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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#33 司と比路 春の大型連休(前編)(3/3)
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今日が昨日に変わってしまう前に




「ん・・・?」

それから何時間が過ぎたのだろう。
ふと目を覚ました比路は、いつの間にか寝ていたことに気がついた。

(あれ?いつから寝ちゃってたんだろう?ちゃっかり毛布まで被っちゃってるし・・・。)

眠たい目を擦りながらスマホの画面を見ると、ほぼ0時近い時刻。さすがに自分の部屋に戻らないと、明日が面倒臭いことになる。
けど司は、

「おー、いいね。それ!ナイスナイス〜♪」

立ち上げていたパソコンで何処かの誰かと無料通話の機能を利用してお喋りしながら、ゲームに夢中だった。

(・・・・・・・・・。)

どうしよう。あれだけ熱中になっていると、声を掛けづらい。
比路としてもそんな彼の邪魔はしたくなかったので、寝惚けが若干強いまま、ゆっくり動いて外へ出ようとカラカラ窓を開ける。



今まで落っこちたことないけれど

その時、

「危な!何してんの?」

「!」

ゲームに熱中していたはずの司がこっちにやってきて、後ろから窓を手で抑えてオープンを阻止してきたのだ。

「何って、部屋に帰る。」

「だからって寝惚けたまま渡るのは危ないって。落っこちたら怪我だけじゃ済まなくなるだろ。」

どうやら起きたことに気付いたようで、危なっかしそうだった比路を横目で見て、慌てて止めに入った。

「寝るなら俺のベッド使っていいから。そっちで寝てな?」

「・・・うん。ありがとう。」

そしてそう言って自ら自分のベッドに比路を招き入れて、ポフポフと寝かし付ける。



暗くなった部屋で見つけたモノ

「司・・・。」

けど比路は寝ちゃう前に、

「ん?」

「今日は司のお布団だから、入ってきちゃっていいからね。」

「・・・ちゃんと俺のスペース空けとけよ。」

「うん。それじゃあおやすみなさい。」

それを言いたかったようで、それだけを伝えたら満足したのか。
コロンっとあっち側に寝転んで、あっという間に眠っていった。

「・・・おやすみ、ヒロ。」

そんな比路を最後まで見届けてから、司自身はまだ起きてるつもりなのか。
部屋の明かりを豆電球に変えてから再びゲームへ戻ろうとした。そのとき、

「ん?」

自分のスマホのランプが点滅していたおり、メールが一件着信していたことに気が付いた。

(メール?)



件名が本文?それとも・・・

あれだけ教えていたのに件名が長くて、本文が短くなってしまっている打ち慣れてないメール。
今日はあれからもずっと一緒だったんだから、そのどこかで言えばいいのに、そのどこかで言えなかったことがメールに綴られている。

「・・・・・・。」

『ごめんなさい』が本文。件名は『本気でイヤがってたわけじゃなかったんだけど傷つけちゃってたなら謝らせて』っと、比路からのメールが届いていた。

(結構、本気っぽく言ってたくせに・・・。)

司はそんなメールを読んだ途端、

「ごめーん。トイレで寝落ちしそうになってハマりかけたから、今日もう寝るわ。」

っと。さっきまで一緒にネット通話していた人たちに伝えた。
『嘘でしょ?もう寝るの!?』『まだこれからでしょー』『珈琲豆かじって来い』などと通話からもチャットからも後ろ髪を引っ張られながらも、ゲームやパソコンの電源を全て静かに落とす。



寝てる彼の上から

「・・・・・・・・・。」

そして比路が寝ている自分のベッドに向かったが、

「すぅー・・・、すぅー・・・。」

布団の中に入らず、比路の上に跨いだだけで覆いかぶさる。
真上から寝顔を眺めているかのように、ずっと見ていて、何も語らないままずっとそこにいた。

「ん・・・。」

司は何をしようとしているのか。
やっと動いたかと思いきや、 寝てる比路の額に自分の額を静かに合わす。
そんな至近すぎる距離で、深呼吸を一つ。
それで覚悟が決まったようで、ゴツンと思いっきり頭突きを落としたのだった。

「・・・ひひゃい!?」



喧嘩していたわけじゃないけれど

司の頭突きは、あまりの衝撃だったのか。
それで比路が起きた、いや起こされてしまう。

「なになになに!?僕、今なにとぶつかったの?」

ビックリと驚いて、キョロキョロと辺りを見渡し、寝惚けたままで混乱状態に陥る。
そんな彼を見て苦笑しながら、ようやく上から退いた司。
ごそごそとやっと布団の中に入り横になる。

「よし、これで許してあげよう。」

自分で思いっきり頭突いたのだから、司も額は痛いはず。なのに悪戯に満ちた笑顔でニッコリとしていた。

「え?え?僕、今、司とぶつかったの?」

「そうだな。ある意味、それで間違ってないな。」



一緒の布団で

比路のすぐ隣には司が。
司のすぐ隣には比路が。
一緒のベッドで並んで寝ている二人。

「ひょっとして狭くさせちゃってた?ごめんねごめん。」

寝惚けた比路は司とぶつかった原因が分からず、とりあえず離れて、司のスペースを広くさせようとした。
けど、

「っと。そんなにそっちに行ったらベッドから落っこちるだろ。」

その途端に司が捕まえてきて、支えた手で自分側に引き寄せて腕の中にしまう。
なので離れたはずの距離はなくなり、さっきとよりもずっと近くなる。

「こんなにくっついたら狭くない?司。」

「全然平気。ヒロも苦しかったりしてない?」

「・・・うん。平気。」



眠る二人

「懐かしいね、こうやって司と寝るのって。」

「嫌?」

「ううん。ちょっと恥ずかしいけどヤじゃないよ。司は?」

比路のすぐ傍には司が。

「嫌じゃないよ。こうやってヒロと一緒に寝るの。」

「よかった。司の体温って落ち着くから僕、結構好きなんだ。」

「・・・俺も、好きだよ。ヒロの体温。」

司のすぐ傍には比路が。

「ほら、明日はバーベキュウだからもう寝るぞ。」

「うん、そうだね。おやすみなさい司。」

「おやすみヒロ。」

こうして男二人はお互いにくっつきながら、一緒のベッドで眠っていったのでした。



青ノ葉 第33話をお読みいただきありがとうございます!

29話とかで司に焼きもち妬かせるのが
意外にも楽しかったので今回はやらかさせました
おかげで司×比路が自分の中でヒャッホイしてます
わちゃわちゃ時々イチャイチャさせたいデス

前半は司メイン、後半は比路メインのGWとなってます
どうぞ次回もよろしくお願いいたします!


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