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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#43 ミニトマトの作り方(6/6)
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自らの手で

そんな時、だった。
自分の植木鉢を手に取った永瀬が、手から滑らせるかのように、朋也と桃地の目の前で自ら落としてカシャーンッと割った。

「!?」



永瀬の植木鉢

あの騒ぎで唯一、無事だった永瀬の植木鉢。
あの騒ぎで唯一、守っていた永瀬の植木鉢。
それを永瀬の手で壊させてしまう。

「・・・・・・・・・。」

壊れてしまった植木鉢は粉々に。
その植木鉢には苗が何もなかったおかげで、何が植えられていたのか分からないまま。
だけどそれが割れた瞬間を見たここにいる全員が、まさかの行動に止まってしまう。

「ケンカしないって、やくそく。したでしょ?ともやくんもコタくんも、なかなおりしてね。つかさくんをこまらせちゃダメだからね。」

永瀬の植木鉢には、一体なにがあったのか。
永瀬以外の4人が止まり、反応が返せずにいる。

「さて、かつや。ボク、さきにもどってるね。」

「・・・会長。」

そうして永瀬は再び生徒会の仕事に戻っていき、園芸部から去って行った。



どちらかが辞めたら悲しむのは永瀬

「みんな下がって。ここは俺が片付けておくから。」

「克也。僕も手伝うよ。」

「いいよ、危ないから大丈夫。それより比路も部活行きなよ。遅れると豊先輩に怒られるよ?」

けど久野はそんな永瀬を追わず、壊れてしまった植木鉢を片付ける。
誰にも手を借りようとせず、1人で黙々と。

「後藤も桃地も、会長に免じて。会長の為に辞めるの止めない?会長がここまでしたんだから。これで辞めたりしたら会長マジ泣きコースだからさ。」

そして2人の園芸部退部を、まるで許してくれないように、朋也と桃地にそう言い渡す。
どちらかが辞めると永瀬を悲しませることになると。
これ以上、彼を悲しませないようにと釘をさす。



それはそれ、これはこれ

それで2人の辞めることを諦めたのか。
朋也はもちろん、桃地もこれで辞めれなくなったと理解する。

「よかったよかった。これからは俺のミニトマトの為に、朋也もコタ先輩もよろしく。」

「・・・俺のじゃなくて、園芸部のミニトマトな。」

「いいっすよ。自分も手伝うっす。」

犠牲になったのは永瀬の植木鉢。
円満じゃないけれど、それは円満解決への道を辿わせた。
これでとりあえずは一件落着。かと思いきや。

「ねえ、『コタ先輩』?」

今度は比路が桃地の胸ぐらを取っ捕まえて一言申す。

「あのバカ連中に司巻き込んだら僕が容赦しないから。司に何かしたら顔面靴跡だらけにするから、よっく覚えておいて。」

「ひィッ!?」

比路にとって、それはそれ。これはこれ。
園芸部の問題は一先ず解決したが、そっちの問題は何も解決していない。
だから伝えたのだ。
犬飼含めて司に何かしたら容赦しない、と・・・。
彼までも『コタ先輩』と呼んで、比路なりにきつくきつーく釘をさしたのでした。



青ノ葉 第43話をお読みいただきありがとうございます

久しぶりの桃地登場!
司との絡みも書けて楽しかったです

そしてこれにて園芸部の問題も一先ず決着
結局、朋也と犬飼の悶着の犠牲になったのは
永瀬の植木鉢という・・・
これも結構先になっちゃいますが、
そのうち回収出来たらいいな


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