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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#37 青ノ葉 思懐郷(1)(3/3)
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分かっていても眠いものは眠い

朝練が終われば、昼食時間までずっと授業が続き、昼休みも終われば放課後までまた授業が続く。
だるーい。ねむーい。しんどーい。っと思っても怠らずに頑張りましょう。
学業の本業は勉強が第一なのだから。

(午後一発目の本田先生の授業、きつーい!)

とは言え。それは分かっていても、怠いものは怠い。眠いものは眠い。しんどいものはしんどい。
特に本田先生の国語の授業は、勉強とは別の方向で凄くキツイのだ。
お腹いっぱいのときに優しい声で朗読された日には、寝る前に絵本を読まれてる感覚にも陥りやすく、睡魔の誘いがバーゲンセール並み。
そのせいで夢と現実を彷徨い、カクンカクンなりながら授業を受けていた司。

(うー!やっばい、寝ちゃいそう!)

午後一で国語がある日は夜更かしを控えようと反省しながら、なんとか耐え凌ごうとする。



寝てしまった比路

しかしそれは司だけじゃなかった。

(え?)

自分の前の席に座る比路も睡魔と戦っていたようだ。
けどここのところ睡眠不足が続いたのが敗因となり、カクンッと机の上スローモーションでにうつ伏せていく。

(ヒロ!?)

そんな一部始終を後ろで見ていた司はおかげで自分の眠気が覚める。
けど、よりマズイことになってる状況には変わりない。

「ヒロ・・・!ヒロ!寝たらマズイって!起きろって!こらヒロ起きろー!」

司は寝てしまった比路を何としてでも起こそうとしていた。
彼の背中や椅子をコンコン叩いたり、小声で何度も何度も彼を呼ぶ。
だがその頑張りも努力も無情なことに報われず、

「・・・おや。峰岸くん?」

こっちを見た本田先生に気付かれてしまった。



本田先生は基本怒らない人

本田先生の催眠朗読に負けて、授業中に寝た比路。
それを見てしまった当の本田先生は授業をストップさせて彼の元へとやってくる。

「峰岸くん、授業中ですよ。起きましょ?」

けれど起こし方が優しいこと優しいいこと。
怒鳴ったりしないで、普通にそのままのトーンで声をかけるだけ。
もちろんそんなので簡単に起きるわけがない。

「峰岸くん?・・・峰岸くん?」

「ヒロ起きろってば!」

「んー・・・。」

だから今度は体をトントンと叩いたり揺らしたりして、司も手伝っていたが、やっぱり起こし方は優しい。
するとその時、ようやく比路は目を覚ましたようだが、

「もう少し寝かせてよ・・・、パパ。」

「へっ!?」

起こしてくる本田先生に向かって『パパ』と、寝惚けて誤ってモロに呼んでしまう。
その瞬間、教室中にブリザードが起きて本田先生もクラスメイトの生徒たちもピキーンと凍りついたかのように固まった。

「ひ、ヒロ・・・?」



先生をパパと呼び間違える恥ずかしさ

だけどその瞬間は一瞬だけ。
そんな比路が可笑しくて凍りづけされたブリザードがとけると共に教室中に笑いの渦が発生。
それが彼の寝惚けも解消させる効果もあったようだが、

「・・・・・・ぁ。」

比路自身、本田先生をパパ呼びした自覚があるのか。
やっと起きたかと思えば、今度は顔を真っ赤に染めて小さい体がより小さくさせた。

「峰岸くん、大丈夫?とりあえず今は授業中なので寝るのはダメですよ。めっ!」

「・・・・・・・・・ご、ごめんなさい。」

「一回、顔を洗ってきますか?スッキリして目も覚めますよ。」

「〜〜〜〜・・・っ、そうしてきます。本当にすみませんでした。」

教室中のど真ん中じゃないけれど先生をパパと誤って呼んだ恥ずかしさ。
それは尋常じゃないほどの失態で、比路は真っ赤な顔のまま教室から逃げるように出て行く。



高校生なのに・・・

教室から逃げた比路は最寄りの男子トイレに避難。
そこの手洗い場で何度も何度も顔に水を浴びさせて、赤くなった顔の熱を冷ます。

「恥ずかしいなぁ、もう。」

だけどそんな自分の失態は思いのほかダメージはとても大きかった。
しかも今の比路にとって、それはさらなる追い討ち。

「・・・・・・・・・。」

もう高校生なのに、高校生になったのにどうして・・・っと。
こんな気持ちになる自分を八つ当たるように責めた。



青ノ葉 第37話をお読みいただきありがとうございます

予告は何もしてませんが、
今回から比路メインの長編の始まり始まり
朋也編ほど長くないですが、少々続きます
どうぞお付き合いただけると嬉しいです

ちなみに比路編は思懐郷(しかいきょう)
朋也編は月下光(げっかこう)と読みます
・・・振り仮名を付け忘れておりました


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