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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#5 長い一日のはじまり(2/2)
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不機嫌アッキー

不機嫌な稚空の様子を伺う。

「なんであんな野郎と同じクラスになったんだろう。」

「あんな野郎?」

「ほら。お二人さんも見ただろ?入学式の時、新入生代表として檀上に立ったアイツ。」

「えっと、名前なんだっけ?」

彼の話によると、その新入生代表として選ばれた男子生徒と自分が、同じA組のクラスだったらしい。
それで、そこまでは別に普通。なんともなかったようだが、問題が起きたのはその後すぐ。
入学式後にあったホームルーム。

「クラス委員長に立候補するのは別にいいんだけどさ。何て言うかな?上からモノを言ってくるあの態度ときたら、ああッ!ムカつく!!」

「どおどお。アッキー、落ち着いて。」

「オレらのクラス全員、誰だって思ったって!あんな事をあんな風に言われたらーーー!!」

A組のクラス委員長を決めていたとき、何やら揉め事が早々に合ったと話す。
ムキーッと怒りを向き出しにさせて、床に強く足踏みしながら八つ当たっていた。



B組のクラス委員長 2

「そっか。じゃあアッキーのクラス委員長は、その人なんだ・・・。」

「ん?」

今の流れで、A組のクラス委員長を把握する比路。
意味深く口にするものだから気になり、今度は稚空からB組のことを尋ねる。

「そっちの委員長は誰になったん?ウチの中学から誰か候補した?」

その質問に対して、

「ん。」

「・・・・・・。」

「ん?」

司は自分の隣を人差し指で差して、比路は黙り込んで返す言葉をなくしてしまう。

「・・・え?」



B組のクラス委員長 3

そんな二人の一つの答えに、稚空も驚きが隠せない。

「まさかひろピーが委員長!?」

「ビンゴビンゴ。こっちくじ引きで決まっちゃって、それをヒロが引いちゃって。」

「うわぁ。何という不運。」

「・・・アッキー、ひろピーやめて。」

やっぱりあのくじはハズレだったのだろうか。
溜め息を重く深く吐く比路を見て、稚空も心配に思ったようだ。

「ひろピー。」

彼の両肩をガシッと掴み、言葉を贈る。

「・・・腕力で片付けないようにね。」

「余計なお世話だよ。あと、ひろピーやめて。」

またそれが励みになったかどうかは別だが。比路は改めて『が、頑張ろう』と誓った心を更に誓う。



どうしたの?

何はともあれ。稚空も揃ったところで一緒に寮へ帰ることに。
A組の教室を出ようとした途端、

「あ!」

何かをふと思い出したのか。比路が突然、大きな声を上げる。

「ごめん。僕ちょっと自分の教室に行ってくる。」

「忘れ物?」

「うん。そんなところ。」

急にどうしたのだろう?

「すぐ戻るから、ここで待ってて。」

慌てた様子で、自分の教室へと戻って行った。



出逢い

(いけないいけない。そのまま帰るとこだった。まだ本田先生いるかな?)

A組からB組へ急いで戻ってきた比路。
その時、

「・・・!」

「わっ!?」

ちょうどこの教室を出ようとした柄の悪そうな一人の男子生徒と鉢合わせ。
急いでたあまりの勢いで、ドンッと強くぶつかった衝撃で、比路は冷たい廊下にトスンッとお尻を突けてしまう。

「いたたたた。」

「あ、ごめん。小さくて見えなかった、悪い。」

「う。」

ぶつかった人に遠まわしで『チビ』言われたが、ぶつかったのは自分のせいなので悪くは言えない。
こればかりは仕方ない。
仕方ないとはいえ、それは禁句ワードなので、ちょっとばかり癇に障られる。

「こっちこそごめんなさい。急いでたものだから。」

明るい声で大丈夫と返したものの、その笑顔を若干引きつかせてしまう。



出逢い 2

柄が悪そうな男子生徒は、自分にぶつかってきた比路に手を差し出す。

「立てるか?」

「・・・・・・。」

彼の手には沢山の傷痕が。
その中の一つだけ真新しくあった引っかき傷。
それを真っ先に目にした比路は、

「ね?この傷、大丈夫?」

差し出された手を掴まず、のんきに指を差して、のほほんと指摘するのでした。

「掴むのなら、さっさと掴んでくれ。」

「ごめんごめん。つい気になっちゃって。」



出逢い 3

「念のために、ちょうど持ってきててよかった。はい、絆創膏。よかったら使って。」

柄の悪そうな一人の男子生徒。

「ん?あ・・・あぁ。」

「たしか、えぇっとー・・・。」

よっと立たせてもらった比路は、その生徒と気軽に話し合う。
そして、

「朋也・・・だっけ?名前。」

「!?」

まだ名乗られていないのに。
その男子生徒の名前を。朋也の名前を当てたのでした。



何で知ってるの?

「ん?どうかした?」

「あ、いや。」

名乗った記憶が欠片もないのに、朋也の名前を知っていた比路。
どうして知っているのだろう?
気になった朋也は、その理由を尋ねる。

「・・・名前。」

「名前?」

「いや。なんで俺の名前・・・?」

「え?だってさっき言ってたじゃない。自己紹介の時に。それを覚えてただけだよ。」

「???」

「あれ?これだけ言っても分からない?」

すると比路は、ニッコリした笑顔で答えた。

「僕もB組で、朋也と同じクラスメイトなんだよ。」

「!」



改めまして

そしてようやく自分の名前を名乗る。

「僕の名前は峰岸 比路。同じクラスの一員として、改めてよろしくね。」

「あ、あぁ。こちらこそ、よろしく。」

比路と朋也。
同じB組のクラスだった二人は、こうして互いの名前を交わし合う。

「朋也は僕のこと覚えてなかったんだね。」

「・・・悪い。」

「ホームルームの時。ちょっとばかり僕、目立ってたと思うんだけどな。」

「そのとき、ほとんど寝てた。」

「入学早々のホームルームで寝るって、すごいね。朋也。」



腐男子二人の話し合い

比路と朋也がB組の教室で話し合っている最中、A組の教室で待たされていた司と稚空。

「あれ?つかポン、興味ないの?」

「なくはないと思うんだけど、なんだろう?二次元まででいいかな?俺は。」

「リアルもいいと思うんだけどな、オレは。特にここ男子校な訳だし。・・・ね。」

腐った男子臭が漂う二人の話。

「今度、姉ちゃんにお願いして持ってきてあげるよ。本当は見たいんでしょ?挿絵だけでも。」

「うぐぐぐ。」

「つかポンだって年頃の男なんだから。そういうのにも興味持ったっておかしくない話だよ。」

比路がいないことをいいことに。
そういう話をオープンにさせて、盛り上がっていたのでした。

「・・・ヒロには絶対、内緒でお願いします。俺、死ねるんで。」



青ノ葉 第五話をお読みいただきありがとうございます!

ようやく比路と朋也を交わらせることができました
けど司・稚空とはまだ会ってもいないため、
そこをこれからどうやって関わらせていこうか
まだまだ先のお話になりますが
考えるだけでも、ワクワクしてきます

ちなみにこの話から、この一日が長く続きます
(恐らく10話先ぐらいまで)
なのでサブタイトルも、このように付けました


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