≪ top ≪ main


青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#43 ミニトマトの作り方(2/6)
]  [目次へ]  [

一週間ぶりの園芸部

それから授業はトントンと、普段通りに終わっていき放課後を迎える。
みんなそれぞれ自身が所属する部活動へと向かい、司は朋也と一緒に園芸部へ。

「おぉー!知らない間にビニールハウス復活してる!」

「森は暫くぶりだしな。」

「いやぁ。だって俺、部活よりゲームしてたいし。園芸部って、いまいち何していいか分かんないし。」

ここへ訪れたのは、ほぼ一週間強ぶり。
以前はあんなに荒れていた花壇や畑も綺麗に直っておりすっかり穏やかになっていた。

「じゃあ俺、花壇の水やり行ってくるから。」

「朋也、俺も行こうか?」

「いや、いい。こっちは俺1人で出来るから、森は出来そうなことを自分で見つけて、そっちをやっててくれ。」

「わ、分かった・・・。」

しかし来てなかった間に変わってしまった環境。
自分と違って朋也は毎日来ていたから、いつもと変わらず毎日やっていることを今日もやる。
1人ポツンと残された司は相変わらず何をしていいのか分からず、ぽけ〜っと呆けてしまっていた。



部外者部員

「つかさくん。こっちであうのは、ひさしぶりだね。」

「永瀬先輩、お疲れ様です。」

そんな司の元にトコトコ訪れたのは、生徒会長の永瀬。
生徒会の仕事が終わってからになるが、朋也と同じく毎日必ず参加している園芸部の部員。
永瀬は変わらずの超歓迎モードで話しかけてきたが、どうやらボーッとしていた司が心配になり気になったようだ。

「どうしたの?つかさくん、ボーッとしちゃって。げんきなくかんじるよ。」

「あ・・・、ごめんなさい。なんか俺、入る部活、間違ったかなって思えてきて。」

園芸部は自由参加の部活だから、バイトや勉強以外の理由でも出なかったことに対して、誰からも咎められることはない。
だけど園芸部に入ったきっかけは『自由参加の部活だから』というのが理由の一つ。
それなら同じ自由参加型の部活である文芸部でも良かったんじゃないかっと。今頃になって、ちょっとだけ後悔を口にする。

「なんて言うか部員なのに部外者っていうか。」

「そんなことないよ!つかさくんはボクらといっしょ!おなじえんげいぶのなかま。ぶがいしゃなんかじゃないよ!」

久しぶりという浦島太郎状態が司をそうさせてしまっているのか。
それを聞いた途端に永瀬は全否定。
司のその気持ちを強く晴れさせようとする。



園芸部でやりたいこと

「でも俺、未だに園芸部で何していいか分かんないし。朋也から自分で見つけろって言われたけどサッパリで。」

「じゃあいっしょにみつけよ。つかさくんが、やりたくなるようなこと。そうすればホラ、こうかいなんてなくなるよ。やりたいことをやればいいんだよ。」

そしてそう手を差し伸べて、司の後悔がなくなるようにと。
永瀬が一緒になって、園芸部で司がやりたくなるようなことを探し始めた。

「つかさくんの、すきなことってなぁに?」

「ゲーム。」

「そっか。ゆうぎしつで、あきとやかぐやたちとあそんでたもんね。ボクもすきだよ。ゲームであそぶの。」

しかし部活よりゲーム。植物には興味が一切ない司に、園芸部でやりたいことなんて見つかるのだろうか。

「もし良かったら永瀬先輩も一緒に遊ばない?ゲームじゃなくてもトランプで大富豪とかやりませんか?」

「いいねいいね。すっごくおもしろそう!つかさくんはあそびのてんさいだね。」

「へっへへ・・・。そうでもないよ。」



野菜も植物

少しでもいい。
ほんの少しでもいいから選択が増えるようにと。
話の幅を広げていって、興味が示せれそうなことを探る。

「つかさくん。たべれるしょくぶつ、きょうみない?」

「食べれる植物って?野草とかハーブ系?」

「かんたんにいえば『おやさい』かな。おいしくそだてたやさいを、あきとのところにもっていって、おいしくつくってもらうの。」

「そっか、野菜も植物か。確かにそれなら花よりは興味あるな。明人兄が作ってくれた料理美味いし。」

ちなみに野菜は、食用の草本植物の総称。
おかげでアッサリ掴めた司の選択肢。
青ノ葉の園芸部には小さい畑があり、そこで四季に合わせた野菜も育てているのだ。

「いまちょうど『ナス』『きゅうり』『ミニトマト』『えだまめ』『スイカ』うえたばかりなの。」

「あ〜、これからの季節にぴったりなモノばかりだ。」

「おいしくそだてられたら、みんなでいっしょにたべようね。」



]  [目次へ]  [
しおりを挟む




BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×