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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#43 ミニトマトの作り方(3/6)
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園芸部の畑

司にもっと興味を持ってもらおうと。
永瀬は司を連れて、実際にその現場へと向かう。

「あ・・・。」

するとそこには紹介された通りに、植えられたばかりの苗があった。
ぱっと見、ただの草。どれがどの野菜の葉っぱなのか、詳しくないから全然分からない。
でもそこから美味しく育てて、明人に美味しく作って貰えるなら、今からでもワクワクしてくる。
しかし今日の水やりや草取りは終わった後の模様。司がやれそうなことがなかった。

「コタくん、きたあとだったんだ・・・。」

「『コタくん』???」

それを見て、しょんぼりする永瀬。

「うん。にねんせいの『ももち こたろう』くんっていってね。コタくんは、おなじえんげいぶのこ。」

落ち込んだ理由は、司がやれなかったことではない。
畑の仕事が既に終わっていたことに凹んでしまう。



永瀬の思い

永瀬は桃地の話を司に聞かせる。
園芸部は自由参加の部活動だから、毎日参加する生徒のが少なくて珍しい。
そんな中でも永瀬以外にも毎日参加していた生徒がいて、その生徒が桃地。
永瀬が花壇、桃地が畑を主にお世話をしていた。
けどある日を境に、ここには姿を見せない日々が増えて、ある出来事によって自分が責任もって辞めると告げた。
だから園芸部が元どおりに直った今、いつ桃地が辞めちゃうのか、心配と不安が隠せずにいる。

「それは、ともやくんもおなじなんだけどね。」

「朋也も?」

「『やめてほしくない』っていうのは、ボクのワガママ。でもいなくなっちゃうのは、さみしいから・・・。」



ミニトマトを育てよう

それはそうとして。
園芸部の部員として、三年の先輩として。永瀬が司に簡単な指令を出す。

「それじゃあつかさくんは、ミニトマトそだててみようか。」

「え!?」

4月から6月の時期に埋めるのがピッタリなミニトマト。初心者は苗から育てるのがオススメ。
40cm間隔で土に植えて、5・6日したら支柱を立てて紐で結び、肥料を足してわき芽を摘んで、日当たりや風通しにも気をつけよう。
約1ヶ月ぐらいで収穫できて、簡単で手間もかからないから、家庭菜園でも定番で大人気。
永瀬は司に、このミニトマトを無事育ててみてねっとミッションを与えてきた。

「だいじょうぶだよ。だいじょうぶ、だいじょうぶ。わからなくなったら、なんでもきいて。おてつだいもちゃ〜んとするから。」

「俺、全然知識ないから、もう不安だよ・・・。」

「おいしいミニトマトできたら、あきとのとこにもっていって。おいしいキッシュつくってもらおうね。」

「キッシュ!うん、俺頑張る!」



部活よりゲームだった彼の豹変ぶり

翌日。

「朋也。俺、先に部活行ってるな。」

「おぉ?!お、おう。」

帰りのホームルームが終わった途端、司はさっそく園芸部へとバタバタ向かっていく。
今まで部活よりもゲームだった彼が真っ先に部活に行くなんて珍しいこと珍しいこと。

「え。何?司、どうしちゃったの?」

「昨日、永瀬先輩と一緒に畑の苗を見てたから。ようやく森も興味持てることができたんだろう。」

「へぇー、ゲームばかりの司が珍しい。」

それはきっと司にとっていいこと。
その姿に比路は驚き、朋也は関心して別々の反応を示し、園芸部へ向かって行った彼を見送った。



二番乗りと一番乗り

園芸部は渡り廊下を渡った先にある。
いそいそと急いで向かった司は部員誰よりも一番乗り!・・・かと、思いきや。

「ん?」

自分よりも先に来ていた人が1人。眼鏡を掛けた真面目そうなその男子生徒は、畑に水をかけてる真っ最中。
永瀬に任されたミニトマトにもかけていて、さっそく仕事を奪われていた。

「あぁ!俺のミニトマト!」

「え!?」

園芸部に到着して先ず最初に見たのがソレ。
司は出鼻挫かれたショックを言葉にして言ったが、それは俺のミニトマトではない。園芸部のミニトマト。
だからこの生徒は何も間違ったことはしてないが、いきなりソレを言われ驚いてビクッと止まる。

「え?えぇ!?ごめんなさいっす!え、でも俺のミニトマトって、え???これ、キミのっすか?園芸部のじゃなかったんっすか?」

司よりも先に来ていたその男子生徒は外見通りに真面目なこと。
何一つ悪いことしてないのに自分から謝まり、司の発言によって混乱してしまう。



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