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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#43 ミニトマトの作り方(5/6)
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あの時ぶりの再会

「お。ヒロも朋也もいいとこに。」

「・・・!キミは。」

司と桃地が2人一緒にいる所を見て固まる比路。
そして向こうも比路と朋也に気付く。
司はこのまま自分の味方に付ける気でいたようだが桃地は違う。2人に気付いた途端、顔色を変える。
だって司以外の3人が鉢合わすのも、あの時ぶり。あれから結構、日が経ったが忘れるわけないだろう。

「朋也。これ、お願い。」

「え。」

固まった比路がようやく動いた途端、持っていた鞄を一方的に朋也へ預けた。
その次の瞬間、

「ーーーッ!」

「あぁぁぁ!?犬飼さん助けてー!」

その場に高く跳んだ比路は、このまま蹴りを入れようと、狙いを定めた桃地に問答無用で喰らわせようとした。



あの時ぶりの再会 2

が。

「わ!?ヒロ、ストップー!」

そんな比路を見て、咄嗟に動いた司。
桃地が助けを求めた誰かの代わりに、絡んでいた桃地の前に立ち庇う。
おかげで寸前のところで比路の蹴りは止まり、誰も喰らわずに済んだが一体何事?

「こら!ヒロ!コタ先輩に、いきなり何してんのさ!」

「何してんのは、こっちの台詞!何で司がコイツと一緒にいるのさ!?」

どうやら比路は、司と桃地が一緒にいたことに凄くご立腹。
桃地にビシッと人差し指を指し、二年の先輩に対してコイツ呼ばわり。敬意が一切ない代わりに、めちゃくちゃな敵意を示す。

「だってコイツなんだよ!朋也と僕をハメた二年のバカ連中の1人!園芸部を荒らしたのもコイツらの仕業!司だってまだ忘れたわけじゃないでしょ?なんでそんな奴と司が一緒にいるの!?」

「え・・・。コタ先輩が?」

園芸部が二年の不良軍団に荒らされた話は司ももちろん知っている。
朋也との悶着騒ぎに比路が巻き込まれていったのも、まだ忘れたわけじゃない。
けどそのうちの1人が桃地だとは思ってなかったのだろう。



桃地が辞める理由

「間違ってないっすよ・・・。全部その子の言う通り。庇われる必要もなかったっす。」

桃地も比路の怒りに弁明はなく、アッサリと認めた。

「犬飼さんたちに園芸部を荒らさせたのは自分が原因っす。これで分かってもらえたっすよね?自分が園芸部辞める理由。」

そしてそれを切り札として使う。
これで司からも止める理由がなくなった。

「安心していいっすよ。犬飼さんたちの軍団は、あの時を境に解散となったっす。結局、久野くんに敵わなかったからって。みんな犬飼さんから離れてしまったっすから。」

だから最後に。
司にも比路にも朋也にも、そう伝えた。
桃地もあれから犬飼との間で何かあったのだろうか。
それを語る彼は、少し寂しそうだった。

「ならちょうどいい。コタ先輩、やっぱり俺とミニトマト作ろうよ。」

「何がちょうどいいんすか?何もちょうどよくないっすよ!森くんもいい加減、自分のこと諦めるっすよ!」



朋也が辞める理由

「無理無理。今の俺にとってコタ先輩は必要不可欠。ここで辞められたら本当に俺が困るんだから。」

しかしそれでも諦めない司。
自分は知識ないからと。美味しいキッシュのために、桃地の園芸部継続を必要としていた。

「なら、話は早いな。」

「朋也?」

「・・・俺が園芸部辞めるんで。貴方は続けていて下さい。園芸部が荒れた原因、元を正せば貴方じゃなくて俺。森の為にもいてやって下さい。」

そんな話を聞いたら、朋也だって黙ったままではいられない。
桃地が辞める代わりに自分が辞めれば解決するっと主張。

「何を言って?後藤くんは何も悪くないっすよ。自分がちゃんと犬飼さんに言ってなかったのが悪いんすから。」

「貴方こそ何を言って?元はアイツの喧嘩を買ったのは俺です。買わなければ、こんなことにはならなかった。だから辞めるのは貴方じゃなくて俺であるべきです。俺が入部したせいでもあるから。貴方が来なくなって永瀬先輩を困らせてる原因も。」

『俺が』『自分が』『俺が』『自分が』と。
園芸部を辞めるのは自分んであるべきだと。この意思をお互いにして譲らない。

「え、ちょっと。朋也落ち着いて。」

「コタ先輩も朋也もストップストップ!」



辞めるのはどっち?

お互いがお互い譲らないから平行のまま。あの日から続いていたこのやり取りも久しぶり。けれど、このままでは何も解決しない。
だからなのか。

「なら森。お前が選んでくれ。どっちが残ってどっちが辞めるべきか。」

「え・・・。」

最終的の判断を司に委ねる。

「俺はどっちも辞めて欲しくないんだけど、それじゃ駄目なの?俺にとって朋也は必要だしコタ先輩だって必要だし。」

「それは無理だ。」

園芸部に残るのは朋也なのか。桃地なのか。
司が選んだ方が残り、選ばれなかった方が辞めることになる。
どっちも辞めるという選択肢が2人から出てこないのは、それはそれで永瀬を1人残すことによってもっと困らせるから。

「そんな・・・。」

こんな重大責任を負わされると思わなかった司。
2人が辞めない方法は本当にないのだろうか。



見回り最中だった2人

朋也と桃地の主張に司も困っていた時、

「ダメだよ。ともやくんもコタくんも、つかさくんをこまらせちゃ。」

「永瀬先輩・・・。」
「めぐ先輩・・・!」

生徒会の腕章を付けた永瀬が、4人の元へ。園芸部へと訪れる。
けど彼はまだ仕事中だったのか。

「会長!いきなりどうしたんですか?」

「克兄ちゃん!?」
「克也!?」

永瀬を追って続いて久野までも園芸部にやって来て、生徒会の会長と副会長までもがここに揃う。

「司も比路もいたのか。これは一体?何かあったの?」

「僕もよく分からない。ただ朋也とあの二年生が辞めようとしていて、そのどちらかを司に決めさせようって話の流れになって。」

今来たばかりの久野は、この状況がよく分からない。
けど聞いていた比路も、この状況がよく分かってない。
だから説明して経緯だけでも分かって貰おうとした。



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