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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#44 青ノ葉 学寮戦 (1)(2/4)
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変わってしまった風景

突然、バチンッと切れた照明と共にー・・・。
それが始まりの合図となった。

「え!?なになになに!?!?!?なんでいきなり真っ暗になるの!?」

「停電!?近くで雷なんて落ちてないよな?月めっちゃ見えてるし、ネトゲーやってる最中じゃなくてよかった・・・。」

寮内全域の電気が次々に切れて、真っ暗になっていく。
いきなりのことだったから一年の誰かがパニックになったのだろう。その誰かが部屋を出た途端、「うわぁッ!?」と大きな声を上げ何かに凄く驚く。

「え、なに?今の声?」

「なんだ?停電如きで何をそんなにー・・・。」

いったい何が起きたというのか。
その声は司・比路の部屋にも届き、釣られた2人も部屋のドアを開け、誰かが驚いたそれをこの目で見てしまう。

「な・・・ッ!?」

「なんじゃこりゃ!?」

なんと部屋の外は膝下の高さまでモクモクとした白い煙のスモークが充満していたのだ。
さっきまで見てた風景と、変わり果ててしまった今の風景。
ここは本当に青ノ葉学園の学生寮?と思わず疑ってしまうほど、変わってしまった寮内に驚きが隠せなかった。



寮内一斉メール

各自部屋のドア付近外にダンボールがいつの間か置かれており、そこには色水入りの水鉄砲が入っていた。

「何これ?水鉄砲???」

するとその時、全生徒の携帯電話が一斉にメールの着信音が鳴る。
それはこの状況を説明する為に日暮寮長が寮生全生徒へ。送ってきたメールに、こう書かれていた。

「なになに?」

『件名:青ノ葉学生寮交流会 春のレクリエーション開始のお知らせ』
本文:
今年の春は、学年対抗サバイバルゲーム
各自の部屋に人数分の水鉄砲を配布した
自分の学年は味方、自分の学年以外は敵だ
敵を見つけたらその水鉄砲で応戦し駆逐しろ

開始時刻19:00
終了時刻21:00

勝った学年は週末サンデーご褒美ランチ
負けた学年は掃除&片付け全員強制参加
ルールは次のメールを待て・・・。

「は!?レクリエーション?点検はどこいったの!?」

「サバイバルゲーム!?え、何それ?めっちゃ楽しそう!」

「司の感想やっぱそっちか・・・。」

日暮寮長から送られてくる一斉メール。
次のには、ルールが書かれていた。



寮内一斉メール 2

『件名:学年対抗サバイバルゲーム《ルール》』
本文:
さっきも伝えたが今回は学年対抗だ
味方は自分の学年、それ以外は敵
武器は配った水鉄砲のみ(補充禁止)
自分の体が、だいたい濡れたらアウト
生存者の妨げ行為は禁止
やられたら邪魔にならないよう、速やかに一階のオープンスペースへ移動しろ
勝敗は生き残った生徒の数で決める

追記:
寮内点検なんて元からないから安心しろ
騙されてくれてありがとう(特に一年)


『ー・・・っと言うわけだ。』

「!?」

二通目のメールが送られてきて数分後。
5分もしないうちに日暮寮長の寮内放送が入る。
今のメールが受信できなかった生徒の為にもう一度、交流会開始の知らせとルールを二度に渡り説明をしてきた。

『作戦なりチーム立てるなり個人の自由にしていいが、19時には必ずスタートさせる。そこだけは気をつけろよ。』



燃料投下効果

『ちなみに勝者に送るご褒美ランチは肉だ!焼肉だ!BBQだ!喜べ野郎ども!』

寮長からの報酬とメールと放送のせいで、上級生に燃料が投下されたのか。下の階から「うォォおおおお!」と燃えるような野太い雄叫び声が。

「うわぁ、今のって先輩たちの声?」

「俺たちの敵は、めちゃめちゃヤル気があるようだ。上まで聞こえてくるって相当だな。」

それはまるでこうなることが分かっていたかのように。
青ノ葉寮内の土地勘が一番低くてまだ訳も分かってない一年生を、開始前から威圧をかけてくる。

「いやいやいやいや。こんなふざけた話おかしいよ。早く寮長を止めに行った方がよくない?」

「えー、俺も頑張るつもりだったのに。めっちゃ簡易的だけどサバゲーやってみたかったし。」

『んじゃくれぐれも怪我をしないようさせないよう。無事な健闘を祈ってるからな!』

寮長の放送が終わると、嵐の前の静けさのように静まった。



宣戦布告

「あ、よかったです。司くんも比路くんもまだ部屋にいてくれて。」

「アッキー、梅ちゃん!」

開始時刻19時まで、残り10分少々。
その少ない時間で少しでも作戦を企てるつもりなのか。稚空と梅ちゃんが慌てて司と比路の部屋にやってくる。

「お二人さんもこれ見て!寮長のメールの後、兄ちゃんと華澄先輩からの返事が着たんだ!」

放送終わった直後に音沙汰なかった二人の返事が稚空の携帯に。
明人からは『ごめんね。箝口令出てたから何も言えなかったんだ。今日ばかりは稚空もみんなも敵だからよろしく♪』と。
華澄からは『俺らも先ずは一年潰しに行くから覚悟しなよー(^^)』と。
どちらも宣戦布告を示すメッセージが送られて着たようだ。

「なんだよこれ・・・っ!二人ともこんなことマジで言ってんのか!?」

「兄ちゃんや華澄先輩だけじゃない。三年全体が本気だと考えていいと思う。10分後には間違いなく来るよ!」



vs三年生

いきなりどうしてこんなことになったのだろう。
さっきまで普段通りだったじゃないか。

「三年全体ってことは永瀬先輩や小町先輩も・・・、か。曲者揃いの三年生に俺たち勝ち目あるのか?」

「稚空くん黒崎先輩もですか?」

「黒崎先輩は寮生じゃないから、どうだろう?」

永瀬も敵。明人も敵。小町も敵。華澄も敵。黒崎は不明。
今まで仲良かった三年生から敵対視されるなんて、普段じゃ絶対に思わないし想像もつかない。
けどそれが現実となった今、妙な恐怖感が背筋を走り怯えたって無理はないだろう・・・。
そんな時、だった。

「三年生ばかり気にしてるってことは、俺ら二年には眼中ないってこと?」

「克兄ちゃん!?」
「克也!?」

上級生の誰よりも先に一年の階に訪れていた久野。
まだ開始時刻ではないのに、さっそく司ら4人の元へやってくる。



vs二年生

「まさか克兄ちゃんまで敵!?」

「蓮さんからのメールと放送、ひょっとしてちゃんと理解してない?一年の敵は三年生だけじゃなくて、俺ら二年もなんだけど。」

久野も敵。犬飼も敵。桃地も敵。矢口は不明。鬼頭も敵。
彼は二年生全体までもが一年生に敵対視していることを、わざわざ伝えに来たのだろうか。

「克也、寮長を止めてよ!こんな訳の分からないこと!」

「うーん、それは無理かな。だってこれ生徒会主催のイベントだから。俺らが蓮さんを止めることなんて出来ないよ。」

「そんな・・・!」

「どうしてもって言うなら今、校舎の方で職員会議に出てるチロ先生を呼びにいくしかないんじゃないかな。」

本当に味方は自分の学年しかいないことを知らされる。
そして教えてもらったこのレクリエーションを中断させる唯一の方法。裏ルール。
去年もこんな風にサプライズ的に発生し、その時もチロ先生が職員会議で夜遅い時間まで学生寮いない日だった。
内容は異なっているようだが、誰かが寮を抜け出して、校舎にいる先生に助けを求めたらしい。それで寮に戻って来てチロ先生に日暮寮長が怒られて、終了時刻前に終わったという。

「そんな方法でしか止めせられないなんて。」

「でも蓮さんの弱点って、恐らくだけどチロ先生だと思うから。試してみる価値あるんじゃない?」



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