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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#34 司と比路 春の大型連休(後編)(2/4)
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GWといえばBBQの家庭も多い

そうしてお昼を迎えれば森家・峰岸家の両家が揃って、森家のガレージでバーベキュー。
今回はそれぞれの息子の入学祝いも兼ねている。

「司も比路くんも改めてだけど青ノ葉学園に入学おめでとう!」

「二人とも、どんどん好きなもの食べてね。」

「「いっただきまーす!!」

なのでお肉に魚介類に野菜に塩おにぎり、アラカルトなオードブルなどなど、豪華なご馳走が並べられていく。

「ん〜ッ!美味しい!バーベキューの時の塩おにぎりって、普段よりも美味しく感じるの何でだろう?」

「うむ。美味い美味い。あ、ヒロ。そこの海老とって。」

「ん、ちょっとまって。・・・っと、これ?」

「違う違う、それさっき焼き始めたばかりじゃん。そっちのやつだって。あと隣のホタテも醤油かけてからちょーだい。」

「こら司!比路くんに取ってもらってないで自分で取りなさい。」

今日は天気もいいので、絶好なバーベキュー日和。
ガヤガヤと大いに盛り上がる。



さっきまではいた

「寮生活もそろそろ慣れた?」

「うーん、どうだろう?時間厳守な所もあるから最初よりかはって感じだけど、まだバタバタしちゃってるかも。」

司のお父さんが主に焼いて、司のお母さんと比路ママが盛ってくれたり飲み物を注いでくれていたが、比路パパの姿が見えない。
ついさっきまでそこにいた気がするのに、どこに行っちゃったんだろう?
そのことに息子は気づいてないのか興味ないのか、眼中なし。モクモクと食べ続ける。
だから司が先に気が付き、キョロキョロと辺りを見渡す。

(あれ?ヒロパパどこ行った?)

「どうしたの?司。」

「いや。ヒロパパどこ行ったのかなって?」

「知らない。あんなお父さん。」

「こらこらこら。そんなこと言っちゃダメでしょ!」

するとそのとき、

『ぴゃああああ!』

また峰岸家方面から、こっちまで聞こえてきたのだ。
しかも今度は子供が泣いている声が・・・。



比路パパの行方

それを耳にした途端。

「ーーーッ!!」

顔を赤くした比路がガタンッと席を立ち、一目散に自分の家に帰って行き真っ直ぐリビングへと向かう。

「あ。本物の比路も来た〜♪」

勿論、そこには比路パパの姿があった。
テレビに昔のビデオデッキにビデオカメラを繋いで、昔に撮ったビデオテープを再生していたのだ。

「何してんの!?お父さん!」

「何って昔の比路を観てたんだよ。一緒に見る?」

だから今、テレビに映ってるのは当時の司と比路。
今から10年も前の幼い彼らが映っていたのだ。

「消して!今直ぐに消して!」

「やだー。だってこれパパのお気に入りなんだもん。」



5歳の頃

『はーい、比路パパで〜す。今日も可愛い息子は司くんとグッスリ気持ちよさそうにお昼寝しておりま〜す。可愛いね。』

当時の映像。それは10年前だから、司も比路も5歳の頃。
撮影者は比路パパ。職業柄ホームビデオを撮るのも好きで、暇あれば何気無い事でも構わずいつでも撮っていた。

『でもこれアレだな。司くん寝苦しそうだな・・・。』

当時の比路と当時の司が、二人して森家のリビングでお昼寝中。
だけど比路が司をギューと離さずに寝ていたせいで、司はウーンと寝づらいそうに唸っている。

『ねえ!ちょっと比路剥がすの手伝って!』

なので比路パパは一緒にいた司のお父さんに撮影者バトンタッチ。
自分もカメラの向こう側へいき、そーっとそーっと二人を近く。



5歳の比路

『よいしょ・・・っと。』

静かに近寄って、静かに我が子を抱えた比路パパ。
司から剥がすことに成功し、そのまま自分と一緒に撮影してもらおうと思ったのだろう。
けどその拍子に寝ていた比路を起こしてしまう。

『あら?比路、起こしちゃった?』

『・・・・・・・・・。』

するとパチパチ瞬きしていた比路の目に涙が溜まっていき、

『ぴゃああああ!!』

『わ!?』

お昼寝を邪魔したせいで案の定、比路を泣かせてしまう。



5歳の司

比路パパのせいで、比路がピーピー泣き出す。
当時の彼はかなり泣き虫で、どんな些細なことでもピーピー泣いてしまい、一度泣けば泣き止ませるのが凄く大変。

『ほ〜ら。比路の大好きな比路パパですよ〜。』

『つうう、つうう、やああああ!』

よーしよしっと、一生懸命あやす比路パパだったが、その苦労も水の泡。
比路のピーピー泣く声で、寝ていた司までも起こしてしまう。

『ヒロパパ。』

『あ、司くんも起こしちゃってごめんね。ほーらほら、比路。司くんも見てるから、そろそろ泣き止んで〜。』

そして司も比路パパの元に来たので、一緒にこの泣き虫をあやしにくる。

『ヒロパパ。ヒロかえして。』

のかと思いきや、比路の返却を求めただけだった。

『・・・え?』



5歳の司と比路

『もー。ヒロなかせないで。』

『つうう・・・っく、つーかーさああ。』

『あっちいこヒロ。』

『うん・・・グスグス。』

司に比路を返すと、さっきまであんなに大変だったのに、一瞬にして泣き止んだ。
しかも二人して比路パパを悪役な位置に見立てて、リビングの奥の方へと移動。
そして今度は司も比路と同じようにギューギューして、お互い幸せそうにお昼寝を再開させた。

『ちょおお!?司くんに比路とられた!?なにそれ!そんなのパパが泣いちゃう!!』

そこで再生されていた映像は終了。
二人に振られた比路パパがあまりにも哀れで、きっと司のお父さんが止めたのだろう。
一人だけ不幸エンドとなったビデオテープだったが、それはそれ。これはこれで良き思い出だった。



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