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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#43 ミニトマトの作り方(4/6)
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久しぶりに桃地登場

「なるほど。めぐ先輩がキミに。」

「すいません。つい俺のって言っちゃって。」

とりあえず生まれかけた誤解で混沌させないよう。一から事情を説明して伝える。
ところでこの生徒は誰なんだろう?
司にとってもこの男子生徒にとっても、お互いに初対面同士。
だけど司はピンッと感じた勘通りに、その男子生徒の名前を当てる。

「もしかして永瀬先輩が言ってた『コタくん』ってー・・・。」

「自分のことっすね。」

「やっぱり!」

永瀬から聞いたコタくん情報が、この男子生徒とピッタシカンカンだった為、簡単に当てれた答え。

「遅れたけど初めまして。一年の森 司といいます。先月の末に園芸部に入部しました。よろしくお願いします『コタ先輩』!」

「桃地 小太郎っす。・・・よろしく。」

こうしてひょんな事から、司とコタくん=桃地が名を交わし合って知り合いに。

「そっすか。キミも園芸部だったんっすね。」



司とコタ先輩

「ー・・・これで心置きなく辞められるっす。」

桃地は司が園芸部の部員だと分かると、ホッとした息を吐く。
それと共に自分が今やっていた仕事を片付け始め、中途半端に切り上げようとする。

「森くん。ここ、あとはよろしく頼んでいいっすか?自分はもう辞めるつもりでいたんで。」

「え!?」

そして司に畑のことを全部任せてるかのように託す。永瀬から聞いていた通りに、彼は園芸部を辞めようとしていた。

「ちょっと待って!コタ先輩いなくなったら俺が困るし、ここを任されても俺がもっと困る!」

「そんなこと言われても・・・。」

「そんなこと言われても困るのは俺!だって俺、何も知識ないし、このままじゃ全部枯らすことしか出来ない!明人兄にも何も作って貰えなくなっちゃう!」

なので司は必死こいてまで、桃地の退部を阻止。
桃地の気持ちなんか知ったこっちゃない。
ここで辞められたら困るのは自分だからと。桃地を説得させようと試みる。



やる気の根源

「辞めないでよコタ先輩。俺のミニトマトが枯れちゃう。明人兄のキッシュが食べれなくなる〜。せっかくやる気出たのに意味なくなる〜。」

「どんな理由でやる気出してんっすか!?」

先ずは泣き落とし作戦実行。
去ろうとする桃地を取っ捕まえて、部のためではなく自分のために止める。

「しかも明人兄って・・・?キッシュ・・・?ハッ!まさか三年のあき先輩のことっすか!?」

「うんうん、そうそう。わぁ。明人兄知ってるなら話が早ーい。」

「早ーいじゃないっすよ!自分は辞めると決めた以上は辞めるっす!離して下さいっすよ!」

続いて、掴まれた胃袋思い出し作戦。
桃地との会話で彼が明人を知っていることを知り、今度は明人を作戦に使ってまで阻止する。

「一緒に作って美味しく出来たら、コタ先輩も一緒に食べましょ。明人兄の料理の腕知ってるなら断れないはず!」

「いや、断るっす!そう言われても無理っすよ。だって自分はー・・・。」

桃地も桃地で司なんか振り払ってしまえばいいものの、2人はまだ知り合ってからものの数秒。
遠慮しているのか、二年が一年に絡まれっぱなし。それでも辞める意思は固いままだった。



比路も向かった園芸部

その頃。

「ごめんね朋也、お邪魔しちゃって。稽古が始まる前に、どうしても司が気になっちゃって。」

「いや、いい。俺も気になっていたから。」

ゆっくりと自分の教室から出た比路は真っ直ぐ自分の部に向かわず、朋也と一緒に園芸部へと向かっていた。
朋也は毎日だけど、比路が園芸部に来るのはあの時ぶり。
ビニールハウスも直ったと聞いて見にいくついでに、渡り廊下を渡った先を目指す。

「あ、いたいた。司ー・・・。」

そうして園芸部に到着した2人が最初に見たモノ。
それは、

「じゃあせめてミニトマトが出来るまでの間だけ。」

「絶対イヤっす・・・。後に同じ手使って、また引き延ばされるだけっす。」

「そんなこと言わずに。」

司が桃地と絡んでいた2人の姿だった。

「・・・・・・・・・。」



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