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CRO×QUAR
One day Azu story(リクエスト小説)
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AM8:30

もちろん朝食時も、そのままいつものペース。
用意されていたトーストとコーヒーを、遅刻恐れず、のんびりマイペースで平らげてからご馳走様。

「いってきま〜・・・ぁふ。」

そうしてお母さんに見送られながら、やっと家を出たアズ。

「ふわぁ〜・・・。」

あれっだけ寝ていたくせに大きな大きな欠伸を、一つ二つ三つ以上もしながら、学校へ向かっていった。
もちろん焦らず急がず、のんびりと。



AM8:40

アズが通う桃月学園高等学校は、学校名が可愛いくせに、女子でもなく共学でもなく、男子しかいない立派な男子校。
オマケに進学校ともなれば、校則もそれなりに厳しく、予鈴までに校内にいない生徒は遅刻と判明される。

「風紀を乱す者は例え一年であれ絶対に許すな。」

そしてこちらの方。
彼は桃月の風紀委員の委員長を務める三年の男子生徒、モブ扱いのため名前はまだない。
前髪は7対3で分けており、分厚いレンズの瓶底眼鏡野郎。
学校の規律を乱す生徒にはとことん厳しく、風紀委員長というだけあって、くっっっそ真面目。

(西野はまだ見えない。ふっ、今日こそは勝った・・・!)

ちなみにその予鈴が鳴るのは8時40分。3分前でもアズの姿が見えなかったので、今日という今日こそは勝ちを確信した。



AM8:40 2

そのとき、だった。

「委員長!アズキュンの姿、見えました!」

「風紀を乱す者に対して『アズキュン』などと呼ぶな!」

風紀の彼らが見張る正門の前方から、ようやくアズの姿が。
予鈴まで1分前だというのに、まだまだのんびりとこちらへ向かっている。

「委員長!あっちにUFOが!」
「委員長!そっちに大きな荷物を抱えたお婆さんが!」
「委員長!こっちにえーっと、こっちは校庭にあった蕾のタンポポが咲いて、黄色でめっちゃ綺麗です!」

そんなアズをフォローしようとする他の風紀委員。
すっかり彼に魅了された彼らは委員長の気を逸らそうと、あれこれそれこれ出鱈目言って色々と気を引かす。

「ばかもーん!そんなこと言ってる暇があったら、あっちは直ぐ様に撮影して専門家へ、そっちは直ぐ様に手助け、こっちは直ぐ様に花が綿毛になるまで観察を日記に付けたまえ!」

そしてくっっっそ真面目な委員長は物の見事に全部の出鱈目に引っかかったが、指示ばかりで己自身はここから動こうとしない。
厳しいのか真面目なのか、バカなのかアホなのか。それは誰の目からも判断が付かなかった・・・。



AM8:40 3

予鈴が鳴るまで30秒前。
遅刻を恐れた生徒が慌ただしくやって来ているが、アズは相変わらずの〜んびり。
とことことことこ、とことことことこ。

「おはようございま・・・ふわぁ〜。」

委員長の横を素通りした途端、キーンコーンカーンコーン。
予鈴が鳴る5秒前に、桃月にご到着。
ギリとは言え間に合った以上は遅刻じゃない。
委員長以外の風紀は『やったー!』と喜んでいたが、委員長自身は『ぐぬぬ・・・』とご立腹案件。
これが今回限りであればまだ仏の心で許されたかもしれないが、これもアズにとっては日常茶飯事であり毎回の出来事。

「コラーッ!西野 梓!いつもいつも遅刻ギリギリで登校するな!」

「あ。ふーきの委員長さん、おはようございます。」

「ああ、おはよう。・・・じゃなーい!もう少し時間に余裕持って来いと何度言ったらわかってくれる?!」

特に珍しい話ではないし、アズ自身も遅刻じゃないから反省なんて微塵もしてない。するわけがない。
ちなみに西野家から桃月までは徒歩10分。間に信号もないので、あんな時間に家を出てもアズにとっては余裕のよっちゃん。入学してからまだ一度も遅刻したことないのだ。・・・毎回ギリだけど。



AM9:00〜

そんなわけで今日も始まった学校の授業。
アズのクラスでも勿論、授業が行われていたが・・・、

「ふわぁ・・・。」

アズが今日も絶好調で、眠たそうに欠伸連発多発。
おかけで瞬く間に周囲の席に感染。
現在は授業中なのにも関わらず、教室中が欠伸の大合唱。

「・・・・・・・・・ッ。」

そしてこちらの方。
数学を教えている数学担当の男性教諭。こちらもモブ扱いのため、名前はまだない。
現在進行形でクラス中が欠伸欠伸で、次第に彼にも欠伸が感染。
毎っっっ回こんな空気になることに、教師としてのプライドが許さない。



AM9:00〜 2

『ぐぬぐぬ・・・』ご立腹案件に痺れを切らした彼は、感染源であるアズを突然名指しでご指名。

「西野!そんなに眠たければ、この問いを解いてみろ!」

黒板の前に来させて、意地悪で出した難しい問題をアズに解かせる。が、

「先生、出来ました。」

「・・・・・・・・・正解。」

アズにとっては何のその。
チョークを持つ手が途中で途切れることなく、スラスラ〜・・・っと解いた答えは正しく、見事に正解。
欠伸をしまくってる割には、ちゃぁ〜んと先生の話を聞いており、授業内容も把握して理解して、真面目じゃないけど真面目に受けてることが判明された。

「やっぱアズは天才だな。」

「凄ぇえな西野。オレちっとも分かんなかったのに!」

「えへへ、ありが〜・・・ふわぁ。」

ちなみにアズの成績は至って文武共に優秀クラス。
欠伸連発多発でなければ、トップクラスな生徒なのだ。
欠伸連発多発さえなければ・・・。



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