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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#37 青ノ葉 思懐郷(1)(2/3)
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朝練がある日の風景

そうしてまた夜が明けて、朝がやってくる。
司の注意のおかげもあってか、朝練がある日の起床時間に起きれた比路。
制服に着替えて身支度を整えて、夜中の司に改めてムカついたから一言も残さず、部屋から朝ごはんを食べに食堂へと向かう。

「・・・あれ?」

朝練の日は、いつも久野と一緒に朝ごはんを食べていた。
それが当たり前になり始めていた中だったから、今日も久野の姿を探したが見えない。
だから少し待つことにしたが一向に見える気配がなく、遅刻に恐れて今日は一人でご飯を食べることに。

「・・・・・・・・・。」

いつも先に来ていたはずの久野がいない。
どうしちゃったんだろう?



比路と鬼頭

すると、

「!」

「・・・・・・・・・。」

一人の男子生徒がやってきて、比路の前に黙ったまま座り、朝ごはんを食べ始める。
その生徒とは、鬼頭 冥。
久野と仲が良く、小町が久野といなければ一緒に朝ごはんを食べていた人。

(え?え?え???)

席は他にも空きがあるのに、なぜ彼は自分の前に座るのか。
比路は久野や小町と話すことはあったが、鬼頭とはあまり話を交わしたことがない。
しかも鬼頭から話を振ってくることはなかったためか。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

何を話していいか分からず、比路と鬼頭の間で沈黙が続くばかり。
完全にここだけお通夜状態だった。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」



いつもじゃなかったいつもの感覚

けど鬼頭は久野のルームメイト。
今日の彼の情報を知ってるのは鬼頭だけ。
いつもいるはずの久野がいないことがどうしても気になる比路は、鬼頭に彼のことを尋ねる。

「・・・あの。」

「?」

「克ぅー・・・、久野先輩は?」

久野本人なら呼び捨てていいが、そうじゃなければ先輩に向かって先輩を呼び捨てて呼ぶなんていいはずがない。
それが本能的に察して、ギリギリ?のところで駄目だと気付いて呼ぶ直す。
そして読みの通り、鬼頭は久野のことを教えてくれた。

「先行った。」

「え。」

「生徒会が忙しくなってきたから。」

久野はいつも誰よりも早く起きてる早く学校へ行っていることを。
比路がいつもだと思っていたことは、久野にとってそれはいつもじゃない。
いつものことだと、いつの間にか勘違いしていたんだ。



鬼頭なりの慰め方

「克也、伝えてなかったんだな。」

「・・・・・・・・・。」

それを知った比路は、何を思ったのだろう。
いつもだと思い込んでいた錯覚に困惑してしまう。
その時、

「時期に慣れる。克也は基本、生徒会で忙しいから。」

「あ・・・。」

そう言われながらコトンっと鬼頭から渡されたのはきゅうりの浅漬けが入っていた小鉢。
見ていた比路と久野のいつものやりとりを鬼頭も覚えていたようで、彼なりにそんな比路を慰める。

「ありがとう、ございます?」

「・・・ん。」

そうして比路より後に食べ始めたのに先に食べ終えた彼も朝練へと向かって行った。



比路と颯太

「ご馳走様でした。」

鬼頭の後にようやく朝ご飯を済ませた比路。
使った食器を片付けに返却口へと向かう。
その時、

「あ!峰岸委員長おはよー!」

「颯太おはよう。あれ?瑛と一緒じゃないの?」

ちょうどそこに来たばかりの同じクラスの颯太が比路に気付いて、声を掛けてきた。

「うん。瑛くんも陸上部ですごく頑張ってるから、もう先に行っちゃった。」

「そうなんだ。」

寮にいる時、彼はルームメイトの瑛と一緒にいることが多い。
でも今は颯太単品でいたから、ちょっと珍しい。
けれどそれは颯太から見た比路の印象も同じこと。

「峰岸委員長も一人なんて珍しいね。」

「そんなことないよ。」



比路と颯太 2

お互いに今朝は単品同士の二人。
颯太にとってそれは何か都合が良かったようで、ピンッと何かをひらめく。

「そうだ!委員長、少し時間ある?ほんの少しでいいの?委員長を紹介したい人がいて、ちょっとだけでいいから付き合ってくれない?」

「え、なに?誰に紹介するの?」

そう言って颯太は比路を連れて、再びご飯を受け取る食堂の受け取り口へ。
そこにいたのは食堂のおばちゃんが一人いて、

「カーチャン、カーチャン。峰岸委員長連れて来たよ。ボクのクラスの委員長。」

『カーチャン』と呼び、食堂で働くおばちゃんの一人が颯太のお母さんだと紹介を受けた。



比路と颯太と颯太のお母さん

「おかあ・・・さん?」

「うん、そうだよ。ボクのカーチャン、ここで働いてるんだ。」

「そうだったんだ。今まで気付かなかったよ。」

「うん。だからいつかカーチャンにも自分のクラスの委員長を教えたかったんだ。」

颯太と颯太のお母さん。
そこに比路を交えさせて三人でお話をしていた。

「・・・颯太。僕、そろそろ道場に行かないとだから。」

「うん。捕まえちゃってごめんね委員長。また教室でね。」

けどその途中で比路がドロップアウト。
親子二人の邪魔をしてはいけないと察して離脱し食堂を後にする。

「・・・・・・・・・。」



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