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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#38 青ノ葉 思懐郷(2)(1/4)
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青ノ葉 柔道部にて

「本当にごめん!!」

放課後、部活動が始まった時刻。
柔道部の活動場所、青ノ葉道場にて久野が比路に謝罪。
鬼頭から聞いたのか。今朝のことを凄く凄く謝っていた。

「ううん、いいよいいよ。冥先輩から聞いて理由はだいたい分かったから。」

「うっかりしすぎてたよ。テストが終わったら生徒会の方が忙しくなるって分かっていたのに・・・。」

授業終わった放課後も生徒会の方に参加していたようで、久野は制服姿のまま。
今はまだ部活動には参加出来ず、見回りついでに道場に寄っただけ。

「克也って、あんなに早く起きてたんだね。」

「うん・・・。今もそうだけど朝も途中までしか部活に参加出来ないから、少しでも稽古しておきたくて。」

「だからそんなに早く起きてたんだ。そういえば朝の稽古中も、いつの間にか克也いなくなってたから、どうしたんだろうって思ってた。」

「俺の中ではもう比路にそのことを伝えていた気がしてた・・・、本当にごめん。」

「ううん、いいってば。克也、生徒会で忙しいのなら無理もないって。」

そして用が終われば、また生徒会室の方へ戻らなければならない。
生徒会副会長もお疲れ様のようだ。



比路が入部した条件

ゴールデンウィークが明けると、運動部の部活動は夏の大会に向けて本格始動。
今まで基礎となる体力作りをしていた一年生も全員道着が揃ったことにより、彼らも先輩たちと一緒に混ざって組手を行なっている。

「おーい、比路。今度こそオレとやろうぜ。」

そんな中、案の定のように同じ柔道部員になった恭が比路を誘ってくる。
けど、

「だから僕は組手には参加出来ないってば。」

「恭だっけ?前にも言ったけど俺以外の人と比路を組ませることは出来ないよ。そういう条件で入部してるから。」

「はァ!?なんだよ!その中途半端な話!?」

比路本人、それを一緒に聞いていた久野。
ダブルで断られてしまう。

「うがー!峰岸 比路!オレと勝負しろー!!」

「ご、ごめんなさい。ほんと、こんな中途半端に参加しちゃって。」

「いや。大丈夫って言ったのは俺だから。豊先輩も顧問も呑んでくれたから何も問題ないよ。」



恭の望みは不可能?

久野以外の相手と組み手をしない。
部活動への取り組みが中途半端な条件で柔道部に所属する比路。

「豊先輩あたりなら大丈夫だとは思うけど、念には念をというやつで。力の加減は出来るようになったみたいだけど、また怪我人を出させるわけにもいかないから。」

『打倒 峰岸比路』を誓う恭は、当然そんなこと理由を聞いても納得出来ない。
久野から説得されても納得出来るわけがない。

「なんでだよ!オレともやりあえよー!!」

「もしものことがあった場合でも対処出来るの俺ぐらいだから。比路は俺に一度も勝てたことないし。」

「克也・・・、最後の言う必要ないよ?」

比路は久野に全敗。
久野は比路に全勝。
それがここにも関係しており影響を受けていた。



恭だけ分かる差

けれどその久野も生徒会でいないのなら、比路の相手はいないからその間手持ち無沙汰。
新入部員のくせに一人だけふざけた存在となり得るだろう。

「くそ・・・っ!納得出来るか、そんな理由!」

「納得出来なくても従ってもらうしかないから諦めて。」

恭は納得出来てないのに、久野に説得させられる。
当然、彼の口から愚痴がグチグチこぼれ落ちたが、

「これ以上、比路の腕が鈍った状態でオレが勝っても師匠に褒められねぇじゃねえか・・・。」

「・・・え?」

それは比路も久野も耳にして驚きが隠せなかった。
あんなにぶっ飛ばすのに。
腕相撲も立て続けに4連勝したのに。
恭は比路に勝ててないのに。

「僕、鈍ってるの?」

「鈍ってるっつーか何て言えばいいんだ?落ちてるわけでもないから、なんて言っていいか分かんねえが。前に蹴り飛ばされたときと違ったんだよ。」

それを言われれば不安な色が顔に出てきてしまう。



恭だけ分かる差 2

「去年の夏のがヤバかった。やられたオレが言うんだから間違いない。」

「去年の夏と比べられてもな・・・。受験勉強とか色々あって少しの間、離れてたわけだし。」

「あー、じゃあそれとの差か?」

けど、それを分かっているのは恭だけ。
だから詳しい理由、事情、その他諸々が知りたい。

「克也。そろそろ戻らなくていいの?」

「あ、そうだね。それじゃあ俺は生徒会室に戻るから2人ともまたな。」

「克也センパイもお疲れっす!」

「それと恭。あとでいいから、もっと詳しく聞かせてくれない?」

久野は生徒会室に戻る前に恭にお願いし、後日その時のことを詳しく聞くこととなったようだ。
比路の中途半端を直してあげる為にも。



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