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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#40 青ノ葉 思懐郷(Epilogue)(1/4)
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就寝時刻

今日もいつもの時間に迎えた就寝時刻。

「・・・・・・・・・。」

医務室から自分の部屋に戻って来た比路。
静かに息を吸って吐いて、深呼吸を一つ。
そしてそのまま寝床に向かう。

「おかえりヒロ。」

「!?」

すると2段ベッドの上の段から司が、ひょっこり顔を出してきた。
それは世にも珍しく自分よりも先にベッドにいて、ビックリで驚きを隠せない。

「た、ただいま・・・。」

「具合はもういいの?ポンポン落ち着いた?今日はこっちで寝ても平気?」

「うん、大丈夫。さっき念のためチロ先生に薬貰って飲んで来たから。」

「そっか。」

だけど昨夜から今夜にかけて空いた時間。2人の間に何もなかったはずなのに、司と合った視線を直ぐに逸らしてしまう。



司からの誘い

みんなには勿論だけど、彼にも心配を掛けさせたのだ。
そんな申し訳ない気持ちが強いせいで、余所余所しくなってしまうのも無理はない?

「司ももう寝るの?珍しいね、こんな時間なのにゲームしてないなんて。」

それはそうとして、とりあえず今日は寝よう。
また腹痛と偽って寝不足で欠席するなんて恥ずかしい話。
自分はもう高校生なんだ。
それにチロ先生から薬も貰ったんだ。
だから今夜こそは大丈夫。
そう、おまじないのように自分に言い聞かせて、自分も寝ようとしたその時。

「ねえ、ヒロ。たまにはこっちで寝てみない?」

「え。」

司がそう言って、比路を誘ってきた。



司からの誘い 2

満面な笑顔でニコニコと、自分の段のベッドに誘う司。

「や、ヤダよ、狭いし。」

実家のベッドと違って寮のベッドは2段式。
1人で寝る分には十分なスペースだけど、男2人で寝るのは窮屈。
以前、司が潜り込んでくるせいで一緒に寝たこともあったが、狭くて苦しくてちょっと嫌。
だからハッキリと断ったのに・・・。

「いいからいいから。おいでヒロ。」

「・・・・・・・・・。」

再び『おいで』と差し出された手のひらが、断ったはずの比路を惑わす。
そのお誘いはとても効果的で、迷いは敗北へ導かせるかのように結局、司の手を掴ませた。



司のベッド

ギィ、ギィ、ギィ。
木製の梯子を登る音と軋む音が重なって静かに響く。
そしてゆっくりと上の段へ、司が使っているベッドにご到着。

「こっちでゲームしてたんだ・・・。」

「うん。ごちゃごちゃしてるけど気にせずに。さあさあ、いらっしゃい。」

「気にするよ。ジャージの上着までこんなところに脱ぎ捨てて。」

そこにはゲーム機にスマホ、それぞれの充電器に延長コード。脱ぎ捨てたままのジャージに宿題の問題テキストが数冊積まれていて、いつかのゲーセンで獲ったデカ抱きぐるみのウリ坊が一匹。
布団のシーツもシワシワのシワシワだらけで、比路が使ってるベッドよりも、ごちゃごちゃ感が否めない。

「ちょっとは片付けなよ。」

「はいはい、明日やるから大丈夫。ほ〜ら、ヒロいらっしゃい。電気切るよー。」

それでも招いてくる司の誘惑にされるがまま。
ゴロンと横に寝転がるとやっぱり狭かった。
これなら司のではなく、自分のベッドで二人一緒に寝た方がまだマシだったかも。



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