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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#42 イチゴミルク極上仕立ての刑(後編)(4/4)
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イチゴミルク 極上仕立ての刑 2

「どれ。一口・・・。」

させたかったのに、明人の様子が気になった恭がフライング一口。
敗者の青チームより一足先に、イチゴミルク極上仕立ての恐ろしさを味わう。

「恭?どうしたの。」

「大丈夫か、キョウ?」

たった一口。されど一口。いや、たったひと舐めと言ってもいいだろう。
ほんの少し口に含んだだけで口の中いっぱいに広がる甘い味。それはとてもとても自己主張が激しすぎる甘さ。
恭の手は止まっているのに全身がガタガタ震えており、顔がピンクとは逆の真っ青に染まる。
そしてズッシャァとその場に崩れた彼。

「恭、本当にどうしたの!?」

「大丈夫かキョウ!しっかりしろーーー!!!」

「美味しい」のか「不味い」のか、それもハッキリさせられないまま、イチゴミルク極上仕立てを迂闊に飲んだ自分に酷く後悔をして落ち込む。



イチゴミルク 極上仕立ての刑 3

「に、に、兄ちゃん!?何あれ?何なのアレ!」

「あれが青ノ葉の名物『イチゴミルク極上仕立て』の恐ろしさ。飲む人っと言うより飲める人がたった1人しかいないことから、またの名を『レッドデビルホワイトスイーツ』って言うんだよ。」

「何その中二病的な名前!?」

「てか、こんなの俺ら飲まなくちゃいけないの!?」

そんな恭を見て、この罰ゲームに今までにないほど怯える4人だったが。

「敗者は勝者のいうこと絶対だったはず・・・。」
「敗者は勝者のいうこと絶対でしたよね?」
「敗者は勝者のいうこと絶対きくんだろ?」
「敗者は勝者のいうこと絶対きくんだったよね?」

勝者・赤チームの4人から揃いに揃って、逆らいを容赦なく許さない。ので覚悟を決めるしかなかった敗者・青チームの4人。

「「「「・・・いただきます。」」」」

「ガンバレ♪ガンバレ♪」

こちらも仲良く揃って、いただきます。



イチゴミルク 極上仕立ての刑 4

・・・した途端に、ズッシャァッと崩れた4人。
たった一口。されど一口。いや、たったひと舐めしただけで、レッドデビルホワイトスイーツの恐ろしさを己の舌で思い知る。

「ああああああああああああああああああああああ!!!!」

視界は歪んで、甘いに犯される口内。
気分が真っ逆さまに谷底の奈落へ突き落とされ、全身の震えが止まらない。
「美味しい」「まずい」どっちと訊かれても困る味。どっちと訊かれたら100%「甘い」と答える甘すぎる味。

「こらこら。まだまだ残ってるんだから、ちゃんと最後まで飲まなきゃダメだよ。」

「輝夜の鬼!悪魔!女装趣味!」

「んっふふ〜。何とでも言うがいいよ。どれもこれも痛くも痒くも何ともないから。」

華澄は5体の生きた屍を見てケラケラ笑っているが、他勝者の3人も恐ろしさのあまり流石に引いていた・・・。



10+1

ガヤガヤ、わちゃわちゃと遊戯室で騒ぐ彼ら。
そんな賑やかな集まりを偶然見かけて、興味を示したのか。
向こうから彼らの元へ訪れる1人の男子生徒。

「あきともかぐやも、ここにいたんだ〜っ!」

「げ・・・、めぐ。」

その男子生徒というのは、永瀬 めぐる。
この学園の生徒会会長を務める、絶対に泣かせてはならないお子様な生徒会長。

「『げ』?かぐや。いま『げ』って、いわなかった?」

「言ってない言ってない。気のせいだから、気のせい!」

「ふーん?」

永瀬の訪れに焦りを見せる華澄。
つい口に出してしまった失語は全部気のせいだ!と強く言い誤魔化す。

「・・・ホントに?かぐや、ボクのこと『げ』じゃない?」

「ホントにホント。言ってないし気のせいだし、俺はいつだってめぐが大好きだ。この俺の愛を生徒会が疑うなよ。」

誤魔化しに誤魔化して、とんでもないことを口走ってまで暴走しているが、これもそれも全ては永瀬を泣かせないため。
女装を余裕でする演劇部の女王・華澄でも、そればかりは恐れていることのようだ。



たった1人の唯一の人物

「ごめんなさい、ごめんなさい!本当にごめんなさい!!」

「あああっ、颯太くんどうしたんですか?!ストップストップ!壁に頭を打ち続けないで下さい!」

そんな華澄の暴走に、巻き込まれた颯太も自虐を始め慌てて梅ちゃんが止めに入る。
5体の屍は永瀬が来たのに無反応。いや、何も反応をすることが出来ないほどのダメージを負っており、何も返事が出来ないまま。

「わぁッ!なんでここにボクのだいすきなイチゴミルクがあるの!?」

「あ、ああ。めぐ、これ好きだもんな。よかったら飲んでく?」

「いいの!?やったぁ!ありがとうかぐや。」

司、比路、稚空、恭、明人の5人を、こんな目に遭わせたのは全てレッドデビルホワイトスイーツ。正式名称『イチゴミルク〜極上仕立て〜』の仕業。
それを見つけた永瀬はゴッツ嬉しそうな表情で、ゴクゴクゴクと紙コップ一杯分をキレイに飲み干す。

「やっぱあまくて、すごくおいしいねっ!」

明人が言ってた『これを飲めるたった1人の人物』、それは紛れもなく永瀬のことだったのだ。

「みん・・・な。めぐが防音性もないこんな無防備な遊戯室で泣いたら、とんでもないことになっちゃうから。絶対に、めぐを泣かせる真似はしないようにね!絶対に・・・!」

「は、はい・・・。」

奇跡的に一瞬だけ屍から復活した明人は、死ぬ物狂いで被害を広げないようにと忠告。いや、警告を言い残すのだった。



一緒に過ごす時間

こうして永瀬に残りのイチゴミルクを全部譲ったことにより、無事じゃないけど罰ゲームも無事に終了。
時間も学習時間開始まであと数分だったため、ここらで解散。
みんなそれぞれ自分の部屋に帰って行く。
ブルーリーフに華澄 輝夜、佐藤 颯太、古河 瑛の3人が新しいメンバーとして加わり、これからますます賑やかとなっていくだろう。
同じ屋根の下で同じ時間を共にしながら、友達同士だけど、それはまるで大きな家族のように・・・。



青ノ葉 第42話をお読みいただきありがとうございます

赤チームvs青チームの対戦は、
みごと赤チームの勝利でした〜♪ぱちぱち
予想が当たった方おめでとうございます!

ゲームばっかりじゃなくて、
そろそろ違うことで遊ぶ話を書きたいこの頃
いっぱいわちゃわちゃさせたいのです


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