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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#36 朋也episodeEX(2/5)
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朋也の伝えたいこと

二人は気付いていただろうか。
自分といるだけで他から陰口の的になってしまっていたことを。

「峰岸や梅谷にも森から伝えて欲しい。俺といたって何もいいことなんて起きないし、また前みたいなことにも巻き込みたくはない。俺のせいで二人まで悪く言われたくないんだ。」

それが自分だけならまだマシだった。
慣れているから、まだマシなんだ。
だけど二人までその的になる必要はないし、自分といるせいでそんな目に合ってるのが嫌なんだ。

「だからもう俺とは一緒にいないでくれ。」

それを口に出して言葉にして、ちゃんと司に聞かせる。
今度こそ自分に巻き込まれないようにするために。

「で?」

「で?って、え?」

「だから、で?」

「え?え?え???」



朋也の気持ち

「要は陰口叩かれたくなければ俺様には近寄るなってこと?」

「俺様までは言ってない。」

伝えられた朋也の気持ち。
簡単に言えば、そういうこと。
それを聞いた司は真剣に聞いていたはずだったのに、はぁっと残念そうな息を吐く。

「朋也って案外、めんどくさいね。」

「え。」

そしてやっとの思いで伝えた言葉。
新たな悩みとして生まれた種を、面倒臭いとそんなしけた感想で蹴散らす。

「朋也に言われるまで気づかなかったけど、多分気付いてたとしても気にしないし気にしてない。むしろだから?って感じなんだけど。」

「嫌・・・じゃないのか?」



朋也の本心・・・

しかしこれは朋也にとっては真剣でとっても大事な話。
それを面倒臭いと言われて、さすがに彼も黙ったままじゃいられない。

「嫌とかその前に、普通そんなもんじゃないの?ヒロだって多分気付いてないし、気付いてたとしても気にしないでしょ。陰で何言われてようがこっちの知ったこっちゃないし、朋也といてもいなくても、どのみちどこかで言われてるだろうし。こっちが気にしてなきゃ何言ってもいいってわけじゃないけど、でも陰口なんてそんなもんでしょ?」

「いや、だけど!」

でも司にとっては、そこまで至るほどではない模様。
だから分かった一つの答え。

「・・・そっか。朋也は陰で何か言われてるのが嫌なんだね。」

「・・・・・・・・・ッ。」

慣れていたはずの日常。
それが自分にとって当たり前だったはず。
ずっとそうだったから慣れたフリして自分を誤魔化すしかなかった。
喧嘩売られて絡まれて体を怪我するよりも、ヒソヒソと聞こえる陰湿な言葉に蝕まれて負った心の傷のが辛かったことを・・・。



司の答え

そんな答えなんて気付きたくない。気付きたくなかった・・・。
けど気付いてしまった以上、今までのものが全て崩れていく。
慣れていたはずの日常も。
自分にとって当たり前だったことも。
もうその頃には戻れなくなってしまう。
強がっていただけの鎧は、こんなにも弱く脆かったんだ。

「もう、朋也の好きにしたら?」

その朋也の答えが分かった一方で、司は一人で先にスタスタと歩き始めていた。

「待て、森。どこに行くつもりだ?」

「どこって、だから部活でしょ。部活。朋也が嫌なら仕方ないから俺は別方向から園芸部に行くの。」

それはあっという間に朋也との距離が出来上がっていく。



仕方ないだろ、朋也が嫌なら

ここまで連れて来られて置いていかれる朋也。
司との距離はどんどん離れていってしまう。

「仕方ないだろ。朋也が嫌なら、俺は一人で行くしかないんだから。」

「そ、そうか。」

この現状は自分が言っていたことだったのに、あまりにもすんなりすぎて逆に狼狽える原料に。

「・・・大丈夫か?まだ一人で何していいか分からないって、さっき言ってなかったか?」

「だから仕方ないだろって。朋也が嫌なら、俺は困りながら一人でやれることやるって。」

「困るなら駄目だろ。」

「だーかーらー、仕方ないだろ。朋也に嫌がられたんだもん!」



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