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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#47 青ノ葉 学寮戦 (4)(1/4)
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2人が休んでいる隙で

自分が助けられるために、次々と犠牲になっていく仲間。
それを背に負って逃げた足取りは、とても重たくて身より心が削られる。

「いい?休むのはちょっとだけだよ。あともう少しで外に出られるから。」

「あぁ。」

けれどその際も、後ろは絶対振り返らないようにしていた稚空と恭。
一度足を止めて、乱れた息を整える。
もちろんそこには圭も一緒。
逃がされていた間も、ずっと2人に守られていたが、冷静でいた彼。

「・・・・・・。」

ずっと訳が分からないまま巻き込まれて来たけれど、2人が休んでいる隙に、この学寮戦のルールを改めて知ってしまう。
どうすれば。
何をすれば。
手っ取り早く終わらせる方法を。



手っ取り早く終わらせる方法

「けど稚空。どうやって外に出るんだ?」

「1階に着いたら1番近い窓から脱出。でも直ぐに閉じないと気付かれるから気を付けて。最悪、相沢くんだけでも。」

稚空と恭で話し合う小さな作戦。
お互いに策を共有させて、今後の行動に計画を組み立てていく。
その時、

「・・・なるほど。」

ようやくルールを理解した圭が持っていた自分の水鉄砲を。
己の頭に銃口向けて、その引き金をこの手で引いて、自決しようとした。

「圭やめろっ!そんなバカな真似!」

しかしそんな圭を止めたのは、

「ー・・・っ!」

「稚空っ!」

稚空だった。



稚空と圭

「キョン!早くコイツから銃奪って!」

「おう!」

手っ取り早く終わらせようとした圭を押し倒してまで寸前で止めた稚空。
彼が二度と自決出来ないよう、恭に水鉄砲を奪わせる。

「ちょっと!何をして!?」

そして胸ぐらを両手で掴みながら体を起こさせ、怒りのまま強く言葉を放つ。

「お前こそ何してんだ!ふざけんな!!」

「ふざけてるのは貴様らだろ。いつまでもこんなことに付き合っていていられるか。」

「お前がここで死んだら、ここまでオレらを守ってくれた皆の思いが台無しになるだろ!」

「勝手に人を巻き込んでおきながら、よくそういうこと言えるね?守ってくれだなんて、僕は一度も言ってないけど。」

なのに2人の言い分は食い違ったまま、噛み合わず諍いが起きてしまう。

「やっぱりオレ、お前キライ!」

「キライで結構。」



稚空と圭 2

「稚空も圭も、こんなときに喧嘩はよせ。」

「喧嘩じゃない!こんな奴と喧嘩してたまるか!」

すかさず恭が間に入って仲裁。
圭の胸ぐらを掴んでいた稚空の手を離させる。
だけど言い合う声が大きかったせいで、3人の存在が付近にいた上級生に気づかれてしまった。

「こっちに1年いたぞ!」

「!」

因果は喧嘩だけど、それが理由になったらそれこそ皆に合わせる顔がなくなる。

「お前が寮生長じゃなければ、オレがお前を撃ちたいよ。ほんと・・・。」

こんな場所で捕まるわけにはいかない。
こんな場所でやられるわけにはいかない。
だから今は逃げることだけを考え、再び3人は走り出した。



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