005
「綾瀬、一緒にお昼食べるアル!」
「…え?もう昼?」
牛乳瓶底眼鏡少女に揺り起こされ、そんなに寝ていたかと目を擦り左手首の腕時計を眺める。
ガールズトーク
「食べたい時が食べ頃ネ、だから私は早弁をします」
「まじでか」
自己紹介からまだものの一時間、丁度二時間目が終了した休み時間だった。
「というか綾瀬ちゃん、転校初日から居眠りなんて素敵な根性の持ち主ね」
菩薩のような笑顔のポニーテール少女は上品に笑いながら隣の空席に腰かけた。
「…寝たい時が眠り時アル」
チャイニーズ小娘の真似をしつつ、欠伸混じりに返答。
寝た気がしない。
いかんせん、やかましいクラスだ。
授業中も休み時間もさして変わり無い感じ。
お賢い集英高校とは天地の差がある。
スカしたイケメンが多い。
皆死ねばいいのに。
「…あのさ、あたしトイレ行きたいんだけど。廊下出て右?左?」
「あら、トイレくらい案内してあげるわよ」
行きましょ、と、なんだか連れション雰囲気がたまらなく面倒だったけどトイレの場所がわからないので致し方なく着いていく。
廊下に出れば「噂のZ組の転校生」だの「お、結構可愛くね?」とかの声が聞こえる。可愛くね?って可愛いのか可愛くねェのかどっちだよ、可愛いのは知ってるけど。
木村カエラに似てるのも知ってるけど(髪型が)。
トイレで用を足し、申し訳無いけど名前がわからない(多分)クラスメイトの女子二人と廊下を歩く。
「…あら、珍しい」
ポニーテール少女の呟きに、思わず視線の先を辿った。
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