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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#32 ど直球発言は罪作り?(1/3)
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440号室

一年A組のクラスに澤村 恭、恭という編入生がやってきた。
もちろん彼も青ノ葉 学生寮に入寮し、みんなと一緒にここで生活を送ることになる。

「これが寮内の案内図と規則も書かれた青ノ葉のしおりだ。ロビーにも飾ってるが面倒でも一度は目を通せ。規則違反したら容赦なく俺が罰する。ちゃんとよく覚えておけよ澤村。」

「はあ・・・、ありがとうございます。」

朝はギリギリで学校に着いてしまった為、寮の案内は放課後となり、簡単であったが日暮寮長に紹介された。
恭は一年階隅の隅440号室に部屋割りされて、部屋の構造は二人部屋だが一人で使うこととなる。

「もう峰岸に会ったかもしれないが寮内、部屋の中で乱闘騒ぎを起こすなよ。いいな?」

「よく言うよ。オレが青ノ葉を下見に来た時、比路のことはぐらかしたくせに。」

「当たり前だ。まあどうしてもやりたきゃ場所はちゃんと選んでやれ。もし守らなかったら俺が澤村に乱闘起こすからな。」

「う・・・、ウッス。」

そしてその最後で、お約束を言う日暮寮長だったが、

「それから俺のことは日暮寮長「様」な。様な、様。ちゃんと様付けて呼べよ。」

「いや、それは無理。日暮寮長はオレの師匠じゃないんで。師匠なら全然いいけど、オレの師匠そういうこと言う人じゃないんで。」

師匠ラブな恭にアッサリ振られてしまうオチ。
一年生の中で『寮長様』と呼ぶ生徒は誰一人いなくて、寮長室に帰っていくそんな寮長の背中が少し寂しそうな色をしていた。



晩ご飯を食べに

「腹減った・・・、飯。飯がオレを呼んでいる。」

恭は猪突猛進タイプの火属性おバカ。
言動の何もかもがどっ直球で裏がない性格なので、あの騒ぎがあった昼休みの後も、クラスメイトの生徒たちに話しかけたりかけられたりして世話になっていた。

「お、いいとこで出てきたな。澤村!」

「ん?なんだ瑛か。どうした?」

「一緒にメシ食いに行かないか?ついでに食堂の説明もしてやるからさ。」

「おお、サンキュー♪お言葉に甘えて頼むわ。学生寮のメシって美味い?」

だからそのおかげでたった1日。いやたった初日で打ち解けており、比路の件で世話になった?瑛とも既に気兼ねなく話す仲に。
ちょうど部屋から出てきたタイミングでご飯に誘われ、二つ返事で了承し一緒に食堂へと向かう。

「まあ、なかなか美味いよ。」

「食券とか買って好きな物食える感じか?」

「いや違う。昼間の寮弁と一緒で出てくるモノが献立表で決まってるから、みんな食べるもの同じ。」

「・・・そうか。カツ丼をガッつきたかったが仕方ないか。」

「う。それ言われると俺もカツ丼食いたくなってくるだろ。」



二人から三人へ

するとその途中で

「瑛くん、これからご飯?」

「ん?ああ、おかえり颯太。」

たった今、部活から帰ってきた颯太とバッタリ会う。

「って、あれ。そっちの人ってー・・・。」

「ああ。コイツが朝言ってた編入生。澤村 恭っていうんだ。」

もちろん恭と会うのは、これが初めて。
なので間に入った瑛が颯太には恭を、恭には颯太を紹介。

「よろしくな。あんたは?」

「佐藤 颯太。ボクはB組だからクラス違うけど、よろしくね。」

「初めて聞く名だな。」

「だから颯太とも初対面だったら当たり前だろ。何言ってんだ。」

二人もお互いに自己紹介を交わしあって知り合い、颯太も加わって一緒にご飯を食べることに。

「ボクもご飯、一緒にしてもいい?」

「ああ、もちろん。メシは大人数で食うともっと美味いって師匠言ってたから、颯太も来いよ。瑛と待ってるからなー。」



颯太のカーチャン

そうして颯太、瑛、恭の三人が揃ったことで食堂に入り、空いていた左隅のスペースに着き、晩ご飯を食す。

「うっま!なんだ、この生姜焼き。すげェうめえ!」

「だろ?澤村なら、そう言うと信じてた。」

「予想以上に美味くてビックリだ。正直、あんまり期待してなかったのが申し訳ないぐらい。」

今晩の献立は豚の生姜焼きに千切りキャベツ、揚げ豆腐のあんかけに小松菜のお浸し、エノキと油揚げの味噌汁にご飯。
空腹は最大の調味料?それを一口食べただけで、恭は大袈裟に喜び、ばくばくと箸を進める。

「嬉しいな。編入生の澤村くんに初日から気に入ってもらえるなんて。」

そんな恭を隣で見ていて喜ぶ颯太。

「あ?なんで颯太がそんなに喜ぶんだ?」

「ボクのカーチャン、青ノ葉学生寮で食堂のおばちゃんとして働いてるんだ。だから単純に嬉しいよ。カーチャンの味を気に入ってもらってるみたいで。」

「ほぉ〜。じゃあコレもソレも颯太のお袋の味ってわけか。すげェじゃん颯太。いいカーチャンもったな。」

彼が語る話の中で、この学生寮の食堂で颯太の母親が働いてると知り、褒めまくりの恭。
ど直球で言いまくってるが、それぐらい本気で美味しくご飯を食す。



リクエストするには

「ん!」

そして恭は颯太の話を聞き、ピンっと何かを閃く。

「じゃあさ颯太。颯太のカーチャンにカツ丼食べたいって言ったら、献立として作ってくれるのか?」

「澤村カツ丼好きだな。」

「いいじゃねえか。男はみんなカツ好きだろ?カツ丼食ってカツ入れたい時あるじゃん。」

「まあそうだけどさ。」

大好物のカツ丼を食べたくて仕方がない模様。
今日の生姜焼きも十分すぎるぐらい美味いが、やっぱりカツ丼が食べたいようだ。
なのでそれを颯太にリクエストしてみる。

「ううん。そういうのは日暮寮長に言うといいよ。献立考えてるの寮長だって聞いたから。」

「マジで!?」

「そうだったのか。それは俺も初耳だな。」

「朝も夜もそうだけど寮弁も寮長が決めてたはず。カーチャンたちは決められた献立通りに作ってるだけだから。」

けど得れたのは情報だけ。
颯太から知れた情報は瑛も知らなかった話だったので、恭と一緒に驚いていた。
まさか日暮寮長がそこに関わっていただなんて思ってもなかったのだろう。



視線の先にいるアイツ

ふと、その時だった。

「ん?」

何かに気付き、恭は進めまくっていた箸を止める。

「どうした?」

「いや、あれって・・・?」

「あれって、どれ?」

「あれだよ、あれ。あれだってば。A組の教室にいたのは覚えてんだけど名前知らないからさ。アイツ誰?」

そう言って訊いてくる彼の目線の先には一人の生徒が。
同じA組の圭がいて、一人で黙々とご飯を食していたのだ。

「ああ、アイツか。アイツが俺らのクラス委員長の相沢 圭。」

「お、そうだったのか。じゃあ挨拶しておかないとな。」

「え、今?」

「ダメか?一人でメシ食ってるみたいだし、こっち誘っていいか?」

「相沢くん、を?」

圭のことを颯太にも瑛にも訪ねると、彼のことを教えてくれたが、二人して表情も言葉も渋らせる。



絶対より可能性あるきっと

「いや、だって一人でメシ食ってんだぜ?」

「相沢くん、一人が好きな人だから。」

「やめとけよ。だからって澤村がそんなことする必要なんてないだろ。きっと行っても断られるだけだ。」

「そうか。じゃあ『きっと』ならまだ『絶対』より可能性はあるってことだな。」

そんな三人の会話を、偶然彼も耳にしていたのだろう。

「やめたげてよキョン。そうちゃんもてるリンも嫌がってるわけだし、そこまで八方美人になることないって。ウチのクラスでも嫌われ者だからアイツ。」

「誰かと思ったら稚空か。あとキョンは止めろ。」

「鈴木くん、そうちゃん禁止だってば。」

「てるリンもやめろって。」

使用した食器類を返却口に返す途中で寄り、稚空も三人の会話に参加。というより颯太と瑛の為にも助言に入ってきた。

「・・・イジメは駄目だろ。師匠が言ってた。そんな奴、学校で見かけたら構わずぶっ飛ばしてこいって。親しい奴らでも関わってたら全員ぶっ飛ばして、その根性叩き直すからな。」

「そうじゃないよ。アイツはある意味、自業自得でそうなったんだよ。」

そして恭は圭の噂話を彼から聞いて、とりあえず三人に応じて、今のところは関わることを諦める。
けど今夜はそれから圭を見かけることなく、結局関われずにいた。



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