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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#44 青ノ葉 学寮戦 (1)(1/4)
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日常から非日常へ

それは人の生涯にとって、たったの二時間はとても短い話。
けど体験した者は言う。
その二時間は、とっても長くてあっという間だったとー・・・。

「準備はいいか?野郎ども。」

月明かりに灯される夜の時間。
懐郷に奪われた心も、きっとそんな余裕はなくなるだろう。

「青ノ葉学生寮・交流会。宴の始まりだ!!」

これはたった二時間に過ぎない束の間の話。
何の前触れもなく日常が壊され、誰もが非日常に踏み入れさせられた青ノ葉学生寮の交流会。春のレクリエーションの始まりだった。



ハッピーでフリーダムな学習時間

「今日はいつもと比べて、授業が終わるのあっという間だったね。」

現在時刻は、まだ昼の2時。
今日は夕方から職員会議がある関係で、いつもより授業が早く切り上げられ本日分はこれにて終了。
おまけに部活もなしというハッピーでフリーダムすぎる時間が訪れる。

「あー・・・、これで宿題がなければ最高だったのになー・・・。」

「授業がない分の自習だから仕方ないよ。」

「うへぇ・・・。何で今日に限って、今といつもの時間で2回も勉強時間あんの!今日はドロップデーだから遊戯室に篭って素材集めしたかったのに!」

そして司と比路は自分たちの部屋に帰ってくると、さっそく制服から体操服のジャージにお着替え。
普段着とはまた違ったラフな感じで過ごす。

「学習時間終わったら僕も収集手伝うから、とりあえず宿題先に終わらせちゃおうよ?」

「何なら宿題の方も手伝ってください。そしたら俺、学習時間中もゲーム出来るし宿題も写すだけで済む。ナイスアイデア!」

「絶対ヤダ。宿題ぐらい自分でやってよ。また寮長に没収されるから学習時間中はやめておきなって。バットアイデア。」

現在は本日1回目の学習時間の真っ最中。
司の口からブーブーブーブー文句垂れているが、いつもよりちょっと多い宿題を終了時刻の夕方4時までに終わらす。



いつもと違う日

「でも今日は時間気を付けないとね。確か18時30分までには、お風呂もご飯も済まさなくちゃいけないんだっけ?」

「なんで?」

「なんでって朝、寮長から一斉メール着た時もそうだったけど。学校から帰ってきた時も、玄関にいた寮長や生徒会の人に言われたじゃない。大浴場とか寮内を点検するって。それでおばちゃん達も今日は早く帰っちゃうからって。」

「あー・・・、なんかそんなメール入ってたし言われたね。今日はいつもより早く開放するから、ちゃっちゃと済ませとけーって。」

そんな今日に限って、いつもと違う時間の流れ。
青ノ葉学生寮のネットワークから届くお知らせメールが、朝のうちに通達されていたおかげでみんなおとなしく従っていられた。

「でもだからって、何でジャージに着替える必要あるんだろう?」

「さあ?俺らも点検ついでに掃除させられるからじゃないの?夜の学習時間までの間、掃除が大掃除とかになっても寮生全員でやれば、あっという間に終わるだろうし。」

「掃除ならお風呂前にやりたいんだけどな。ん?っとなると。あれ?今日はあんまり遊べない・・・?」

「いや遊ぶ。無論遊び尽くす。みんな寝てからも俺は遊ぶから問題ない。」

けどいつもと違う、ただそれだけで気持ちは何だがソワソワして落ち着かない。
それだけでも今日という日が、いつもより特別感があるようなないような、そんな気がしてならなかった。



上級生たちの視線

そんなこんなでゆっくりだけど確実に。
時計の針は夜を目指して進んでいく。

「なあ?今日ってひょっとして『あの日』か?」

青ノ葉学生寮にいる寮生全生徒。
勘付いてる生徒もそうじゃない生徒も、みんなみんな平等に巻き込まれていく。

「あんまり大きな声で言うなよ。箝口令敷かれてるんだから。寮長に聞かれたらお仕置きされるって。」

「見てみろよ、一年の顔。みーんな何にも分かってない表情してるぜ。」

「一年がオレらにどこまで喰っていけるか見ものだな。」

春から夏に移り変わる季節。
いつもと違うこんな日でもいつもと変わらず、時刻は遅くなっていったが日が暮れていく。

「なんか上級生の人たちピリピリしてませんか?ボクの気のせいなら、それでいいのですが。」

「梅ちゃんも気付いた?オレも気になって兄ちゃんに何かあるのってメッセージ送ったんだけど、既読スルーされてて返ってこないんだよね。」

この始まりは、もう誰にも止められない。止めることが出来ない。
何故ならすでに自分の知らないところで始まっていて、これが終わるまでそれは終わらないのだから。



10分前に

時刻は18時30分を迎えようとしていた。
10分前に寮内放送が入り、全員自分の部屋に戻るよう日暮寮長から指示される。

「ちぇー・・・、今いいとこだったのに!そもそも何の点検?何でこんな時間にやるの?アッキーあれから明人兄から音沙汰なし?」

「うん。華澄先輩にも送ったんだけど、こっちも既読スルーされっぱ。おかげでオレのケータイ壊れてないか気になってくる。」

司たちの集まりも他の生徒も指示通りに動く。
みんなこれから何が起きるのか知らない。
それが何か分からないから不安が募っていく。

「めぐる、そっちはどうだ?」

「3ねんオッケー。」

「二年も一年もみんな部屋に戻りました。蓮さんそろそろ時間なので。」

「うっし!んじゃ今から手分けして各部屋、各場所に置いたら各配置につけ。15〜20分後に号令出す。一斉だからお前らも確認しろよ。」

「それじゃあねかつや。ボクらまけないから。」

「こちらこそ。俺たちも今年は負けませんから。」

けど、30分が過ぎた10分後。
何か分からなかった、それが一体なんなのか。
寮長から送られてきた一斉メールにより、一年も二年も三年も知ることとなる。



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