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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#35 帰ってきた青ノ葉(2/5)
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ぶつかった時は泣かなかったのに

「ありがとう朋也。」

「・・・うん。」

こうして司、比路、朋也の三人が揃う。
いつまでもここにいないで、そろそろ寮に戻ろうとした。その時、

「ん!?」

「どうしたの?司。ってあれ?」

何かが司にドンっとぶつかってきて、なんだろう?と振り向くとそこには幼い男の子が。
ここはもう青ノ葉学園の域なのに、なんでこんな幼い男の子がいるんだろう?

「え、なにその子?」

「いや、分かんない。いきなりぶつかってきて。」

「迷子か?」

どこからか迷い込んできたのかな?
その男の子を心配に思う三人だったが。

「うえぇぇ〜ん、このお兄ちゃんこわいぃ〜。」

「・・・・・・。」

案の定というか、やっぱというか。
迷い込んだ男の子は朋也の顔を見て泣いてしまった。



意外性抜群な特技?

「そうだね。このお兄ちゃん怖いね〜。」

「司、それ言うのやめたげて。朋也が余計に傷付くだけだから。」

泣かせた朋也はどんよりと落ち込んでいたが、これは読めていたことなので敢えて置いておこう。
司のフォローになってないフォローのおかげもあり、男の子も直ぐに泣き止んでくれた。

「やっぱり迷子なのかな?」

「よし。ここは俺に任せて。」

そしてそのまま司は屈み、男の子と視線を合わす。

「ぼく、お名前は?」

「なまえ?」

「うん、そう。自分のお名前言える?」

「みー・・・、みのう5さい!」

するとこの三人のうちで一番適切だったのか。
まさかのここで特技を発揮?あっという間にその男の子と打ち解ける。

「お!自分の名前言えてお利口さんだね。『みのう5さい』くんっていうのか。」

「いや、最後のは違うだろ。」



つかさだよ、つかさ

「おにいちゃん、だぁれ?」

「俺の名前は司だよ。つーかーさ。」

「つー?」

「そうそう。つかさだよ、つーかーさ。言える?」

「つー・・・?つー・・・、つーちゃん!」

「うん、そうだよ。つーちゃんだよ。よろしくね、みのう。」

その男の子、『みのう?』くんと、どんどん仲良くなっていく司。
ほのぼのとキャッキャキャッキャとしている。
そんな彼の意外性が意外すぎたのか。

「森、扱い方うまいな。アイツ、弟でもいたのか?」

「ううん、いないよ。司も一人っ子だから。」

見てた二人も驚きを隠せずにいた。



ヤキモチ?

比路もそんな司に始めは驚いていたが、どうしたことだろう。
二人が仲良しになっていくにつれ、どんどん微妙な色に顔を染めさす。

「峰岸?」

「・・・・・・。」

隣で見ていた朋也が、それに気付いたがどうしていいか分からない。
すると司も微妙な比路の様子に気付いたのか。

「あ、ヒロ。ちょっといい?」

「なに?」

「俺の荷物持っててくれない?これ持ったままみのうを抱っこするなんて危ないからさ。」

「・・・うん。」

と思いきや、やっぱ気付いてないのか。
比路に自分の荷物が入った鞄を任せただけ。
よいしょっと抱っこまでしちゃって、司がずっとみのう?に構うから、比路の顔色は余計に曇っていった。

「つーちゃん。あのお兄ちゃんだぁれ?」

「ヒロっとと、まだ『ロ』は難しそうだから。ヒーちゃんだよ、ひーちゃん。いえる?」

「ひーちゃん!」

「そうそうそう。よく言えたね。みのう?は本当お利口さんだね。」



ここに来た目的

司に対してなのか。幼い男の子に対してなのか。
微妙が複雑そうに変わる比路も、一先ず置いておくことにしよう。

「みのう?お父さんとお母さんは?」

「パパとママ?」

「うん、そう。パパとママは、何処にいるの?」

みのう?を抱えた司は、ようやく本題へ移す。

「ママは、おうち。」

「パパは?パパもおうち?」

「ううん。パパここにいるよ。」

「え!?ここって、青ノ葉にいるの?」

「うんっ。だからみのう、パパ会いにきたの!」

そして全てお利口さんに答えてくれたみのう?
どうやらここ=青ノ葉にパパがいるらしい。

「つーちゃん、パパどこ?」



とーちゃん=とうちゃん?

「みのう?のパパって、だぁれ?」

「パパはパパ!つーちゃん、パパどこ?」

みのう?のパパって誰だろう?
訊いても「パパはパパ」と言われるだけで、肝心の誰かが分からない。
なんとなく誰かに似ているような、似てないような?
困った司は朋也を見て、ピンッと何かを閃く。

「みのう?実はあの怖いお兄ちゃん、実は全然怖くないから安心してね。」

「そうなの?」

「うん、そうだよ。名前は『ともや』で、『とーちゃん』。」

「とーちゃん?」

「そうだよ。『とうちゃん』だよ『とうちゃん』。みのう?のパパだよ。」

その閃きで朋也も比路同様に『とーちゃん』と紹介したのだが、イントネーションは『父ちゃん』と同じ。
『とーちゃん』→『とうちゃん』→『パパ』と無理矢理持っていった結果。

「うえぇぇ〜ん。こんな怖いパパやだぁ〜。」

案の定というか、やっぱというか。
みのう?はヤダーっと泣いてしまった。

「司。今、流れ読んでワザと言ったよね?」

「テヘッ。」



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