予兆

一年で世界は変わる。

密かに狙っていたネックレスは無くなっているし、ババアの行きつけのタバコ屋は無くなってしまう。

でもそれは不思議なことではないのだ。
一年という長いような短いような日々で、人間は(勿論私達のような人間じゃない奴らも)変わっていく。

だから。
銀ちゃんとツッキーがデキていても、
姉御とゴリラストーカーがラブラブな毎日を過ごしていても、
さっちゃんがストーカーを卒業して痔忍者と付き合っていても、
駄眼鏡に恋人がいても、
ジミーとたまが仲良く手を繋いでいても、
トッシーが月一週間だけ禁煙していても。

全然、おかしくなんてないのだ。

だから。
声や背や顔立ちが一年前と少し変わっていても、変わらずにあの公園であの変なアイマスクを着けてサボっているアイツを見つけた時。

みんなが変わっていくのを宇宙にいて、この目で見られなくて少し寂しくて、みんなが変わってしまったことが少し悲しかった私が。

少しだけ、ほんの少しだけ涙を流してしまっても。
きっとそれはおかしなことじゃないのだ。

だけどこの町が、私の知っている人達が変わることは嫌で、嫌いなくせに。

喧嘩相手の関係を変えたいと、嫌いなはずなのに一緒にいたいと思ってしまった私は、少しおかしいのかもしれない。

予兆
(よぉ、クソサド野郎。一年ぶりアルナ。)

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