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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#33 司と比路 春の大型連休(前編)(2/3)
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本日のお出掛け

そうして商店街の携帯ショップへやってきた二人。
学生寮の公衆電話から自宅への電話が設定上繋げられなかったことがきっかけとなり、入学祝いとして比路はついに携帯電話を買ってもらえることになったのだ。

「わ、すごい。え?え?これ全部スマホ?」

「そうだよ。今はもうスマホのが普及しちゃってるからね。ガラケーも一応あるけどどうする?見ておく?」

「うーん、どっちにしよう。あ、これとかデザインかっこいいかも。」

「せっかくなんだからヒロが一番気に入った携帯電話にしなよ。」

そんな比路に付き添いながら司は、店頭に並べられてるサンプル品を物色して、自分が知ってる範囲の知識から、どういう機能を持った携帯電話なのか順を追って教えていく。
これはカメラが良くて撮影した画像が凄く良いとか、これはおサイフ機能が付いてるとか、これは防水仕様されてるよとか、これは指紋認証あってパスワード解除する時便利だよとか。
どれも分かりやすく説明していたはずなのに、比路が携帯電話を持つこと自体が初めてなので、その違いは何なのか分かってもらえなかった。

「・・・ 見た目あまり変わらないのに、そんなに違いあるんだ。」

「うん。俺も自分で言ってて思ったけど、凄いよな。携帯電話って。」



比路の携帯電話

ので、

「司は、どれ使ってるの?」

「俺?俺はー・・・、あったあった。これ使ってるけど。」

「じゃあ僕も、それにしてもいい?」

比路は自分の好みではなく、司が持ってるスマホと同じ機種を選ぶ。

「は?」

もちろんその選択肢に渋い顔を見せる司。

「俺と同じのにするの?」

「うん。」

「俺と同じ嫌だって言ってなかったっけ?」

「・・・うん、言った。でも分からなくなったら司に訊けられるからいいなって思って。」

「俺に頼らず説明書読めばいいじゃん。どうせ操作してるうちに慣れてくるんだから。」

あれほど同じは嫌、一緒は嫌だって言われていたのだ。
なのに自分の都合でそれを変えてくるから、司もちょっと黙って頷けられなかった。だから口から愚痴も嫌味も出てしまう。



比路の携帯電話 2

「せめてアッキーと一緒のにしたら?分からなかったらアッキーにだって訊くこと出来るし。」

「・・・・・・・・・。」

「あれだけイヤイヤ言ってたくせに何言ってんのさ。」

「・・・・・・・・・。」

「俺と同じはヤダって散々言いまくってた子は、どこの誰でしたか?」

「・・・ここの僕。」

が、

「ダメ?司が嫌なら僕、違うのにするよ。」

比路のその一言により、司は愚痴らせていた口をピタリと止めた。
それはどんな言い訳よりも効果的だったのか。

「・・・いいよ。」

「本当?」

「うん。ヒロがそうしたいなら・・・いいよ、別に。」

最終的には彼が折れて頷くことに。



比路の携帯電話 3

少しでも違いがあってほしいから違う色を選ばせたが売り切れてしまっており、一緒の色以外は選べなくてお揃いのスマートフォンの携帯電話となった。
それから色々プランを選んだり設定をしたり、家族の承諾を確認したりで時間がかかり、やっと携帯ショップを後に出来たのは一時間経ったあと。
ようやく新規で買ったスマホを持ってお家に帰り、二人は比路の部屋に集まる。

「♪」

「・・・・・・。」

比路は初めての携帯電話、スマートフォンを手に持って上機嫌。
一方、司はちょっとだけご機嫌ナナメ?
向こうから言ってきたことだけ嫌じゃなかったことに、多少の不公平を感じているようだ。

「あ、あれ?どうしよう、ここ。」

けど、

「何か分からないことでもあった?」

「うーん、うん・・・。でも説明書読むから大丈夫だよ。」

「いや、俺が教えた方が早いって。いいから貸して、ちゃんと教えるから。」

結局一緒のになったスマートフォンを見て、微妙だった表情を柔らかくさせた。



朝も昼も夜も一緒の二人

そうして時刻はあっという間に夜を迎えた。
そして晩ご飯やらお風呂を済ませた、二人はまた一緒。
今度は比路が司の部屋にお邪魔していた。

「どう?だいぶ慣れたでしょ?操作方法。」

「うん。アッキーにメール送りたいんだけど、こうでいいの?」

「いや違う、それ本文と件名が逆になってるから。こっちの細いところは短めの文章打って、こっちの広い方に長い文章を入れるの。てかメールじゃない方でメッセージ送った方が早くない?さっき登録したしアッキーのも教えたじゃん。」

「でもメール送ってみたいから、こっちがいい。」

「・・・あっそ。」

まだまだスマホに夢中の比路。一緒に持ってきた宿題を手付かずでいる。
それはもちろん司も一緒。宿題やらずに、またゲームに没頭しながらロードの合間に比路スマホの面倒をみていた。

「っと、いけないいけない。宿題しなくちゃ。」

「てか、なんでここで宿題するの?そこでされるとゲームに集中出来ないんだけど。」

「少しでも司の気を途切らせる為だよ。そうすればちゃんと宿題やろうって思えてくるでしょ?」

「あとで写させ・・・「絶対やだ。」



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