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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#5 長い一日のはじまり(1/2)
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クラス発表

体育館前に置かれた掲示板。
そこに新入生のクラスが発表された用紙が貼られており、入学式前にそこへ向かう司、比路、稚空の三人。
人と人の間を縫うように、ようやく掲示板の前へとたどり着く。

「僕、B組だ。」

「オレはー・・・、Aだね。」

比路はB組。
稚空はA組。

「え!?アッキーA組!?クラス別れちゃった?」

「残念だけど、そういうことになるね。」

確認早々、クラスが分かれてしまったことに残念がる二人。

「つかポンはどう?」

「俺もB組。あと、つかポンやめい。」

そして司はB組。

「え゛!?司もBなの?」

それを聞いた比路は不満げな表情を浮かべる。



フラグは踏むもの

二度目のフラグを踏んだ司と比路。

「そうだよ。って、ヒロの下に俺の名前あったんだから、自分の見たとき普通気づくだろ?てか気づけ。」

「・・・・・・・・・。」

「ヒロさんやい!あきらかさまにヤな顔するの止めていただけませんか?」

「だってこれで何年、一緒だと思って。」

「だからイコール年齢だろ?」

生まれた頃にはもう始まっていた司と比路の縁。
それは今年も無事、途切れることなく続く続く腐った縁。

「はぁ・・・。司とクラスまで一緒とか、本ッ当に新鮮味が失せるというか失せるというか失せるな〜。」

「だから、そういうこと俺(本人)の目の前で言うなって!」

そういうわけで司と比路はB組。
稚空のみ二人と別れて、A組のクラスとなった。



フラグは踏ませるもの

入学式後。
案内役に任された教員に1年B組の教室まで導かれた司と比路。
『担任の先生が来るまで出席番号順で席に着いておくように』と、指示された通りに着席したのだが、

「・・・・・・・・・・・・。」

「ヒロすけやい!さっきも同じこと言ったけど、あきらかさまにヤな顔すんなって。」

比路は29。
司は30。
出席番号が五十音順になっているため、二人はモノの見事に前後番。
だから席も当然、前と後ろになったわけで、三度目のフラグを踏んだ彼ら。

「も〜、やぁだぁ。司と一緒だと新鮮味、全然ない・・・。」

「だーかーらー、そういうこと俺(本人)の目の前で言うな!!」

長く長く長ーく続く続く腐れ縁。
寮にいても学校にいても、離れることがなかった二人。
家にいても、寮部屋にいても、学校にいても、教室にいても、席に着いても新鮮なのは周りの風景のみな環境に、頭をひどく悩ませた比路であった。



本田 武

それから数分後。
入学式の時に、クラス担任として紹介された男性教員がB組の教室に姿を見せた。

「新入生の皆さん、この度はご入学おめでとうございます。そして改めて初めまして。1年B組のクラス担任になりました本田 武(ほんだ たける)といいます。」

彼の名前は、本田 武。
1年B組を担任することとなった国語担当科目の男性教員。

「他の先生方と比べて、まだまだ未熟ですが、皆さんに不安や不満がないよう。先生、全身全霊かけて頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。」

青ノ葉に就任してから今年で二年目。
そして春からクラス担任を任された本田先生。
少しながらな緊張を胸に抱きつつ、期待いっぱい十分な気持ちで、自分の紹介をクラスの生徒全員に告げた。



1年B組

「出席番号3番の梅谷くんは残念ながら本日欠席のため、とばして次の方お願いします。」

本田先生の自己紹介が終わると、そのままホームルームが始まり、今度はクラス皆のターン。
順調に出席番号最後尾の司まで進み、それぞれ個性あふれた自己紹介タイムが終わる。

「さて。皆の自己紹介を聞いたところで、早速だけどこのクラスの委員長を皆の中から一人決めたいと思います。」

そして次の話に進めた本田先生。
一緒に持ってきていた手作りのくじ引きをドーンッと出してきた。

「っというわけで。前期のクラス委員長は、このくじ引きで決めたいと思います。」

「えーッ!?」

「中学でやったことある人は勿論、やったことない人にもせっかくの機会をね。最初だから皆平等。文句は言わないように。めっ。」

「めって・・・。」



当たり?ハズレ?

クラス委員長をくじ引きなんかで決めてしまっていいのだろうか?
さっそく少しばかりの不安を覚える1年B組生徒一同。

「はーい。じゃあ先生が皆の席に回るから1枚ずつ取ってね。」

それでもおとなしく本田先生の指示に従って、順々にくじを引いていく。
もちろんB組のクラスとなった司と比路も、本田先生のくじ引きに強制参加。

「ねぇ、司。」

「ん?」

「このくじ引きって当たりだと思う?ハズレだと思う?」

「え?皆平等でこうなったわけで、そのうちの一つを引くんだから。ハズレなんじゃないか?」

「ふーん。・・・そっか。」



大当たりおめでとう

「え?ヒロなんでそんなこと訊くの?」

「なんとなくかな。」

「???」

空席を除き、くじがB組クラスの皆に行き渡る。

「では★印のくじを引いた人。挙手と起立をお願いします。」

どうやら本田先生お手製のくじ引きに、一つだけ★印の付いた当たりが混ざっていたようだ。
そしてそれを引いた人物は、

「・・・ハイ。」

「おめでとうございます。B組のクラス委員長はえっとー・・・。峰岸 比路くんに決まりました。皆さん、はい拍手〜。」

なんと比路。

「ブッ!!」

自分の前の席にいる彼が起立して挙手したものだから、まさかな展開に司も驚き思わず吹いてしまう。
さっき当たりかハズレか訊いてきた理由は、こういうことだったのかな?



B組クラス委員長

くじ引きの結果。
B組のクラス委員長が比路に決まったところで、ホームルームは次の話に進んでいく。
比路自身もまさか自分が当たると思っていなかったため。着席と共に溜め息を吐き肩を落とした。

「大丈夫か?ヒロ。」

後ろの席から静かな声で話しかけてくる司。

「委員長やれそう?嫌なら今のうちに断っておいた方が。」

「こういうのやるの初めてだから、ちょっと不安だけど大丈夫。くじとはいえ任された以上は、しっかりしないと・・・ね。」

「ヒロ。頑張るのはいいんだけど一言。俺から言わせてもらっていいか?」

「え。」

そんな比路が彼なりに心配だったのだろう。
静かな声のまま言葉を贈る。

「・・・腕力で片付けないようにね。」

「余計なお世話だよ。」

それが励ましになったかどうかは別だが、比路は『が、頑張ろう』と心に誓った。



ホームルーム終了

「今日の午後からは部活動の勧誘会があり、それぞれの部活場所で行われます。」

それから寮での掃除当番等の班も決まっていき、ホームルームの終盤で、午後からのことを伝える本田先生。

「勧誘会に行く行かないは個人の自由なので、強制ではありません。なので興味ある人は出来るだけ多くの部活動を見学しに来てくださいね。ちなみに先生は図書室で文芸部の顧問してます。」

悪魔でもさりげなく。
悪魔でもさりげなく自分が顧問してる部活を宣伝。
そしてキンコンカンコンと予鈴のチャイムが鳴り響くと共に、ホームルーム並びに今日の授業が終わった。

「学習時間は今夜から。授業は明日から始まりますので、忘れ物がないよう気を付けて寮に帰って下さいね。」



1年A組

「ヒ〜ロヒロ!アッキーのクラス寄って、俺たちも一度、寮に帰ろう。」

「うん、そうだね。」

こうして本日の学校は午前中で終わり、寮に帰る支度を進めていた司と比路。
そして二人で一緒に自分たちの教室を出ていき、隣の教室へと足を運ぶ。
するとそこには稚空の姿があったが、

「アッキー!一緒に帰ろ〜?」

「・・・・・・。」

「あれ?アッキー、どうしたの?」

「・・・・・・。」

元気印の稚空が、珍しくも不機嫌モード。
心なしか。赤いゴムで結ってる前髪の位置も、いつもより低い位置にいるように見える。

「・・・最悪ッ。」

「「え???」」

そんな稚空が低音ボイスで吐いた第一声の言葉。
いったい彼に何があったというのだろう?



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