そうして商店街の携帯ショップへやってきた二人。 学生寮の公衆電話から自宅への電話が設定上繋げられなかったことがきっかけとなり、入学祝いとして比路はついに携帯電話を買ってもらえることになったのだ。
「わ、すごい。え?え?これ全部スマホ?」
「そうだよ。今はもうスマホのが普及しちゃってるからね。ガラケーも一応あるけどどうする?見ておく?」
「うーん、どっちにしよう。あ、これとかデザインかっこいいかも。」
「せっかくなんだからヒロが一番気に入った携帯電話にしなよ。」
そんな比路に付き添いながら司は、店頭に並べられてるサンプル品を物色して、自分が知ってる範囲の知識から、どういう機能を持った携帯電話なのか順を追って教えていく。 これはカメラが良くて撮影した画像が凄く良いとか、これはおサイフ機能が付いてるとか、これは防水仕様されてるよとか、これは指紋認証あってパスワード解除する時便利だよとか。 どれも分かりやすく説明していたはずなのに、比路が携帯電話を持つこと自体が初めてなので、その違いは何なのか分かってもらえなかった。
「・・・ 見た目あまり変わらないのに、そんなに違いあるんだ。」
「うん。俺も自分で言ってて思ったけど、凄いよな。携帯電話って。」
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