」

「あぁ、なんとか・・・。圭だけは外に出せた。だからもうじきチロ先生が来て終わる。」

「相沢だけって、他の人は?」

「・・・・・・。」

「・・・そうか。」

久しぶりの再会で本来なら喜ばしいところ。
だけど司も朋也も恭も、今はそれどころではなかった。
レクリエーションの最中だと言うのを忘れそうになるぐらい。



久野の企み

「それよりどうなってんだよ、あの2人。なんで比路はあんな殺気を?」

「分からない。ただ久野先輩に森が撃たれた途端、峰岸がぶちギレた。」

「久野先輩が司を・・・、まさか。」

朋也から情報を聞き出して把握した恭。
するとこの現状に何か心当たりがあるようで苦い表情を浮かべる。

「キョウなの?克兄ちゃんに吹き込んだの。」

「吹き込んだだなんて人聞き悪い言い方すんじゃねえ。オレは訊かれたから答えただけだ。」

そして何かに躊躇って、言葉に迷いを生じるさせた。

「訊かれたって何を?」

「え・・・っと。それは、だな。」

「ヒロがキョウに怪我を負わせた去年の夏の話?」

「あ。・・・あぁ。」



去年の夏

この話に直接関わってないのは朋也だけ。
でもいつの日か比路から聞かされたことがある。
それは去年の夏、比路が通う道場に道場破りの体験にきた恭との話。

「訊かれたんだ。その時、近くに司いなかったかって。」

「なんでそこで森が?」

「ヒロが通ってた道場に、よく遊びに来てたから。克兄ちゃんがいなくなった後でも変わらず。」

対戦組むことになった恭との手合わせで、比路は負けなかったと教えてくれた。
その後、恭に怪我を負わせて、それがトラウマになったことも。

「まあ当時、色々あったが『いた』って答えたら、『やっぱり』と返されたんだ。」

「やっぱりって、何が?」

「そこはオレにも分からん。」



恭との話はまた別の機会で

それは去年の夏休みー・・・。
比路が通う道場に、道場破りの体験に訪れた恭。
そこで比路と恭が対戦組むことになって、勝ったのは比路。
敗れた恭はあまりの悔しさに腹が立って比路に殴り掛かったんだ。

『ヒロ危ない!』

『!』

だがその時、遊びに来てた司が先に気づいて庇ったが途端に比路の怒りが大爆発。
恭に怪我を負わせ、道場の先生と恭の師匠、2人の大人に取り押さえられるほど暴れた、と。

「当時は負けると思ってなかったんだ。師匠にもいいとこ見せたくてさ・・・。」

当時の話を今度は恭から聞かされる。

「その時のことを話たら、やっぱりって言われて何かを納得されたから。もしかしたらそれが関係してるのかと思ってな。」

でもこの話は悪魔でもきっかけ。



禁句よりも禁忌なタブー

元凶を誰かのせいにするのなら、それは恭ではなく久野の企みのせい。

「なるほど。それで克兄ちゃん、俺を利用したんだ・・・。」

ひとつめは、チビと言われること。
ふたつめは、強暴と言われること。
そしてみっつめは、司。
これはどの禁句よりも禁忌。
何せ司に危害加えると、もれなく比路が大激怒起こすので絶対にやってはいけないタブーなのだ。

「トラウマを抱えた理由も知りたかったけど、それ以上に。1回本気で比路とやり合ってみたかったから。」

恭からの話を聞いて原因が分かっていながら、久野は司を導火線として利用したんだ。
このレクリエーションに交えて。

「でもまさかあの比路が、こんなにも力を付けていただなんて。驚いたよ・・・、ホント。」



比路vs久野 3

打つ。
取る。
組む。
攻勢の比路。

「はぁッ!」

打たせない。
取らせない。
組ませない。
防戦の久野。

「ここまでいくとは思ってなかったけどね。」

互いに一方的だった攻めと守りの動き。

「でもこのままじゃ本当に危ないから、こっちも本気でいくよ。」

けど、久野がひと息上げた途端に優勢の旗が彼に上がる。

「ふんッ!」



比路vs久野 4

今まで防戦一方だったのが、ここにきて攻勢に。
打つのも久野。
取るのも久野。
組むのも久野。

「ーーー!!」

背負われた比路は、綺麗なフォームで廊下に投げられた。
そしてそのまま俯せで取り押さえ込まれ、両手は背に回されて身動きが完全に出来なくなる。

「比路ストップ。落ち着いて。」

「・・・なして!離してぇッ!」

2人の決着は結局、全敗全勝の結果で、これまで通りと変わらなかった。
そんな比路と久野の決着を最後まで見ていた3人。
けどそのうち1人。
比路が投げられた辺りから、司の様子がおかしくなる。

「・・・・・・。」

「森?」

それを感じ取り、朋也は異変に気付く。



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