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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#40 青ノ葉 思懐郷(Epilogue)(3/4)
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寂しいなら寂しいでいいんだよ

幼少時の比路は泣き虫で甘えん坊だった。
そして今は自信に満ちるほどの生意気具合で、そこにはもう当時の面影を感じさせない。

「なんか・・・、克にーちゃんが言ってたこと。なんとなくだけど分かった気がする。 」

交わした約束の為に、強くなっていく姿を。
司は、ずっとそばで見てきたのだ。
その間も今もどんな気持ちでいたのだろうか。

「寂しいなら寂しいで、それでいいじゃん。」

そう口にした彼は、余所余所しくなって生まれた溝を埋めるかのように、横へ寝返りを打つと共にそんな比路を引き寄せる。

「寂しいなら寂しいで、それでいいんだよ。ヒロ。」



司と比路だけの秘密

そして静まり返る一瞬の沈黙。
もちろん一秒よりは長いだんまりだけど一分より短くて、短いくせに長く感じた。

「・・・誰にも、言っちゃダメ、だよ。」

その静かだった間を解いたのは比路。
引き寄せられた腕の中で、司の服を掴む手はとても強く握っていた。

「朋也にアッキー。梅ちゃんに圭に颯太や瑛、恭や他の一年にも・・・、だよ。」

「分かった、分かった。」

必死に司へ言いつける比路。

「それから克也や冥先輩に不良のバカ連中。めぐる先輩や明人兄に豊部長とか二年や三年の先輩たち。あと本田先生や藤堂先生、チロ先生に他の先生、日暮寮長にも絶対に言っちゃダメだから・・・ね。」

「分かったから。絶対に言わないって。約束するから。」

それはもう必死の必死。物凄く必死。

「絶対に、誰にも言っちゃ・・・ヤだよ。」

「もー、分かったってば。」

どんどん口調が弱々しくなっていきながらも、司と二人だけの秘密を作った。



昔も今も比路は比路

昨日の夜もあんなに泣いたのに、それでも溢れる涙。
一丁前の泣き虫のくせに、それでもプライドが許さなくて声を殺している。

「大丈夫だよ、ヒロ。」

そんな彼がいつでも崩れてもいいように、司はグッと力を強くした。
ポンポンを背中を優しく叩いて撫りながら、幼い頃の時と同じように比路をあやす。

「いっぱい泣いた分、明日はもっと楽しくなるから。寂しくなんて絶対になくなるから。・・・大丈夫だよ、俺もいるから。」

「・・・っ・・・つか、さ。」

「ね。」

その表情は、どこか優しくどこか懐かしく。
泣いてる比路は気づいてないが、どこか嬉しそうな顔をしていた。



司と比路の二人の夜






そうして泣き疲れた比路も眠り、皆も寝静まっていう草木も眠る丑三つの時刻。

「・・・っ・・・、ぁ!」

妙な声が司と比路の部屋から響く。

「ひ、ひろ・・・やめ・・・ッ!」

その声の持ち主は、比路ではなく司。
彼は比路と寝たわけではなく、あれからも起きていたようだ。
何故なら、

「やめてヒロ!離してヒロ!そんなバカ力で俺に抱きつくなあああああああああああ!!!!!」

か細かった声が断末へ。
司に抱きつく・・・、いや。しがみつく比路の増した力はとっても強く、パキポキと司の骨まで悲鳴をあげさせる。

「んー・・・!」

「んー・・・!じゃなくて!俺を離せー!離してくれー!」

結局、そのせいで司は一睡も出来ず・・・。
しがみついたまま比路は司から離れることなく、朝を迎えたのでした。

「夜更かしには慣れてるからいいけどさ、別に・・・。」



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