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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#35 帰ってきた青ノ葉(1/5)
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帰ってきた青ノ葉学園

春の大型連休も今日で終わり。
一時帰省から青ノ葉学園に帰ってきた司と比路は、青ノ葉の正門前で降りると、うーん・・・っと長時間の移動で疲れた体を伸ばして癒す。

「あー・・・、お休みもう終わっちゃったか。結局、あんまりゲーム出来なかったな。」

「ね。あっという間だったから、あんまり久しぶりな感じがしないね。」

今日もいい天気で気温は初夏以上を思わせる暑さ。
長袖が少し辛いが、風はまだ涼しいので吹けば心地いい感じ。
司も比路も、すぅー・・・っと吸い、はぁー・・・っと吐いて深呼吸をする。

「もうじきテストって考えると、鬱になってきそう。」

「ちょっと!帰ってきて早々、そんなこと言わないでよ!」

が、そのままハァー・・・っと溜めた息も吐き、もうじき訪れる中間考査に肩を落とした。



見覚えありまくる背中

「ほら。さっさと寮に戻って帰ってきたことを、寮長に報告しに行くよ。」

「ヘイヘイ。」

そうして二人は荷物を抱えて学生寮を目指す。
すると彼もさっき青ノ葉に着いたばかりなのだろう。
そんな後ろ姿に気付き、走ってまで追いつく。

「とーもや!」

「痛!?」

その彼とは朋也のこと。
司なんてペーンって叩いてまで自分らに気付かせる。

「連休ぶりだね朋也。」

「ビックリした。なんだ・・・、森と峰岸か。」

すると朋也がこっちに振り向いたが、

「「・・・・・・・・・。」」

彼の顔に貼られてる絆創膏があまりの量で、それを見た途端、二人して返す言葉を失くしてしまう。



朋也、負傷の理由

朋也の顔に、いったい何があったんだろう。

「朋也、顔の怪我どうしたんだ?」

「まさか誰かに絡まれたの?」

己の顔付きのせいで、何かと絡まれやすい彼。
今回もそれかと思い心配に思ったが、朋也はその問いに対して、首を横に振って否定。

「違う。俺は止めようとしただけだ。」

「え???」

そして二人に、その事情を話す。

「実家の近くで二匹の猫が喧嘩してて止めに入ったら、双方から引っ掻かれた・・・。」

「うわぁ。それはまた災難だったね朋也。」

「俺は止めたかっただけなのに・・・。」

それは朋也にとって平和な怪我の負い方だった。
でも本人は相当凹んでいるようで、段々と口調が弱々しく落ちて行く。



せっかく買ってもらったので

そんなともにゃんのにゃんにゃん話は、彼の為にもそっと静かに置いておこう。

「あ、そうだ。朋也って携帯持ってる?」

「一応、連絡用として持ってるけど。」

話を切り替える為にも、比路は自分のスマホを取り出す。
入学祝いで買ってもらった携帯電話。
今の今まで持ってなかったせいもあり、すごく嬉しそうな顔をしてその続きを口にする。

「じゃあさ朋也の連絡先、交換させて。」

「あ、俺も俺も。」

ちなみに司はついで。
こちらは前から携帯電話を持っていたが、今の今までタイミングが掴めず、朋也の連絡先をなかなか得ることが出来なかったようだ。
だからこの機会に朋也と交換しようとした。

「え・・・。」

けど朋也はそれを耳にした途端に、表情の雲行きを怪しくさせてしまう。



交換し合う連絡先

「『え・・・?』ってあれ?もしかして、だめ?」

「今までも無くて困らなかっただろ?」

その理由は、恐らく心に宿った新しい種は原因だろう。
自分のことよりも二人のことを思い、やんわりと断ろうとした。

「え。だって僕、朋也ともメールしたいし。」
「え。俺も、朋也にメッセージ送りたいし。」

しかし司も比路も双方揃って泣き落としてくる言葉が『ねーねー、ねーねー』と。諦めずに煩くなってきたので、結局朋也が折れることに。

「・・・二人が迷惑じゃなければ。」

司・比路の携帯電話には朋也の連絡先が。
朋也の携帯電話には司・比路の連絡先が。
お互いに交換し合い、それぞれの携帯電話に登録されたのでした。



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