≪ top ≪ main


青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#4 トラブルメーカーな彼ら(1/3)
]  [目次へ]  [

後藤 朋也

彼の名前は後藤 朋也(ごとう ともや)。
司や比路たちとは違う中学出身だが、彼も今年の春から青ノ葉の一年生になる柄が悪そうな男の子。

「意気のいい一年が入ったって噂聞いたけど。それっててめぇのことだよな?」

「・・・・・・。」

校舎へ向かった青ノ葉学園入学式前。
輝かしいオレンジ頭の少年と真面目そうな眼鏡少年。そんな上級生二人組に捕まった朋也は人気のない場所へと連行されてしまう。
彼らの用件は予想通り。でしゃばる杭を早めに打つため。
生意気そうに目立った新入生に対して、不良組の生徒が洗礼を仕掛けてきたのだ。

「・・・・・・。」

けど朋也にとって、それはもう珍しいことではない。
さて、どうする?どこまでが正当防衛だったかな?



喧嘩慣れした一年生

喧嘩慣れして、負けを知らない朋也。
挨拶代わりに振りかかってきた拳を華麗に回避。
そしてその勢いで生まれた隙を逃すことなく反撃を喰らわす。

「・・・!」

先輩だろうが。年上だろうが。お構いなし。
相手が誰であろうと加減を決して許さなかった。

「く・・・っ。」

「な、なんなんすか、この一年!?」

一年一人に対して苦戦する上級生二人組。
売った側としても、このまま引くわけにも負けるわけにもいかない。
さて、どうする?



仲裁者

「はいはい。ストップストップ。そこまでにしてくださいね。」

「「「!」」」

険悪な空気の中、この騒ぎに気付いたのか。
この場所へ訪れたのは保健医のチロ先生。
彼も、こういう場に出くわすのに慣れているのか。
微笑んでいる表情から余裕を感じさせる。

「確か貴方たちは二年のー・・・。」

朋也を連行した上級生二人組。
チロ先生は二人の顔を見ただけで、すぐに誰と誰なのかを把握。

「ちっ。邪魔が入ったか。行くぞ、小太郎ッ!」

「え!?ちょっ、待って下さいっす!犬飼さ〜ん!」

「そこの一年!次はこういかねぇから覚えとけよ!!」

それに勘付いたオレンジ頭。
邪魔されて興が冷めたのか。お約束のセリフを吐き捨てて、連れていたもう一人の男子生徒と一緒にここからおとなしく去っていく。



新たな厄介ごと

「厄介な方々に目を付けられてしまいましたね・・・。」

チロ先生はその二人組のことをよく見知っているのか。
おとなしく去ったことにホッと息をつき、また新たな問題が発生したことにハァと溜め息を吐く。

「偶然ここを通りかかってよかったです。大丈夫でしたか?怪我はありませんか?」

「あ…、あぁ。」

そして巻き込まれた朋也と改めて顔を合わし、

「初めまして柊 千尋といいます。お気軽にチロ先生とお呼び下さいね。」

「・・・・・・。」

先に自ら名を名乗った。



朋也とチロ先生

「後藤くん。彼らには気を付けてくださいね。この学園ではある意味、有名な方々ですから。」

互いに名前を交わし合い、朋也に負傷はないか。
チロ先生は診ながら、さっきの上級生二人組に対して忠告を言い渡す。

「・・・・・・。」

何はともあれ。朋也はチロ先生に助けられたことには変わりない。
だからお礼を言おうとした。

「あ・・・、ありが。あり・・・っ。」

が。
素直に言葉が出ず、躊躇っていると、

「へぇ。後藤くんはきちんとお礼を言える子だったんですね。見た目の割にいい子そうで安心しました。」

「〜〜〜・・・ッ。」

クスクスと笑われて冷やかされてしまい、余計に言えれなくなってしまった。というか、もう言いたくない!!



朋也とチロ先生 2

「さあ。もうじき入学式始まりますから、後藤くんも体育館へ向かって下さいね。」

上級生に捕まったことにより、時間をロスしてしまった朋也だったが。チロ先生の指示により彼もようやくここから動き出す。
そのとき、

「柊・・・、先生。」

「はい?」

「・・・ありがとう。」

「!」

背中を向かせたまま、そう小さな声で呟く。
無愛想ながらも、きちんと自分の口で伝えた言葉。

「いえ、どう致しまして。そして行ってらっしゃい後藤くん。」

そして振り返ることはせず、体育館へと真っ直ぐ向かって言った。
チロ先生に、そんな自分の背を見送られながら。



ふくよかな猫

入学式の会場。体育館へと向かう途中道。

「ナァーン。」

「!!」

朋也の前に突然現れた一匹の白猫。
ふくよかな体系だけど『だが、それがいい!』とも思わせるほどのボテボテ歩き。
柄の悪そうな見た目が原因で不良に絡まれやすい朋也だが、猫好きでもある彼は、もう目が釘付け。

「・・・・・・・・・。」

そのふくよかな猫を見た瞬間から、一秒たりとも視界を外さない。



一人と一匹

ふくよかな白猫をジーッと見つめたままの朋也。
一人と一匹の世界が生まれた中で、先に動いたのは彼の方。

「ち、ち、ち。」

地面に膝をついて舌を下手くそに鳴らして、呼び誘う。
それに興味を示したふくよかな猫。
ボテボテボテと歩いて近寄ってきたが、

「ナゥゥッ!!!」

「ッ!?」

ぷっくりとしたピンクの肉球ではなく鋭い爪に触れられ、ガリッと思いっきり引っ掻き、どこかへ逃げてしまう。

「・・・・・・。」

ズキズキ痛むのは引っ掻かれた傷口?それともフラれた心?
どちらにしろ猫に逃げられたショックで、深い深ーい溜め息を吐いた朋也だった。

「・・・・・・はぁ。」



]  [目次へ]  [
しおりを挟む




BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×