しかしその翌日。
「おや?まだ校内を周っていなかったんですね。では今日のロングホームルームの時間を使っていいので相沢くん。澤村くんを案内してあげて下さい。」
「・・・はい。」
担任の藤堂先生の指示により、強制的に圭と関われたのだ。 圭も先生に頼まれたら従うしかないようで、ロングホームルームの時間になると、さっそく恭を教室から連れ出す。 そして校内の案内が、移動教室で授業が行われる特別棟の一階から始まった。
「ここが家庭科室、あっちが技術科室。」
現在、他のクラスは授業中。 だから廊下はとても静かで、歩く二人の足音が目立って聞こえる。 生徒手帳を見ながら前を歩く圭の後をついて行く恭。
「ここが生物室、あっちが科学室。」
けど、そこで疑問が生まれたので、さっそく質問として訊いた。
「なあ?圭、なんか機嫌悪くないか。」
「当たり前だ。自分の時間を割かれて機嫌悪くしない奴なんていないだろ。」
だって教室を出てから、ずっと彼の口調が刺々しくてあからさまに不機嫌な様子だったから。
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