006
「うわ、ホントアル!何でいるアルカ!?」
視線を辿った先の、こちらにいる女子共の声に気が付いた人物はこちらに歩み寄る。
「あン?俺が学校来ちゃ悪ィかよ」
「悪いなんて言ってないわ、珍しいだけよ」
「ククッ…まぁ気が向いただけさね、」
レア
ところで、と。
その人物はあたしを舐めるように見て両隣の女子に視線を投げ掛ける。
「銀八の野郎の言ってためちゃめちゃ可愛い転校生ってのァ、このちんちくりんか?」
「そうヨ!けどお前にちんちくりん呼ばわりされちゃこのちんちくりんもちんちくりんが…アレ、私は何を言おうとしたアルカ姉御?」
「私にハーゲンダッツを献上したいと言おうとしたのよ」
「マ ジ で か !」
買ってくるヨ!と走り去った私以上のちんちくりん(いやどんぐりの背比べかも)を見送りつつ、あたしをちんちくりん呼ばわりしたちんちくりんを一瞥した。
「…ほォ、まぁ確かに…そこらの女よりは可愛い面してるじゃねえか」
「あら嫌だ、万年発情期の高杉君に捕まっちゃったわね綾瀬ちゃん」
なんだか上品に笑いながら「性病と妊娠には気を付けて」と言い残し去っていくポニーテール少女。
なんてこった。
「…キモ。なにこの野郎」
「…は?…オイお前今なんつったこの口はが」
グイ、
顎を持ち上げられ無理矢理に視線を合わせられる。
眼帯、ヤラシさの象徴のようなにやけた唇、全開の学ランに真っ赤なシャツ。
「手ェ離せ、性病になる」
「ならねーよ」
「お前絶対一人っ子だろ」
「そういうお前も一人っ子だろ…って、お前」
「やだキモい離せ触るな絶対コイツ金持ちのボンボンだ!うざい!性病!スカしたイケメン死ね!!」
思い出が走馬灯のようにフラッシュバック(一週間前の)。
気が付けば(恐らく)金持ちのボンボンで(確実に)スカしたイケメンを蹴り飛ばしてた。
あたしが可愛いのは知ってる!
あたしを見て何か言いかけたから。
そう吐き捨てて教室に戻った。
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