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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#6 ルームメイトの相方(1/2)
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噂声

それから比路と別れて教室を後にした朋也。

「おい。あれ一年だよな?なんかアイツ、ヤバくないか?」

「おいおい。一年にもあんなのいるのか?犬飼たちだけで勘弁してくれよ。」

ヒソヒソと自分に向けられる話し声。
それは柄が悪そうな彼の外見だけで判断された話。

「・・・・・・。」

朋也にとってそれは慣れた日常の一部。
いちいち構っていたらキリがないので相手にしたくない。
けれど、そんな慣れたはずの日常に、いちいちズキズキ構うナイーブな心。

(はぁ・・・。)

朋也は誰にも気づかれないように。誰にも聞こえないように。
疲れたため息を小さく深く吐いた。



401号室

朋也の寮部屋は401号室。
真っ直ぐ自分の部屋に帰ってきた。

「・・・ーっ。」

そして引っ掻かれた傷口に消毒を。
じわ〜っと沁みる鈍い痛みに耐え、もらったばかりの絆創膏を手と口で器用に使って貼っつける。

(そういや礼、言ってなかったような・・・?)

それから直ぐのこと。
コンコンッと、この部屋のドアを二回ノックする音が。

「失礼する。」

ガチャッと扉が開くと、そこには気品溢れたオーラを放つ眼鏡を掛けた男子生徒がいた。

「・・・おう。遅かったな。」



相沢 圭

朋也とルームメイトの眼鏡を掛けた一人の男子生徒。
彼の名前は、相沢 圭(あいざわ けい)。
今年の新入生の代表として選ばれ、1年A組のクラス委員長を務めることにもなった。

「少し職員室に寄ってたものでな。」

401号室を使う朋也と圭。
二人は同じ中学出身で青ノ葉に来る前から見知った関係だが、当時は仲が良かったわけでも悪かったわけでもない。
そもそもまともに話したのは昨日の入寮日が初めて。
けれど圭は柄の悪そうな朋也に対して、怯えもしなければ下らない喧嘩も売らない。
その理由は簡単。

『お前のような一般民に気を取られているほど、暇ではないからな。』

ただたんに無関心なだけ。
落ちつきはあるがプライドが高い圭にとって、自分に害が及ばなければ特に問題がないようだ。



相沢の風評

圭は富豪な家庭育ちで相沢財閥の後を継ぐ一人息子。
プライド高くて、高価なモノしか興味を持たない。
もちろんそんな彼を知る人は、

『何で財閥の坊ちゃんが、こんな無名の学校にいるんだよ。』

『本命落ちた噂あったけど、マジだったんだな。』

『うっわ、可哀相・・・。ざまぁねぇけどな。』

朋也とはまた違うが、あまり快くない印象を抱く。
もちろんそれを圭も耳にしたことあるが、気にすらしてない。
それが自分に対した悪口であっても、そもそもに興味がない。興味が持てずに無関心。

『・・・・・・。』

これだけ言われていても所詮は陰口。
直接、害はないので『どうでもいい』ことに過ぎなかった。



朋也と圭の二人

そうして制服から普段着へと着替えた二人。

「朋也。その手・・・、何かあったのか?絆創膏してるようだが。」

「なんでもねぇよ。」

朋也の怪我を目にして、珍しく興味を示す圭。
少なからず彼も朋也の噂を耳にしたことがあるようで、真新しい絆創膏を不審に思う。

「あまりバカみたいに喧嘩買うなよ。」

「安心しろ。相沢には関係ない話だ。」

「ああ、ぜひともそうしてくれ。僕まで巻き込むようなヘマするなよ。」

そして二人は部活動勧誘会に興味がないようで、このまま部屋で過ごした。



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