カーテンからの木漏れ日を感じて、ゆっくりと目を開けた。
「んん…よく寝た…」
それと同時に感じるすぐ隣の温もり。
自分の恋人の寝顔だ。
「今度は君の方が寝ちゃったんだね」
先は彼女の方が目覚めたが、また眠ってしまったようだ。化粧という飾りを纏っていないその寝顔には少しあどけなさが残る。愛しさが自分のなかから込み上がってくるのを抑えきれず、思わずほくそ笑む。
彼女を起こさないように注意をしながらベッドから降り、顔を洗うために洗面所に向かう。廊下に足音がぺたぺたと響く。なんだかペンギンみたいだな、自分は。
洗面所で顔を洗っていると、そこには鏡に映る自分の顔があった。
「あ…赤い…キスマークだ…」
彼の気を引いたのは、顔よりも鎖骨にある赤いしるしだ。彼女がつけたのだろう。思わずその赤いしるしに自身の手が触れる。
なにこれ。かわいすぎでしょうよ。
「あー・・・好きすぎるよー・・・」
洗面所の鏡台前で屈みこんだ。恥ずかしさで顔を手で覆うものの、顔から熱が引かない。かわいい。恋人がかわいすぎる。
また寝室へと出戻った彼はベッドに入り彼女の頭を自身の腕にのせる。
「かーわいい」
そして彼女のつむじに口を寄せる。
いつも不安だったんだ。
自分ばっかり好きなんじゃないかって。
君は済ました顔でいつも余裕そう。
そんな君が見せてくれたしるしが
何よりの独占欲の証なんだと思うと
俺は嬉しくて君が愛しくてたまらなくなる。
これからもずっとずっと隣にいるよ。
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