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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#34 司と比路 春の大型連休(後編)(1/4)
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二人で寝た翌朝

実家に帰ってきてから二日目の朝。
ここはもう青ノ葉の学生寮じゃないんだから、朝の清掃時間も気にしなくていい。
寝坊だってしたっていいのに、身に付き始めた習慣がいつも起きる時間に比路を夢から覚まさす。

(ん・・・、朝?)

見慣れた天井、見慣れた布団、見慣れた景色。
けどここは自分の部屋じゃない。
起きて直ぐに司の部屋だと分かり、実家に帰ってきた実感がそこからもやってくる。
ごろんっと横に寝返ると、そこにはやっぱりこの部屋の主がいた。

「くぅー・・・、くぅー・・・、くぅー・・・。」

気持ち良さそうな寝息をたてていて、まだ起きる気配がない模様。
比路は昨夜のことを覚えてる?
そんなところからも昔の懐かさを感じて思わず、

「・・・・・・・・・。」

その当時と同じ行動を起こしたのだ。
もちろん起きませんように、気付かれませんように、と。
どこかの誰かにお願いしながら・・・。



隣の家は自分の家

そのままスヤスヤ二度寝してから、どれだけの時間が経ったのだろう。

「あああー!?比路がいないーーー!!!」

「!?」

峰岸家比路部屋方面から、とんでもない大きな声がこの部屋まで聞こえてきた。
すると比路はビクッとなり、ガバッと起きて、一発で寝惚けたすらも覚ます。

「やば!今の声、お父さん!?」

「んぁ?・・・ヒロおはよ。もう朝?」

その拍子に司まで起こしてしまったが、今はそれどころではない。

「ごめん司!僕を隠して!」

「へ!?え、ちょ?いきなりなになになに!?」

慌てた比路は、そのまま布団の中に頭から足までモゾモゾ潜っていき、なんとか司に匿ってもらう。



勢いよくやってきました

バタンッ!ドタバタドタバタ!
大きな音を立てて、こっちへ向かってくる足音。
それはノックもしないで、ガチャッと司の部屋のドアを勢いよく開けてきた。

「ごめん司くん!こっちの比路来てない!?」

この部屋にやってきたその男。
その人は比路の面影を感じさせる顔付きをしている。

「おはよう、ございます・・・。」

そして司は、その男性にご挨拶。
寝ていた身体を起こしていたが、布団の膨らみ加減に違和感を感じる。
どっからどうみてもそれは司一人分ではない。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

それに気付いたその男は嬉しそうな顔を浮かべ、その違和感に乗っけた己の身体を全部使って、違和感ごと閉じ込める。

「なに?ここのモコモコ部分!超可愛いんだけど!」

「んんんーーーっ!退いて退いて!息出来ないーーー!!!」



比路パパ

そんなわけでその男というのは、比路のお父さん。比路パパのこと。

「比路見ーっけ!ひどいぞぉ!せっかくパパが帰って来たのにお部屋で待っててくれないなんてー!」

「もうやだ!やめて!朝からギューギュー鬱陶しいんだってば!」

「あ、こら!親に向かって鬱陶しいなんて言葉使っちゃダメでしょ!ほっぺスリスリの刑でママに代わってお仕置きしちゃうぞ!」

「やだってば!もー!」

ギューギューはぐはぐ、ギューギューはぐはぐ。
ホッペとホッペを合わせて左にスリスリ。右もスリスリ。両方スリスリ。
結局見つかって捕まった比路はハート乱舞で愛情を表現する比路パパの餌食となっていた。

「ヒロパパとヒロって、本当に仲良いね。」

それはもう目の前で見てる司も引くほどの親バカレベル。

「ごめんね司くん。また比路がお世話になってたみたいで。ほ〜ら、司くんもおいで。一緒にギューギューしようね。」

「わ!?」

そして司まで巻き込んで、はぐはぐギューギュー。はぐはぐギューギュー。
まさに両手に花と言った感じで、比路パパはごっつ幸せな顔でこの幸せを満喫していた。
ちなみに比路パパの職業はフリーのカメラマン。
主に自然や植物を撮影していて、彼が修める映像は国内からは勿論だけど国外からも求められて、世界を駆け回るときもある。



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