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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#32 ど直球発言は罪作り?(3/3)
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圭と恭

「にしても圭は話してみると案外、面白い奴だな。嫌われてるっていう話を聞いたもんだから、どんな奴か気になってたんだ。」

「・・・・・・・・・。」

そういうわけで二人は教室へ来てた道から戻ることに。恭が「後は大丈夫、何とかなる」とか言って校内案内を中断させた。

「もっとみんなも話し合えばいいんじゃねえか?クラス委員長決める時にも、どうのこうのあったって稚空が言ってたけど話せば生じた誤解も解けそうな気がするが。」

「能天気なバカと一緒にされたくないし下にもいたくないから上に立っただけだ。だからそんなことする必要はない。」

「え・・・。」

「別に嫌われていたって構わない。」

恭が前を歩き、圭がその後ろをついて歩いて行く。
その距離は遠くなかったが近くもない。
逸れてしまわないようにしていたが、そんな二人の動きは一定で縮まることがなかった。

「好かれたいなんて、思ってないから。」



圭と恭 2

「だから貴様も金輪際、僕に関わってくるな。僕は一人でいたいんだ。」

「何言ってんだ?関わるなっていう方が無理な話だろ。もう圭という一人の人間を知っちまったからな。頼りにさせてもらうぜクラス委員長。」

「さっき何でも言うこときくって言ったよな。」

「一つだけだって言っただろ。」

圭の話を聞いて、恭は何を思ったのか。
一つの言うことをもう聞いているから、それ以上のことはNOと拒否る。

「・・・お前、嫌い。」

「そんなにハッキリ言うなよ。いくら何でもオレだって傷つくだろ。」

そして真っ直ぐ言われた言葉を、ど直球で返す。

「オレは圭のこと好きなんだからさ。」



圭と恭 3

もちろん直球なので、それに深い意味なんてない。
好きだから好きだと、好きという言葉を口にしただけ。
だから種類とかも恭の発言にはないだろう。

「な・・・ッ!」

けど、それをハッキリと言われた圭。

「ふ、ふざけないでくれない!?そんなバカバカしいこと言って。」

それをどういう種類で、どういう意味で捉えたのか。
ほんのりと頬が赤く、若干の焦りを見せる。

「あ?圭が嫌い言うから、オレは自分の気持ちを率直に素直に言ったまでだぜ。」

「駄目だろ。僕も男お前の男、男同士でそんな・・・っ。」

「え?駄目か。だってオレ普通に師匠にも言うぜ。それに司だって比路だってクラスメイトの奴らも好きだし言うぜ。男相手にも普通に好きだって。」

「・・・・・・・・・。」

けど恭の発言の意図が分かると、すぐ持ち前の冷静さを取り戻す。

「・・・お前、嫌い。」

「なんかさっきよりもキツイ言い方してねえか?」



呼ばれたのは恭だけ

そうして元から来た道を頼りに、一年の教室がある階の廊下へ戻って来た二人。
校内を案内されてから、どれぐらいの時間が経っていたのだろう。
すでに授業が終わって休憩時間に入っていたようで、どのクラスも教室の外も中もガヤガヤ賑やかになっていた。

「お、おかえり恭ー!次、移動教室の授業だから一緒に行こうぜー!」

「おう!」

そんな中、一人のクラスメイトが恭たちに気づく。
誘われた恭はそれに応えたが、彼らを見ていた圭は足を止める。

「ん?どうした?圭も一緒に来いよ。」

「なんで?」

「なんでって、え?次、移動教室だからだろ。行かなきゃ授業受けられねえぞ。」

「だからってなんで貴様らと一緒に僕まで行かなきゃならない。呼ばれたのは、お前だけだ。僕は一人で行く。ここまで来れたら後は問題ないから。」

恭たちと一緒に行く気はないようだ。



一緒に来いよ

「僕は一人でいたいんだ。さっきも言っただろ。」

「何言ってんだ?圭は今、オレといるから一人じゃないだろ。」

「ああ、そうだな。だから僕に構ってないでとっとと行ってくれ。本当、バカは気楽で羨ましいよ。」

そういう彼を見て、長く溜めた息を吐く恭。
そして、

「分かった分かった。そんなに羨ましいなら連れて行ってやるから来いよ。」

「なッ!」

圭の手を取って引っ張り、待ってるみんなの所へ連れて行ったのだ。

「ちょっと・・・!」

「いいから来いって。意固地になって拗ねんなよ。また途中で迷ったって知らねーぞ。」



彼らの後ろから

「・・・・・・っ。」

当然、圭は戸惑い困った表情を見せたが、黙って恭の後をついて行く。
この手を振りほどかなかったのは、彼の笑顔に負けたのか。ただ単に迷って授業に間に合わなくなるのが嫌だったのか。
恭を待っていたクラスメイトも圭もいたことに驚いた。
中には嫌だった奴もいたかもしれないが、徐ろに見せず、一緒に次の授業のために教室を移って行った。

「ん、あれって・・・。」

そんな彼らを、偶然にも後ろから見ていた稚空。

「ほうほう。これはいい傾向。」

なんだかんだ言って圭のことが心配だったようだ。
ニッコリと笑顔でホッとしていたのだった。



青ノ葉 第32話をお読みいただきありがとうございます!

今回は記念すべき100ページ目の話となりました
そして結構久しぶりに出しましたA組委員長の圭
恭のせいで煮崩れ加減が更に進みます・・・
でもまだ稚空や瑛、A組のクラスメイトとの仲が
あまりよくない状態なので、どうなることでしょう


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