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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#37 青ノ葉 思懐郷(1)(1/3)
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峰岸 比路episode

皆が寝静まり草木も眠る丑三つの時刻。
明日も学校は通常通りにあるのに、自分の勉強机でゲームしながらまだまだ起きていた司。

「・・・っし!やっとボス倒せた!」

イヤホン挿して音量を抑えながら今夜もピコピコ一人で盛り上がってる最中、ふと何かの気配を感じて、そっちに視界を向ける。
するとそこには、

「・・・・・・・・・。」

「あれ?どうしたヒロ。」

先に寝ていたはずの比路の姿があり、自分が使っているベッドから降りていた。

「・・・トイレ、行ってくる。」

「行ってらっしゃい?」

けど比路は司を一切見ないで、そう言葉を残して部屋から出て行ってしまう。
入学祝いで買ってもらったスマホを大事そうに持って・・・。



おかえり梅ちゃん

それから時刻は進み、朝を迎える。
今日は朝練がない日なので食堂には司、比路、朋也、稚空のいつもの四人に梅ちゃんが久しぶりに加わり五人で朝ごはんを食べていた。

「梅ちゃん、おかえり。もう具合は大丈夫なの?」

「はい。ご心配おかけしてごめんなさいでした。」

梅ちゃんが中間考査の前日で体調を崩してしまい、ずっと医務室で静養して面会も出来ない状態だったから、こうして会うのは数日ぶり。

「大事なタイミングで体調を崩してしまうのは、いつものことなので慣れっこです。」

「そっか。じゃあ梅ちゃん追試でテスト受けるんだ。」

「・・・はい。あ、なので稚空くん。今週は部活に参加出来なくなるので。」

「いいよいいよ。部活(こっち)のことはいいから、追試が再追試にならないよう、今はそっちに集中してなよ。」

何はともあれ、おかえりなさい梅ちゃん。

「朋也くんも心配おかけしてごめんなさいでした。」

「・・・いや。分からないとこあったら俺も協力するから。」



パンの日の給食はワクワクした作者です

今日の朝ごはんの献立は、パンにミニドックに南瓜のクリーム煮、サラダにフルーツに牛乳。パンの日の朝食は少しお洒落でほんのり豪華気分。
食堂で皆と一緒にご飯を食べるのは梅ちゃんにとって数日ぶり。
だからなのか。目の前に並ぶ自分のご飯を見て、クスクスと思い出し笑い出す。

「どうしたの?梅ちゃん、何かあった?」

「あ、いえ。ごめんなさいです。ちょっと休んでいた時のことを思い出して。」

梅ちゃんが元気になって何よりだが、どうしたのだろう。
その様子が気になり尋ねてみる。
けどそれがどうしてそこへ繋がったのか。

「やっぱり日暮寮長はカッコいい人ですよね。」

「え。」

思い出し笑いをしながら突然、日暮寮長を慕う梅ちゃん。
休んでいた間に本当、何があったのだろう。



毎回はしつこい?

「ひろピー?」

そんな中、比路を呼ぶ稚空。

「何?アッキー。」

「今のつっこまなくていいの?ほら、前は言ってたから。」

どうやら彼のつっこみ待ちだったようで、催して促す。
だけど、

「前は前だよアッキー。また言ってたら梅ちゃんにしつこい言われちゃうじゃない。」

そのつっこみを拒否する正論といえば正論が返ってくる。
けれど今日の比路はどこか様子がいつもと違う?

「ひろピー、なんか眠たそうだね。」

「・・・うん。実は夜中にトイレで起きちゃって、そこからなかなか寝付けなくて。」

「あらららら?ひろピーが寝不足なのって、ひょっとしてつかポンがいつまでもゲームやってるからじゃないの?スマホとかゲームの光って寝付けなくなる原因ってよく言うじゃない。」

「えー!ヒロが勝手に起きて勝手に寝不足になったことを俺のせいにしないでよ。あとアッキー、つかポンやめろって。」

それは全て寝不足が原因?
けどそれ以外、体調には問題ない模様。
朝ごはんを食べたら、いつもどおりに学校に向かい、いつもどおりに授業を受けて、いつもどおりに部活に参加。
いつもどおりに今日も一日を過ごす。



真夜中の出来事

そうして就寝時間を迎えた夜。

『今日も学校楽しかったよ』

『前に友達の梅ちゃんって子の話したでしょ?体調良くなって元気になって一緒にまた遊ぶこと出来て嬉しい』

『ちゃんと宿題もやってるよ!司は知らないけど相変わらず夜中までゲームしてるけど』

『大丈夫だよ!明日は朝練あるし僕もそろそろ寝るから』

『おやすみなさい、お父さん』

それは比路のスマホ画面に映る比路のメッセージ。
初めて買ってもらったスマホの操作にも慣れたようで、夜になると比路パパに今日のことを送っており、普段とは違い仲良く話していた。
けどそれをやり取っていたのは数時間前のこと。

「・・・・・・・・・。」

なのにそれを、ずっとずっと眺めている比路。
自分のベッドでいつまでも眠らずに。眠れずに・・・。



真夜中の出来事 2

「あれ?ヒロさん、まだ起きてたの?」

「!」

そんな比路に気付いた司。
ゲームを終えて自分も寝ようと梯子を上ろうとした時、スマホの光が司の目にも入ったようだ。

「こーら!アッキーも言ってたでしょ?いつまでもスマホで遊んでると、また寝れなくなるよ。また俺のせいって言われるじゃん。」

「・・・たまたま起きちゃってただけ。誰かさんみたいにずっとゲームしてたわけじゃないから。」

「ホントに?ずっとスマホ眺めて何してたのさ。」

だからいつまでも起きてる比路に注意。
いつまでも起きてた自分のことを棚に上げて、ブーブーブーブーブーイング。

「トイレ・・・、行ってくる。」

「はいはい。帰ってきたら今度はちゃんと寝なよ。朝練に寝坊で遅刻したらスマホ取り上げるからな。」

けど比路は必要以上に反論せず、トイレへ逃亡。
うるさい司に気付かれないよう、スマホをポッケに隠して部屋から出て行った。



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