≪ top ≪ main


青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#44 青ノ葉 学寮戦 (1)(3/4)
]  [目次へ]  [

やめられるもう一つの方法

「チロ先生を呼びに行けるまで、生きてられたら・・・の話だけどね。」

そして日暮寮長は、まだ何かあるのか。
始まってしまう前に、もう一度寮内放送を流した。

『これ追加ルールな。『各学年の寮生長がやられたら、その学年ごと全滅』だ。自分の学年の代表ぐらい己らの力で守れよ。』

「・・・そう来ちゃったか。なら俺も気をつけないとな。」

もちろんそれも2回言って全生徒みんなに言い渡す。
その直後、稚空の携帯電話に明人と華澄のメッセージが送られてきた。2人共揃いに揃って一年の寮生長は比路じゃないかと疑っている内容。ターゲットの1人として絞る。

「えぇ!?なんでヒロが!?」

「理由はB組のクラス委員長だからじゃないかな。俺ら二年も一年生の寮生長、まだ誰か分かってないし。」



久野vs司

「でもおかげでもう一つ。もう一つだけやめられる方法ができたね。」

寮長から追加されたルール。
それによってチロ先生を呼びに行く以外にも、やめられる方法があると久野は言う。
持っている水鉄砲の銃口を比路に狙いを定めて。

「克・・・也・・・?」

「今すぐここで俺に撃たれたらやめられるよ。比路が寮生長だった場合、一年はそこで全滅。残るは俺らと三年だけになるし、寮生長じゃなかった場合でもターゲットを別の子に変わるだけ。その子がやられれば一年はそこでやめることができるよ。」

三年生もマジで二年生もマジで、まだついていけてない一年生だけが取り残されてしまう。
けどいつまでもそういうわけにはいかない。

「アッキー、梅ちゃん!ここからヒロを連れて逃げて!」

敵である久野の前に司が立ち向かい、両手を広げて壁となって塞ぎ、3人をここから逃がそうとする。



司を犠牲に

「司?あんた何をー・・・!?」

「アッキーいいから早く!!」

「・・・分かった!」

そしてこのやり取りを隣の部屋から聞いていたのだろう。

「お前らこっちだ!」

「3人ともボクらについてきて!」

司・比路がいる423号室の隣、422号室の扉がバンッと開く。
そこから颯太、瑛、恭の3人が出て来て、直ぐに移動するよう指示を強く促す。

「オレらはキョンたちについて行こう。ほら、ひろピーも行くよ!」

「やだ・・・、司!司ー!」

あまりにも突然で何も前触れがなく、非日常なことが起きて日常が巻き込まれて行く。
それは普段通りを奪っていき、運任せにクジ引きでも出来なかったこと。司と比路を引き離したのだった。



逃げてきた先で

「後藤、相沢。入るぞ!」

「!」

比路、稚空、梅ちゃん、颯太、瑛、恭の6人が逃げた先は一年階の隅部屋。
スタート地点の死角を少なくさせようと、恭の部屋とは反対方向の401号室。勢いのまま朋也と圭がいる部屋に突撃する。

「偉く騒がしいな。外で何かあったのか?」

朋也も圭も2人揃って至って冷静。
こんな騒がしくなっても慌てふためくことはなく、いつもどおり。

「司が・・・、司が・・・。」

「森がどうかしたのか?」

一方で比路は司をおいてきぼりにさせてしまい、ひどくショックを受けていた。
6人の来訪に朋也が応じ、稚空や恭に説明されて事情を把握。

「開始まであと5分、か。」

「このままじゃ兄ちゃんたちや二年の襲来でオレらはただやられるだけだ。何か作戦立てないとマズイね。」

「明人先輩たちや久野先輩たちに、ボクらの勝ち目はあるのでしょうか?」

恐らく勝率は他の学年より低い。
だからこそ少しでもその率を上げようと知恵を集める。
けど圭だけがその話し合いに参加せず、同じ室内にいるのに1人だけ離れて、遠い位置から7人を見ているだけだった。

「・・・・・・・・・。」



唯一の和みの癒し

少しでも生き残る。
それが勝利に導く合言葉。でもそれは言葉で言えるほど容易いことではない。
強敵揃いの上級生たちに打ち勝たなければ、敗者確定で真っ逆さまだ。

「誰が敵だって関係ないよ!」

そんな時、誰よりも先に立ち上がったのが比路。

「僕は司を助けに行く!それだけは誰が何と言おうとも譲れない。」

いつまでもショックを受けて沈んでいる場合ではない。
比路の意志はとても強くて頑固。放った言葉通り誰に何をやめろと言われても、自分を曲げずにやめることをやめないだろう。

「ひろピーって、そもそも寮生長だったっけ?」

「違うよ。そんな話、一度もされたことない。」

「だよね〜。ひろピーが寮生長だったら、間違いなくオレも把握してるし。あと、つかポンも。」

比路が寮生長という疑いがある以上、上級生の狙いは彼に向かいやすい。
だから稚空は、本人の口と自分の記憶から『一年の寮生長は比路ではない』証言を明人と華澄に返信し、彼が司を助けに行きやすいように標的を少しでも別に逸らさせる。

「それからアッキー。こんな時にまで、ひろピー呼ばれるのやだ。さっきからずっとだったけど。」

「えー、和んでいいでしょ?唯一の癒し、こんな時でも愛情はちゃんと込めてるから。緊迫してる状態だけど実は平和な証だよ。」




]  [目次へ]  [
しおりを挟む




BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×